血と砂
1965年/モノクロ
監督:岡本喜八
原作:伊藤桂一「悲しき戦記」
脚本:佐治乾、岡本喜八
出演:三船敏郎、仲代達矢、佐藤允、伊藤雄之助
<昭和20年、敗戦直前の北支戦線。軍楽隊の少年兵13人を率いる曹長・小杉(三船)の部隊が、中国・八路軍と砦をめぐる熾烈な戦いを繰り広げる様を描いた反戦色の濃い戦争アクション>(日本映画専門チャンネル)
<反戦色が濃い>といってもそこは喜八作品なのでしみったれた肌触りはない。ミュージカル的な要素を織り込みつつ、三船、佐藤充、団玲子、そして伊藤雄之助という違うタイプの役割を持った“大人”たちが、18歳、19歳という軍楽隊の童貞少年たちをいろんな意味で厳しく、優しく成長させていく(慰安婦の楽天的かつ感傷的な描写など今では考えられないけれども、やはり“それ”も教育だと思うのである)。軍隊というのは現実社会そのものである。少年たちは楽器を背負い、銃を手にして戦場に立つ。
しかし戦場という現実とジャズの自由は決して交わることはなく不協和音を響かせる。本隊に見捨てられ孤立無援となった砦の塹壕の中で、楽器を手にしてスイングする少年たちに八路軍の砲弾と塹壕の土砂が降り注ぐ。
そんな中、佐藤充は少年たちを励ますように「ハモっているか?」と声をかける。<ハモっている>ということは生きているということだから。
戦場でハモることなど許されない。しかし今日を生き抜き、明日に希望をつなぐために人間はハモるのだ。
盲目のトランペッターの少年が倒れたあとに残酷な事実を知らされる。傑作。
1965年/モノクロ
監督:岡本喜八
原作:伊藤桂一「悲しき戦記」
脚本:佐治乾、岡本喜八
出演:三船敏郎、仲代達矢、佐藤允、伊藤雄之助
<昭和20年、敗戦直前の北支戦線。軍楽隊の少年兵13人を率いる曹長・小杉(三船)の部隊が、中国・八路軍と砦をめぐる熾烈な戦いを繰り広げる様を描いた反戦色の濃い戦争アクション>(日本映画専門チャンネル)
<反戦色が濃い>といってもそこは喜八作品なのでしみったれた肌触りはない。ミュージカル的な要素を織り込みつつ、三船、佐藤充、団玲子、そして伊藤雄之助という違うタイプの役割を持った“大人”たちが、18歳、19歳という軍楽隊の童貞少年たちをいろんな意味で厳しく、優しく成長させていく(慰安婦の楽天的かつ感傷的な描写など今では考えられないけれども、やはり“それ”も教育だと思うのである)。軍隊というのは現実社会そのものである。少年たちは楽器を背負い、銃を手にして戦場に立つ。
しかし戦場という現実とジャズの自由は決して交わることはなく不協和音を響かせる。本隊に見捨てられ孤立無援となった砦の塹壕の中で、楽器を手にしてスイングする少年たちに八路軍の砲弾と塹壕の土砂が降り注ぐ。
そんな中、佐藤充は少年たちを励ますように「ハモっているか?」と声をかける。<ハモっている>ということは生きているということだから。
戦場でハモることなど許されない。しかし今日を生き抜き、明日に希望をつなぐために人間はハモるのだ。
盲目のトランペッターの少年が倒れたあとに残酷な事実を知らされる。傑作。