雨が降り始めていた。
梅雨だから仕方がないんだ。
仕事場を後にするには少し早い時間だったけれど、
仕事仲間を残して外に出た。
数日前から気分は最悪だった。
カンタンに言えば自分自身の能力不足。
特に記憶力の減退。呆れるくらいに・・・だ。
神保町に向かって暫く歩いた。
足の付け根が痛む。しかし、気にせずに、痛みを堪える。
そして水道橋。三田線に乗った。
高校生の下校時間と重なってしまったのか女子高生で一杯。
車両は半端な女くささが充満していた。
大手町を過ぎて日比谷。
思い立って下車。
日比谷公園が好きだ。
しかも、雨に煙っている、この公園が好きなのだ。
誰にでも感傷はある。そんな気持ちを知りながら、
こっちにおいでと言っているような気持ちにさせるからね。
で、日比谷みゆき座にたどり着き「セッション」を観た。
やはり、演奏するものにとって音楽を楽しむと言うことはどういうことなのか?
その一部分をきちっと伝えてくれる映画だった。
テクニックの必要性、反復の重要性、憎悪の必然性。
それを若いうちに学ぶことがいかに大切なことなのかだ。
僕にはもう遅すぎる。
ジャズに限らず、音楽を愉しむなんてことは
そうたやすく手に入れることはできない。
特に演奏者にとっては。
細部にわたってこだわらないといけない。
なぜならばバンドはチームなんだから・・・そう、合奏。
15人がひとつの「音」を作り上げて、人に聴かせて愉しくさせるのだからだ。
自分のなかに感じた何かを表現するために「音楽」を選んだのだから
どれだけ早く叩ける、どれだけ遅く叩けるか、どれだけ長い時間テンポキープできるか
こんな変化の乏しい繰り返しの中で、学ぶのだろう。
人は如何に生きるか、大切なものは、大切な人とは
憎み、哀しみ、喜び、笑い・・・・
もがきながらしか手に入れられないものが存在しているのだろう。
そんな音楽「ジャズ」の演奏者が誕生する、ほんの初期段階の話なんだ。
この映画は。
そして、僕は思う。
どこまで続けられるかは分からないだろうけれど
今のバンドを続けていこう。
心の中には何もないのかもしれない。表現しようと思うものなんてね・・・
でも、あるかもしれない。