Dodecahedron - Dodecahedron

洋楽レビュー/感想。
ドラムの演奏が実に素晴らしい、
アヴァンギャルドで個性的なブラックメタル。


◆Dodecahedron - Dodecahedron
基本はブラックメタルなんですが、
バンド名を訳すと「十二面体」という意味があるように、
様々な側面が聞ける(要素がある)作品で
プログレ要素も多くありますし、
ポストブラック的なアトモスフェリックなパートや、
邪悪で暗黒に満ちた暗鬱としたパートやノイズがあったり、
ジャズ/フュージョンっぽいパートや、サイバーメタル要素や、
宗教的な要素やアンビエントな雰囲気があったりと、
かなり実験的な要素もあり、複雑で凝ってて、
アヴァンギャルドで個性的で実に面白い！

差別化を図るという事に拘って作った感じがあり、
曲展開が一筋縄で進まない作りになっていてフックに溢れていて、
ボーカルはエフェクトかけたり呻き声や邪悪な声出したりしますし
メロディアスなベースなどなど、演奏やアレンジも個性的で魅力的なんですが、
その中でも特にドラムが面白い＆凝ってて、
明らかにジャズ/フュージョンに通じる要素が多く、
ブラックメタルらしからぬオシャレさやテクニックが多くあり、
ハイハットの使い方やフロアタムの使い方や音の強弱の付け方などなど、
従来のブラックメタルではあまり聞いたことがない感じですし、
足と左右の手で違うリズムを叩いたりもしますし、
(三つのリズムを同時に刻んでるという事です)
タイム感も抜群ですし、フィルインのセンスなんかも実に素晴らしい！
世の中にはもっと変で実験的なブラックメタルはありますが、
ここまで個性を追い求めて実験的でありながら、
作品としても、そこそこ高いクオリティーを誇ってる作品は少ないですし、
基本的に邪悪な雰囲気が漂ってるのですが、
この手の音楽にしてはブルータルさが控えめなのも興味深い。
実験的で難解で複雑ではありますが、
同時に予想が付かない展開が多いので、
聞いてて実に面白く聞こえ(聞け)ますし、
フックに溢れていて個性があるんで、
この手の音楽にしては聞きやすい方…だと思うw
型に嵌めたがるコアなメタルファンは、
こういうアヴァンギャルドな作風を嫌う傾向があるようですし、
ブラックメタルに何を求めてるかでも評価は別れるので、
良いか悪いかは最終的には個人の好みとはいえ、
飽和してきたブラックメタルシーンの中で、
この作品が個性的で面白く聞こえる存在なのは確かだと思いますし、
少し変わったブラックメタルが聞きたい人は特にですが、
UlcerateよりDeathspell Omegaの最新作が好きで、
ブルータルさはそれほど求めない人などは、聞いてみて損はないかと思います。
1月にこんな事言うのもなんですが、
コアなメタルファンの中で今年の隠れた名作/良作の一つになると思う。



PS
ちなみに足と左右両手で違うリズムと言えば、
Meshuggahのトーマスさんは何回聞いても笑ってしまうくらい凄いw

ただでさえ変拍子だらけの変態なリズムで、
ギターやベースとユニゾンしているパートが多く、
間違えたら曲自体が破綻しかねない緊張感の中で
涼しい顔で足であの複雑なリズムをユニゾンして、
左右の手で違うリズム取ったりしてるもんなww
ギターやドラムを筆頭に楽器演奏ではスピードはよく注目されますが、
リズムやシンバルの鳴らし方やフィルインのセンス、
タイム感や空間の使い方や表現力などが、注目されるのが少ないのが残念で仕方ない。
聞き手がそこまでドラムや演奏面に注目しないのもあるかもですが…


PSのPS
全然ジャンル違うけど、
よくある感じに聞こえて意外と無い感じの作品でもある、
Lander Configurationsが実に良かったー！

絶望的に暗くて絶望的に美しい！
その内レビュー記事書く予定です。
レビューと言えばAnthony GreenとAlcestとChairliftとIsletも書く予定です。
The Big Pinkの新作は子供でも分かるくらい単純でベタ過ぎ&中身スカスカ過ぎて、
悪口ばかりになるので書きませんw
(※個人の感想ですw)