金曜日は「官邸前」。規制委員会が正式に発足したため、前回、前々回行われていた合同庁舎前の抗議はなくなり、今回の抗議エリアは官邸前と国会正門前の二ヶ所に戻った。いつも通り霞ヶ関から「官邸前」に向かうと、官邸前の最後列はすでに六本木通り付近まで伸びていたように見えたので、そのまままっすぐ正門前エリアに向かう。
(ちょっと暗いが)画像を見てもらえればわかるように、スピーチエリア、そしてファミリーエリアと名付けられた国会正門前は実際には各種団体が入り乱れるカオスなエリアで、官邸前エリアと比較して実にまとまりに欠けている。真剣に抗議しようと思えば思うほどストレスが溜まること間違いないエリアなのである(元から「団体」がこのエリアに居座るのは、“国会前というモニュメント”が欲しいだけだろうと睨んでいる)。
現在の正門前エリアは大きく分けて3つ。
正門前のスピーチエリアの他に、仮にウグイスエリアとドラム隊エリアと名付けよう。
まずドラム隊エリアは永田町・霞ヶ関の抗議エリア全体を練り歩く“怒りのドラム隊”の皆さんのゴール地点で、彼らは19時30分前後にはこのエリアにやってきて、「サイカドウハンタイ」のみを激しくコールする。正門前の他エリアでストレスが溜まっても、このドラム隊エリアで30分ほどスパークすればきっとそのストレスは解消できる。もはや正門前のみならず官邸前全体のオアシスといってもいい存在である。ここのところ参加者がオーディエンス化しがちなのは気になるのだけれども、「官邸前」有数の熱く盛り上がるエリアで、初参加の方々にはおすすめできる。
次にウグイスエリアだが、ここでは滑舌のいい、ウグイス嬢のような女性がお立ち台に上がって花を片手に笑顔でコールリーダーを務める。あまりの笑顔に何を抗議しているのかわからなくなるのが難点。基本的に礼儀正しく、抗議の終わりなどは参加者への慰労の心遣いも忘れないが、抗議のはずなのに実にサロン的。また彼女以外の参加者も勿論コールリーダーとしてマイクを持つが、野太い声のおじさんも「バイバイ原発」「おさかな守れ」「おやさい守れ」と実にスイートなコールを多用するのが特徴。しかしコールの内容はともかく、コールリーダーのトラメガと参加者の生声のバランスが悪過ぎてコーラーの独演会のように聴こえてしまい、正直テンションが下がる。あの人数ならばもはや地声でリードするべきではないのか。それでも反原連主力の行儀の悪いコールに馴染めない方々にはおすすめできないこともない。
そして正門前スピーチエリア。ガチの団体系が集結するこのエリアの特徴は一言で言って「自由」(悪い意味で)。この日も「みんな団結しなきゃ駄目だ!」と言いながら、だったら誰もが知っている歌を歌えばいいものを、誰も歌えない(ついていけない)オリジナルの“シュプレヒソング”なるものを歌い始める男性や、散々シングルイシューだって言っているのにルール無用で「オスプレイ反対」を叫ぶ女性などがお立ち台に上がった。またこの日は聴くことはなかったが、コールリーダーと参加者の子供がトラメガを使って掛け合いでコールするという、参加者をほったらかした、悪ふざけ気味のパフォーマンスをすることもある(自由だから)。基本的に「スピーチ1分ルール」や「反/脱原発に関係ない内容はNG」といった原則は守られない(自由だから)。確信に満ちた場違いスピーチや独り善がりなコールも少なくないので、初心者にはおすすめできない。
この日はバンチョー君たちがスピーチエリアのコーラーとして参加していたのだが、この先、正門前エリアは変わっていくことができるだろうか。まあ、オレも全力で支援しますが。