観光バスが鶴岡市から酒田市に入る頃、最上川と日本海に夕陽が落ちていった。
バスが最上川右岸のホテルに着き、すぐに
”暑き日を海に入れる”風景を見るために、最上川に架かる出羽大橋に行った。
橋の上から、「暑き日を海に入れる」最上川を眺めていた。
その眺めは絶景だった。
芭蕉が見た「暑き日を海に入れる」最上川と同じと思った。
暗くなって、暑き日が終わるまで最上川を眺めていた。
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旅の場所・山形県酒田市落野目・出羽大橋
旅の日・2022年7月10日
書名・奥の細道
原作者・松尾芭蕉
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「超訳芭蕉百句」 嵐山光三郎 筑摩書房 2022年発行
暑き日を海にいれたり最上川
芭蕉は鶴岡から川船に乗って、酒田へ向かった。
酒田に出て、生まれてはじめての日本海を見たのであった。
山野彷徨の果てに見る日本海は芭蕉にどのような感興を与えたのだろうか。
酒田は戦国時代から発展した港町で、廻船問屋が百軒以上あり、豪商がひしめいていた。
「五月雨をあつめて早し最上川」が最上川上流で詠まれたのに対し、
この句は河口の吟である。
酒田港は河口から見て海の方向へ日が沈む地勢になっている。
夕日が西の沖に落ちていく様子が、「暑き日を海に入れていくようだ」という感慨である。
酒田港は、河口の西方へ日が落ちる地勢になっている。
酒田は東北の海辺の町であるにもかかわらず、夏はやたらと暑い。
夕暮れどきは、太陽が海に落ち、わずか八分の一ぐらいが水面に残って、余韻を残す。
上流で最上川の「涼しい句」を詠んだので、河口「暑き日」を観察して、最上川の二面性を示した。
上流では川面すれすれの視線であったのに、ここでは風景を俯瞰し、芭蕉の目玉は上空に浮いている。
そのときどきによって目線が自在に変化する。
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出羽大橋は最上川河口に一番近い橋。長さは861m。
正面に残雪の鳥海山、2236m。山形県と秋田県に分ける。
右が泊ったホテルで、ツアー客は9Fと10F。部屋から見る夕日もきれいだったようだ。
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