徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

ロック雑誌の時代/篠原章「日本ロック雑誌クロニクル」

2005-01-22 00:15:07 | Books
『日本ロック雑誌クロニクル』篠原章(太田出版)

80年前後に『ミュージックマガジン』(MM)と『ロッキング・オン』(RO)と『ミュージックライフ』(ML)をほぼ同時に読み始めた世代としてはとても興味深く、一気に読んだ。この3誌(MLはすでに廃刊)に抱いている違和感が少し氷解したような気がする。著者の篠原さんはMM世代だそうだが、オレは80年代半ばにトップマガジンになった時代の勢いもあってか、完全にRO派。90年代にはほとんど読むことも、買うこともなくなってしまった。という経緯もあり、現在最も違和感を感じているのもやはりRO(系雑誌)である。昔は良かった……というわけでもないが。RO系のイベントに、積極的に行かなくなっているのはトラウマか。非アウトドア派という理由ではなく、フジロックには行く気にならない。
同書には星加ルミ子氏、中村とうよう氏、関川誠氏といった、一時代を作ったロック雑誌の大物編集者のインタビューがあるのだけれども、ROの渋谷陽一氏には断られたそうだ。断った理由は本文に書かれているのだが、いかにも渋谷氏らしい一言。これが違和感を覚えるような言葉なんだな……いや、違和感というか渋谷氏の本は何冊も読んでわかってたけど「今や露骨にそっちへ向かうか」という。インタビューに応じた方が“らしい”のになァと思うのは、もうラジオも聴いてないし、文章も読んでないからかな。
ま、とにかく雑誌や出版に興味のある人には面白い本だと思うです。

今日買ったサンボマスターのセカンドアルバムの帯に渋谷氏が一文を寄せている。
「昔から正しいロックには気恥ずかしさがあった(以下略)」
渋谷節炸裂!

結論として、ロック雑誌の未来として最後に提示されたのが『ロックマガジン』というのがいかにも『クィック・ジャパン』ぽいが。