しをり戸

ささやかな庭の山野草と
散歩・旅で出会った草木。 
季語・拙い俳句、
折々の写真などの記録です。

水仙 ( すいせん ) <季> 晩冬

2011-01-23 |  冬の草木・その他 の 俳句

◉ 水仙花 (すいせんか)・雪中花 (せつちゅうか)・野水仙 (のずいせん)

水仙や藪の付きたる売屋敷 ・・・・・ 浪化
水仙や表紙とれたる古言海 ・・・・・ 高浜虚子
水仙や古鏡の如く花をかゝぐ ・・・・・ 松本たかし
水仙のひとかたまりの香とおもふ ・・・・・ 黒田杏子 [一木一草]

花の少ないきびしい寒さの季節に咲く花で、
清楚な気品があり、よい香りがします。
越前海岸や淡路島の黒岩水仙郷・城ヶ島県立公園などに、
野生化した群落が見られます。
このため、中国から海流に乗り
日本海側の海岸に着いた水仙が広がった、との見方もあります。
また、とても古い時代にシルクロードを通って、中国経由で渡来して、
野生化したとも言われています。
室町時代の漢和辞典「下学衆」に「雪中花」などの名前で載っています。
江戸時代になると、
桂離宮の釘隠しの金具や池坊の立花図に造形として現れ、
茶花としても使われました。
能衣裳や絵画・工芸品などに多く描かれるようになりました。
古俳句には水仙が多く詠まれているのに、
和歌にはあまり詠まれなかったようです。
現代では庭植え・切花・鉢植えなどとしても広く鑑賞され、
正月の切花用として促成栽培も行われています。
日本で水仙といえば、
古くから日本で野生化して、親しまれてきた日本水仙の品種を指します。
小輪の房咲きで、白い花の中央に黄色の副花冠があって、芳香があります。
日本各地に自生し、地域によって12~2月に開花します。
* 喇叭水仙 ( 仲春 )・口紅水仙 ( 晩春 )

  [ ヒガンバナ科スイセン属の多年草 ]

目の疲れつむりて癒す野水仙 ・・・・・ みなみ
よく晴れていまが盛りの野水仙 ・・・・・ みなみ

スイセン (水仙)
古い時代に地中海沿岸地域から中国を経て渡来したと言われています。

本州関東地方以西~九州にかけて、暖地の海岸近くに野生化して群生が見られます。
観賞用として庭園などに植えられ、切り花としても栽培されています。
草丈は、30~60cm。
黒い外皮に包まれた鱗茎は卵球形で、下方に白色のひげ根を多数だします。
葉は、晩秋に伸び出し、線形または帯状で長さ20~40㎝、幅0.8~1.6㎝、先は鈍頭、
質は厚く、白緑色を帯び、4~6枚が平たく重なります。
花期は、12月~翌年4月。
葉の中心から花茎を伸ばし、その先端には膜質の1枚の苞葉があり、

長い花柄を持った数個の花を抱き、芳香のある花を横向きに開きます。
花被は6花被片で下部が合着して筒状になり、白色で、平開します。
喉の部分に濃黄色の盃形の副花冠があります。
雄しべは6本で花筒の上部に3本、下部に3本つき、花糸は非常に短いです。
果実は出来ません。ラッキョウ型の鱗茎が分裂して繁殖します。
八重咲きのものと寒心緑花の品種があります。
全草にリコリン・タゼチンなどのアルカロイドを含み有毒で、
おう吐・下痢・頭痛などの症状が現れます。
昔は民間で薬用に供されていました。
名は、漢名の水仙をの音読みから付いたそうです。



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