徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

素晴らしき航海/デヴィッド・ボウイ

2009-08-10 03:12:27 | Music
この素敵な航海も長く続かず途中で腐り崩れる
だから私達は順調に年老いることができない
でも、これだけは確認しておこう
人間すべての尊厳の確立も大切だが
いま、こうして、なんとか生きていること自体
同じく大切だ

私達は抑圧の下で生きるコツを覚えつつある
もちろん抑圧されて生きたいとは思わないが
でも、どうにか、生きていけるんじゃないか

文明が高度に発達した世界で、人間は不完全
揺れ動く世界だが それが
軍備や戦争の理由にはなるまい
私達は自分達を父なし子の無用人間だと思おう
そう覚悟して生きることだ
もう二度と私達は、かっこいいことや
気の利いたことを言わないだろうから
デヴィッド・ボウイ「素晴らしき航海」Fantastic Voyage.1979 岩谷宏・訳)

な?/「鏡雨~kagamiame~」発売記念live SION-YAON2009

2009-08-08 23:58:12 | Music
時折花火の音(だけ)が聴こえる中、野音で「鏡雨~kagamiame~」発売記念live SION-YAON2009。ライブが始まる頃には蝉の音も止んで、8月とは思えないような涼しい風が吹き抜ける。SION曰く「福山に取られた」井上さんに代わり、今回は清水義将氏が参加。でも、やっぱり池畑さんのバスドラにはきっちりTHE MOGAMIの文字。野音はやっぱりMOGAMIということで。

2回目のアンコールが終わりメンバーが去ったあと、無人のマイクスタンドにピンスポットが当たり、川村カオリの「金色のライオン」が流れる。もちろんギターとハープでこの曲を歌っているのはSIONだ。彼女の死にあたってテレビ等の取材を断り、この曲をレコーディングしていたのだという。ライブ中も、時折空を見上げるように歌っていたのはこのことだったか。最後に再びSIONがステージに現れ、「な? な?」と空に向かって誰かに語りかけるように言いながら去っていった。

帰り際に久々に鶴さんにも再会できた。いろいろと大変なようだが元気そうで何より。まあ、それぞれがそれぞれでいろいろとあって、それでも年に1回ぐらいは野音でSIONのライブがあって、約束してもしなくても、会っても会わなくてもいいんだけれども、まあ、それぞれ別々の場所で同じライブを観ている。誰かが同じ屋根の下……ではなく同じ空の下にいる。それなりに働いたり、頑張って生きる理由なんてのは、そんなものでいいと思うのである。今年もいいライブだったよ。な?

<以下セットリスト>
①放つ
②お前の空まで曇らせてたまるか
③Teardrop
④鬼は外
⑤磨りガラス越しのオレンジ
⑥ガラクタ
⑦happy
⑧slide
⑨エレファントソング
⑩光へ
⑪鏡雨
⑫karan
⑬住人
⑭通報されるくらいに
⑮一瞬
⑯新宿の片隅から
⑰マイナスを脱ぎ捨てる
<アンコール1>
①遊ぼうよ
②お前がいる
③hallelujah
<アンコール2>
①今日の全部を
②彼女少々疲れぎみ
③たまには自分を褒めてやろう
④このままが
⑤金色のライオン(録音)


変わるということは終わるということではない、とか

2009-08-07 13:27:34 | News
のりぴーの件、何だか大方の予想通りの展開になっているわけですが。

人生は変わってしまうかもしれないけれども、それで終わるわけじゃない。
変わらずに、何かを続けていく人生は尊いが、時に人は変わることもできるから(変わらざるを得ない場合もある)生きていける。変わることを許してくれない人生やそんな不寛容な社会や人間関係は、とっても息苦しく、辛いものだ。
人間やめますかという例のアレは、個人の人生を社会が強制的に終わらせるような、ちょっと性質の悪いブラックジョークだと思う。

覚醒剤はそもそも非合法で、影響力の強いドラッグであり、彼女はただでさえちやほやされる元アイドルなのだから、容疑が事実ならば、のりぴー容疑者には辛い人生が待っている。ただ、オレを含め無責任なことを言うしかない一般大衆のためでなく、彼女を待っている誰かのために、彼女は人生を逃げるのではなく、人生を変える必要がある。
逃げるのならば、変えてから逃げればいいのである。
それにしても、のりぴーや押尾のアニキや大原麗子さんや裁判員制度や、いろんな意味でニュースの重なり具合が絶妙すぎるわけで、何らかの意図も感じたり感じなかったりするわけですが。あ、あと皆既日食とかも。

そして「もう、おまえは変わらなくてもいい」と言われた、ある男は開き直り、こう嘆く。

<死を受け入れる変わりに反省の心をすてました。死刑判決で死をもって償えと言うのは、俺にとって反省する必要ないから死ねということです。人は将来があるからこそ、自分の行いを反省し、くり返さないようにするのではないですか。将来のない死刑囚は反省など無意味です。(原文ママ)>(熊谷4人拉致殺傷事件・尾形英紀 確定死刑囚からの手紙 FRIDAY 2009年8月14日号より ※青木理「絞首刑」(講談社)

実に荒涼としている。今、この男を抹殺することは被害者関係者の復讐心を満たす以外の社会的な意味はない。この男がいかに変わり、どう「終わる」かということにこそ、社会的な意味はある。

ナカムラさん

2009-08-06 20:26:21 | LB中洲通信2004~2010
新宿でモアリズムのナカムラさん取材。中古のギターを買い、30歳でカリフラワーズを結成、そして約10年の活動の後、モアリズム結成。自分の音楽に圧倒的な確信を持ち、ライブサーキットの道作りに驀進中。カリフラワーズ以前のバンド活動の話、映画音楽の話を中心に話を訊く。
10月号で掲載予定です。



(追記)訂正及び謝罪です。モアリズムは「福岡のバンド」のように書きましたが、熊本出身のナカムラさんをはじめ(ほぼ)「九州出身者」で構成されたバンドの誤りでした(ちなみにアントニオ佐々木さんは福岡出身)。

闘将の生き方

2009-08-05 07:12:50 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10
<僕は間違ったんです。
随分失礼な物言いをしてしまってたくさんの人を傷つけてしまって。(中略)
僕は悪いことはきちんと謝りたかった、考えを改めた自分の
ことも出来る限りみんなに伝えておきたかった。>
戸田和幸オフィシャルブログ 8月4日付

戸田和幸のブログに、一部の清水のサポーターがちょっとどうかと思うようなコメントを寄せているようで、戸田が反論している。そんなことを正直に答えることはないと思うのだが、そのあたりが愛すべきバカである戸田らしい。

<埼スタのゲーム後、戸田さんがたったひとりピッチに残ってスタンドを見上げたり、ゆっくりと歩きながらロッカーへ戻っていきましたが、何か「特別な思い」でもあったのでしょうか? その後コメントを読むこともなかったので、彼の「思い」の真意を知りたいんですが…。>(Sの極み 2004年11月9日付)

もう4年前のことなので書いてしまうが、この質問を「Sの極み」に送ったのはオレだ。調査報告のコーナーで戸田が答えてくれている。
2002年のワールドカップ前後から2004年をピークに清水エスパルスというクラブにかつてないほどの閉塞感が漂っていたのは事実で、それが「瞳はレッドダイアモンド」の珍言を土産に浦和入りした三都主とかいうバカの離脱(元キャプテンの、この無神経ぶりに悔し涙を流したね、オレ)や、この時期の戸田の苛立ちにも似たプレイに象徴されていたと思う。
いつの頃からかクリーンなサッカーを標榜している清水にとって、ファイトするタイプの戸田は嫌われることも少なくないわけだが、オレは彼のプレイが好きだった。彼は清水に足りないものを確実に持っていたと思うから。
ただしチームの閉塞感が戸田のネガティブなイメージを増幅させてしまう。プレイ以外でも過去に監督とも衝突したこともある、無骨で主張の強い戸田は、ことさら突出することを避け、和を貴ぶ静岡人にとっては異質に感じられたのかもしれない(もちろんテクニカルなプレイを好む多くのサポーターにとって、ハード・アタックを繰り返す戸田のスタイルが「美しくない」と映ったのかもしれない)。しかし、闘うチームにはやっぱり闘将が必要なのよ。今、岩下が台頭しつつあるように。
ただ、あの頃の清水は戸田を生かし切れなかった。

オレが不安に思って質問を送ったその年に、やっぱり戸田はチームを離れた。
彼はその後空回りを続け、ネタのように降格請負人になってしまった。やはり彼は間違ってしまったのかもしれない。でも、それでいいじゃないかと思う。それが戸田らしい。ああいうスタイルや生き方を嫌う人もいるかもしれないが、愛している人も同じぐらいいるはずだ。
そして入れ替わるように監督に就任した長谷川健太によって清水エスパルスは破壊され、美しく甦ったのである。それは、ほとんどギャンブルに近い賭けだったけれども、おそらく閉塞感を打破して欲しいと望んでいたサポーターと共に、もしかしたら戸田も望んでいたことなのかもしれないと思っている。
そして、その賭けにはほとんど勝ったと思う。

オレは清水を良い思い出として懐かしみ、今も気にかける戸田の存在を誇らしく、嬉しく思うし、嫌う理由などひとつもない。むしろ不完全燃焼のまま清水を去らざるを得なくなった戸田を気の毒に思うぐらいだ。清水エスパルスに関わったプレーヤーには幸福な選手人生を送ってもらいたい。

あ、でも論外の三都主と、意味不明の移籍をした和道は嫌ってますよ、はっきし言って。

9月号到着

2009-08-04 01:15:58 | LB中洲通信2004~2010
ということでLB中洲通信9月号到着。
今回の特集は<未来>の未来。翻訳家で書評家の大森望さんのインタビュー。ここのところ『SF本の雑誌』が出たり、皆既日食があったりとそれなりに注目されているSFなんですが、別に、だからというワケじゃないですけどね。ご自身の著書でも自分史を語られている大森さんなのだが、駆け足でニッポンのSF少年の半生記、そしてSF(小説)の未来を語っていただきました。
その他、アダモちゃん25周年の島崎俊郎さんなどが登場。今回もご協力者の皆様、ありがとうございました。東京編集部は昨日から発送中です。

緒方さん

2009-08-04 00:59:37 | LB中洲通信2004~2010
午前中、銀座で『のんちゃんのり弁』の緒方明監督取材。石井聰亙監督とも関係の深い人なので5月号を手渡すと大ウケでしたが。
『独立少年合唱団』『いつか読書する日』に続く長編第3作目は、冒頭から(最近のテレビドラマに顕著な)ガーリーな感じがして正直しんどい印象もあったのだが、後半にかけて滲み出てくる緒方テイストに男子及びオヤジもココロの落とし所を見つけられるスピーディーでコメディタッチの小品。実際に話を訊いてみて、その辺りに実に職人的な意図と「コミュニケーション論」を描き続ける控え目な作家性が込められていることがよくわかった。
地元・亀戸天神もちょこっと出てくるので亀戸の民は観に行くように。

取材後、神楽坂の事務所へ寄って9月号の発送。

時代は変わる/第20節浦和戦

2009-08-03 00:37:08 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10
エダ「狙い通りではないけど、とりあえず枠には飛ばせて、ラッキーだった。(相手には)当たってない。GKが最初に倒れちゃったみたい」

エジミウソン「(相手の)ゴールシーンに関しては、味方に当たってコースが変わってという感じ」
(以上J'sGOAL 8月2日付

まあどっちでもいいんだが。
雨の埼スタで「浦和対清水」。
「時間というのは忘れるためにあるのかもしれない」と言ったのは橋本治だったが、時間、時代というのは何かが変わるためにある。そしてまた『仁義なき戦い 完結編』で天政会の大友勝利が言うように「牛の糞にも段々がある」。
かつてのチャンピオンチームである浦和レッズが過渡期に入ったとはいえ、健太は4年の歳月を積み重ねながらガンバ、鹿島、浦和というタイトルホルダーに肩を並べ、追い越しつつあると確信できたゲームだった(とはいえ闘莉王がピッチにいたらというシーンは何度かあったわけだが)。
時代は変わるわけですよ。The Times They Are A-Changin'なわけです。

何を思ったのか、啓太は「僕はそのサッカーが間違っていないと思っている」と口走っているが、それを言いたいのは健太と若き清水エスパルスなわけである。
啓太君、牛の糞にも段々があるんで。
結局、約2週間で同じ相手と3ゲームしながら、言い方は難しいが落としても構わないゲームに負けはしたものの、大事なところできっちり2連勝できたのは、まさに牛の糞のような積み重ねが効いたのだろうと思う。別に手の内を知ったところで、上位であろうが下位であろうが必死に結果を求めるホームチーム相手では膠着した展開にならざるを得ない。また消耗戦になる夏場の連戦では、特に健太と清水エスパルスが積み重ねてきたハードワークとぶ厚い選手層が効くのは当たり前なのだ。間違ってないのはこっちの話。
さすがに今年はタイトル獲らんと実にマズいのである。

フィンケ「そして、これから中断期間に入る。(中略)これが今日の試合のまとめではないだろうか」(J'sGOAL 8月2日付

めんどくさいので思いっきり中略しました。
これで夏の埼玉ツアーは終了。お互い運が良ければ、再戦は年末の天皇杯準決勝
その場にフィンケさんがいるかどうかはわからない。

2週間の中断を経て次は16日、アウスタで上位の新潟戦。ぶっちゃけ、今日の浦和戦以上に勝たなければならないゲームである。9月のナビスコ準決勝、FC東京戦まで負けられない戦いが続く。

両国で酒

2009-08-01 13:41:42 | 素日記
金曜日。両国で明川哲也さんと酒。
昨日がパティ・スミスで、今日が明川さん。これは何かの運命か。金髪先生で一番印象に残っていたのがパティ・スミスの回で、訊いてみると実際かなり視聴率も良かったそうだ。wikiを読んでみたら、あれ、かなり番組初期のシリーズだったのね。
哲也さんの日記を読んでもらうとわかるんだけれども、オレと同世代の、詩人の会時代からの古くからのファンの方が昨日亡くなったそうで、そんな話からテレビや本や雑誌や新聞、不況を楽しむ話、今時の若人が言う「人の為になる生き方」についての話、そしてアルルカン洋菓子店の今後の話など等。哲也さんの言葉を心の拠り所にしている編集者って多いんだなあ…。
アルルカン洋菓子店 on MySpace Music

いろいろと計画していることもあるそうなので楽しみにしている。