洋楽レビュー/感想 2022。
他の2022年の「洋楽レビュー/感想」はこちら。
過去の「闇」を肯定して痛みと向き合って、
前向きに進んで行く「決意」を感じる歌詞が印象的な、
ヘヴィでダークでグルーヴィーで捻くれていながら、
メロディアスでメロウで重厚でドラマティックな感じで「鬱くしい」
オルタナ/グルーヴメタル/ヘヴィメタル作品。
※先日書いたJonathan Davisのソロ曲「What it is」の日本語訳付き曲解説記事を読んでからの方が
今作をより理解しやすいと思うので一応リンクを貼り。
※後日書いた今作収録曲の日本語訳付き曲解説記事へのリンク
Let The Dark Do The Restの日本語訳付き曲解説
Penance To Sorrowの日本語訳付き曲解説
◆Korn - Requiem
ここ数年の流れを汲んでる作品で、
多くの人にとって「想定の範囲内」と思われますが、
変に初期の雰囲気を出そうとしてない感じで、
(※セルフパロディー的には出してます)
今までで一番キャッチーで分かり易かった、
「See You On The Other Side」みたいに、
どこか無理してるような感じも無く、
「自然体」&「良い雰囲気」で作った感があって、
Korn独特の暗さや重さや「捻じれ」から来る「鬱くしさ」を残しつつ、
歌のメロディーはキャッチーだったりするので、
ヘヴィでダークでグルーヴィーで捻くれてる感じがありながら、
メロディアスでメロウで重厚でドラマティックな感じに仕上がっており、
良い意味で分かり易くてノリ易いし、
自虐も込めつつとはいえ、
過去の「闇」を「肯定」して痛みと向き合って、
前向きに進んで行く「決意」を感じる歌詞があるように、
Korn史上一番ポジティブさを感じる…
時々雲の切れ目から光が差し込む事はあるけど、
基本的には「曇り」でスッキリ晴れることは無いという、
「どんよりした雰囲気」なんで、
いつも通り黒く堕ちていく感覚もあるけど、
そこまで深くは堕ちて行かない感じの、
暗過ぎず明る過ぎない絶妙なバランスですし、
ギターはソリッドかつシンプルでノリが良い感じだけど、
RATMのようにスクラッチしたりワーミーペダル使ったり、
小技をいろいろ使っていてフックがあるように、
細部まで凝っていてセンスに溢れていて素晴らしいですし、
転調したり変拍子入れたりして、
ガラッと雰囲気変えたり、
巧くフックを付けたりする、
曲構成やアレンジとかも実に見事で、
良い意味で一筋縄では行かない曲展開多めで、
Jonathan Davisのボーカルも変幻自在でエモくて素晴らしいので、
全体的に聞き応えがあるし、
プロダクションなんかも素晴らしく、
収録時間が過去最高に短い事もあり、
手軽かつ一気に聞ける感あるし、
総合的に見て完成度が高い!
そして前述したように、
歌詞に今まで無かったような前向きな部分があって深い!
アルバムタイトルから「レクイエム(葬送曲)」なように、
この作品は「Jonathan Davis」の暗い過去の「葬送作品」になってるんだよねー!
闇があるから光の眩しさがより実感出来るし、
光があるから闇の暗さを強く実感出来る。
「光と闇」は表裏一体であり、
人間誰もが「光と闇」を心に持っている。
多くの人が光を肯定して闇を否定する中で、
「Jonathan Davis」は「心の闇」に焦点を合わせて、
愚直なまでに長い間「苦行」のように向き合ってきた。
以前に語っていたように、
「俺はみんなにとって耳障りで聞きたがっていないものを表現したいんだ。
誰もが美しいことばかり表現しようとしてるんじゃ悲しすぎる」という思いを持ち、
嘲笑されたりして傷付きながらも、
「闇」と向き合って「鬱くしさ」を表現してきた。
「Disconnect」の歌詞で、
自分にとって「闇」は必要な物であり、
光に照らされて頑張ろうと思えるのと同じように、
闇からまっすぐに戦う力を貰ったと述べてるし、
「Penance To Sorrow」では、
過去の傷は壊す事も修正する事も出来なく、
永遠に逃れる事も出来ないと悟った上で自虐を込めつつ、
「この傷跡はずっと神聖な物」と述べてるように、
自分の闇(過去の暗い思い出)を「原動力」に変えて、
傷付き悲しみ苦しみもがきながら、
ここまで来た「自負」のような物があるようですし、
今までして来た「音楽で過去と向き合う」事だと思われる、
「悲しみへの苦行」によって「それは破壊される」と、
達観した感じで歌ってますし、
「Let The Dark Do The Rest」では、
地獄のような時間を過ごして来たし、
もう脳裏に焼き付いていて忘れる事は出来ないと言いつつ、
「あとは闇に任せてしまおう」と述べて、
途中で「明快になった闇」で魂が満たされて、
「ただ進みたいんだ,未来がどうなるのか見てみたい」とも述べてます。
「過去の闇」はどうやっても忘れる事も変える事も逃れる事も出来ない。
「過去の闇」があったから「現在」の自分が在る。
それなら「過去の闇」を「肯定」して「共存」していけばいい。
そんな「前向き」な「決意」みたいな物が感じられますし、
遂に「癒され始める」所まで来た…
今までの「Jonathan Davis」知ってると、
今作の歌詞は実に深くて実にエモい…
ただ今作が今まで一番の作品かと言えば残念ながらそうではない。
歌詞は深化を感じるし興味深いものの、
曲だけ見ると「想定の範囲内」であり、
進化や変化をあまり感じないので、
新鮮味やインパクトに欠けるし、
初期の底の見えない感じや衝動に溢れた感じ、
見てはいけない物を見たような感覚や、
黒く堕ちていき心にぽっかり穴が開くような感覚を知ってるだけに、
どうしても物足りなさは否めない。
収録時間も短いですし。
でも前からそうですが、
昔のような作品を聞きたければ昔の作品聞けば良い訳ですし、
初期はある意味「病気」だからこそ作れたような、
「病的」で「奇跡」のような作品であり、
今更ルサンチマン的な物を求めるのも酷ですし、
これだけのベテランが、
まだ自分の内面に向き合って真摯に音楽作っていて、
これだけの作品を作ったという事だけで褒められる事であり、
最早「Jonathan Davis」のライフワークであり人生の一部になってるんで
それを自分はあまり否定したくない。
個人的には初期の4枚に次いで好きな作品のように、
悪い作品ではない所か「良く出来てる」と思える作品ですし、
初期はエキセントリック&ダーク過ぎると感じてる人には、
今作は丁度良いバランスと感じるかもですし、
前述したように惜しい所はあるものの、
「力作」で「良作」で「深い作品」だと思う。
PS
今作は無理してない自然体な感じが良い訳ですが、
「See You On The Other Side」の、
無理して大衆的にしようとする事から来る、
独特の気持ち悪い感じも好きですw
他の2022年の「洋楽レビュー/感想」はこちら。
過去の「闇」を肯定して痛みと向き合って、
前向きに進んで行く「決意」を感じる歌詞が印象的な、
ヘヴィでダークでグルーヴィーで捻くれていながら、
メロディアスでメロウで重厚でドラマティックな感じで「鬱くしい」
オルタナ/グルーヴメタル/ヘヴィメタル作品。
※先日書いたJonathan Davisのソロ曲「What it is」の日本語訳付き曲解説記事を読んでからの方が
今作をより理解しやすいと思うので一応リンクを貼り。
※後日書いた今作収録曲の日本語訳付き曲解説記事へのリンク
Let The Dark Do The Restの日本語訳付き曲解説
Penance To Sorrowの日本語訳付き曲解説
◆Korn - Requiem
ここ数年の流れを汲んでる作品で、
多くの人にとって「想定の範囲内」と思われますが、
変に初期の雰囲気を出そうとしてない感じで、
(※セルフパロディー的には出してます)
今までで一番キャッチーで分かり易かった、
「See You On The Other Side」みたいに、
どこか無理してるような感じも無く、
「自然体」&「良い雰囲気」で作った感があって、
Korn独特の暗さや重さや「捻じれ」から来る「鬱くしさ」を残しつつ、
歌のメロディーはキャッチーだったりするので、
ヘヴィでダークでグルーヴィーで捻くれてる感じがありながら、
メロディアスでメロウで重厚でドラマティックな感じに仕上がっており、
良い意味で分かり易くてノリ易いし、
自虐も込めつつとはいえ、
過去の「闇」を「肯定」して痛みと向き合って、
前向きに進んで行く「決意」を感じる歌詞があるように、
Korn史上一番ポジティブさを感じる…
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時々雲の切れ目から光が差し込む事はあるけど、
基本的には「曇り」でスッキリ晴れることは無いという、
「どんよりした雰囲気」なんで、
いつも通り黒く堕ちていく感覚もあるけど、
そこまで深くは堕ちて行かない感じの、
暗過ぎず明る過ぎない絶妙なバランスですし、
ギターはソリッドかつシンプルでノリが良い感じだけど、
RATMのようにスクラッチしたりワーミーペダル使ったり、
小技をいろいろ使っていてフックがあるように、
細部まで凝っていてセンスに溢れていて素晴らしいですし、
転調したり変拍子入れたりして、
ガラッと雰囲気変えたり、
巧くフックを付けたりする、
曲構成やアレンジとかも実に見事で、
良い意味で一筋縄では行かない曲展開多めで、
Jonathan Davisのボーカルも変幻自在でエモくて素晴らしいので、
全体的に聞き応えがあるし、
プロダクションなんかも素晴らしく、
収録時間が過去最高に短い事もあり、
手軽かつ一気に聞ける感あるし、
総合的に見て完成度が高い!
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そして前述したように、
歌詞に今まで無かったような前向きな部分があって深い!
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アルバムタイトルから「レクイエム(葬送曲)」なように、
この作品は「Jonathan Davis」の暗い過去の「葬送作品」になってるんだよねー!
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闇があるから光の眩しさがより実感出来るし、
光があるから闇の暗さを強く実感出来る。
「光と闇」は表裏一体であり、
人間誰もが「光と闇」を心に持っている。
多くの人が光を肯定して闇を否定する中で、
「Jonathan Davis」は「心の闇」に焦点を合わせて、
愚直なまでに長い間「苦行」のように向き合ってきた。
以前に語っていたように、
「俺はみんなにとって耳障りで聞きたがっていないものを表現したいんだ。
誰もが美しいことばかり表現しようとしてるんじゃ悲しすぎる」という思いを持ち、
嘲笑されたりして傷付きながらも、
「闇」と向き合って「鬱くしさ」を表現してきた。
「Disconnect」の歌詞で、
自分にとって「闇」は必要な物であり、
光に照らされて頑張ろうと思えるのと同じように、
闇からまっすぐに戦う力を貰ったと述べてるし、
「Penance To Sorrow」では、
過去の傷は壊す事も修正する事も出来なく、
永遠に逃れる事も出来ないと悟った上で自虐を込めつつ、
「この傷跡はずっと神聖な物」と述べてるように、
自分の闇(過去の暗い思い出)を「原動力」に変えて、
傷付き悲しみ苦しみもがきながら、
ここまで来た「自負」のような物があるようですし、
今までして来た「音楽で過去と向き合う」事だと思われる、
「悲しみへの苦行」によって「それは破壊される」と、
達観した感じで歌ってますし、
「Let The Dark Do The Rest」では、
地獄のような時間を過ごして来たし、
もう脳裏に焼き付いていて忘れる事は出来ないと言いつつ、
「あとは闇に任せてしまおう」と述べて、
途中で「明快になった闇」で魂が満たされて、
「ただ進みたいんだ,未来がどうなるのか見てみたい」とも述べてます。
「過去の闇」はどうやっても忘れる事も変える事も逃れる事も出来ない。
「過去の闇」があったから「現在」の自分が在る。
それなら「過去の闇」を「肯定」して「共存」していけばいい。
そんな「前向き」な「決意」みたいな物が感じられますし、
遂に「癒され始める」所まで来た…
今までの「Jonathan Davis」知ってると、
今作の歌詞は実に深くて実にエモい…
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ただ今作が今まで一番の作品かと言えば残念ながらそうではない。
歌詞は深化を感じるし興味深いものの、
曲だけ見ると「想定の範囲内」であり、
進化や変化をあまり感じないので、
新鮮味やインパクトに欠けるし、
初期の底の見えない感じや衝動に溢れた感じ、
見てはいけない物を見たような感覚や、
黒く堕ちていき心にぽっかり穴が開くような感覚を知ってるだけに、
どうしても物足りなさは否めない。
収録時間も短いですし。
でも前からそうですが、
昔のような作品を聞きたければ昔の作品聞けば良い訳ですし、
初期はある意味「病気」だからこそ作れたような、
「病的」で「奇跡」のような作品であり、
今更ルサンチマン的な物を求めるのも酷ですし、
これだけのベテランが、
まだ自分の内面に向き合って真摯に音楽作っていて、
これだけの作品を作ったという事だけで褒められる事であり、
最早「Jonathan Davis」のライフワークであり人生の一部になってるんで
それを自分はあまり否定したくない。
個人的には初期の4枚に次いで好きな作品のように、
悪い作品ではない所か「良く出来てる」と思える作品ですし、
初期はエキセントリック&ダーク過ぎると感じてる人には、
今作は丁度良いバランスと感じるかもですし、
前述したように惜しい所はあるものの、
「力作」で「良作」で「深い作品」だと思う。
PS
今作は無理してない自然体な感じが良い訳ですが、
「See You On The Other Side」の、
無理して大衆的にしようとする事から来る、
独特の気持ち悪い感じも好きですw