羽黒山の参道は”涼しさ”という言葉そのものの世界。
色は緑、涼しさしか感じない。
句は夜の三日月を詠んでいるが、羽黒山を代表する情景に感じる。
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旅の場所・山形県鶴岡市羽黒町手向「出羽神社(三神合祭殿)」
旅の日・2022年7月10日
書名・奥の細道
原作者・松尾芭蕉
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「超訳芭蕉百句」 嵐山光三郎 筑摩書房 2022年発行
涼しさやほの三か月の羽黒山
羽黒山、月山、湯殿山の出羽三山は山岳信仰の霊場として古くより名高く、
『おくのほそ道』の旅の目的のひとつはこの出羽三山へお参りすることであった。
なかでも羽黒山は参拝客が多く、その門前町が手向である。
芭蕉が訪れたころは三百軒の宿坊があり、現在は古き宿が営業している。
宿坊街のつきあたりが随神門で、そこをくぐると祓川を渡り、杉並木の一の坂、二の坂、三の坂が約二キロつづいていく。
石段が二千三百四十六段あり、とくに三の坂が急であるけれど、この道は草木ひとつひとつに神が宿っている。
五十分ほどかけて羽黒山頂上に達すると三神合祭殿、蜂子神社、斎館、護摩壇がある。
一の坂にある五重塔(国宝)は塔じたいが巨大な樹木と化して地面へ根をおろして地下の生命とつながる。
随神門から山頂までの道は、「この世のものとは思えない」天然ムクの霊気で浄化される。
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