ミステリーと映画とギターと歌があれば生きていける。
そんな思いを胸に深夜バスに乗り込んだのは二十歳の時だった。
5月になったばかり京都駅は午後10時。乗り込んだバスの中は、ひと息で生暖かくて息苦しかった。
理由もなくウキウキした気持ちを今でも覚えている。
一人暮らしをする不安は全くと言っていいぐらいなくて、その割には体が少しだけ震えていた。
武者震い。そんな言葉を吐きだすように深夜バスは走り出した。
今と違ってそのころの京都、東京間の深夜バスはごく普通の観光バスで座席は二人席だったのを覚えている。
東京駅の八重洲口へ着くまで一睡もできなかった。
あれから48年がたった。
ごく普通のサラリーマンで過ごした僕はとりたてて良かったと思うこともなく勤め人の生活が8年前に終わった。
そして半年はきままに暮らし、以前の職場の先輩に誘われろ、くでもない仕事を手伝った。ろくでもない仕事と言っても
別に法律に触れるような仕事ではなかった。ただ、給料はほとんどなく時間潰しで働いては見たものの、いつも面倒な役
割ばかりを任されてしまった。これも何かの縁だから仕方あるまいと覚悟はしていたが我慢の限界を迎えてやめてしまっ
た。人を頼って生きてばかりはいられない。かと言ってやりたい事が明確にあるわけでもない。ホントにごく普通のサラ
リーマン生活を過ごしてきた平凡を絵にかいたような人間なのだ。
いわゆる「定年後の暮らし」本を買わなければ時間があり待って仕方がないといった風情なのだ。
1か月もすれば行き場をなくし、家に閉じこもり、時の過ぎゆくの待つのが怖くなる。そんな状況に反比例してモチベーシ
ョンは急降下し始めている。無関心は最大の敵となるのは目に見えている。
しかし、そんな僕に声をかける人がいた。
ちょっとヤバそうな感じだけれど・・・・少々、戸惑ってしまっている。
音楽業界でまだ現役で頑張っているらしい・・・。が、ほんとのところは分からない。
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