土曜日はアウスタで仙台戦。ここ数日の涼しさは13時キックオフでも何とか…とも思っていたが台風接近の影響もあるのか、(雨は降らなかったからいいものの)初夏のような好天で陽射しが強かった。これではピッチ内には少なからず影響は出る。
気温だけではなく、ゲームも相当熱くなった。
そういえばセレッソ時代の上本はアウスタでバックスタンドのサポーターとやり合ったったことがあったなとか、そんなことを思い出しながら観始めた。主審が東城ということもあり先制点を奪われた直後から、ピッチ内のみならず、スタンドもかなり熱くなって来た。
こう書くと嫌がる人もいるかもしれないけれども、アウスタのスタンドというのは相当口が悪い。しかもスタンドはピッチにも実に近い。良くも悪くもスタンドの雰囲気がダイレクトにプレーヤーに伝わる。アウスタ=日本平が日本有数のホームスタジアムだと思うのはそういうことである。この雰囲気を嫌がる人がいるというのは、このダイレクトな反応が相手チームのみならず、自分たちのチームにまで悪影響を及ぼすケースも少なくないという事実があるからなのだが、こればかりはホームスタジアムの醍醐味なのだから仕方がない。
ホームの雰囲気はオレたちが作る。そういうことである。
とはいえ優勝争いをしている仙台相手に12000人程度しか観客が入っていない事実は情けない限りなのだが、それでも、この日のアウスタは「ホーム」の名に相応しい攻撃的な雰囲気になった。
前日にはアレックスの移籍が発表され、伸二の移籍もほぼ確定として報道されていた(本日オフィシャルで公表)。これまでも岩下、枝村といった「期待の05年組」の放出が続いている中で、アレックス、伸二の移籍によって、これまでの「若手中心ながらベテランとの共存、融合を目指す」コンセプトを、「完全に若手に切り替えた」と報じられたアフシン、そしてプレーヤーたちはどんなパフォーマンスを見せるのか。
「切り替え」自体は、もともと若手を主体に起用してきた中でソフト・ランディングか、ハード・ランディングかという程度の違いしかないので、個人的にはクラブの経営に負担にならない程度に、アフシンが全力でマネージメントし易い方向で進めればいいと思っている。しかし結果は別である。近2試合で1分1敗、前節のセレッソ戦ではほとんど為す術なくセレッソの勢いに押し切られての敗戦といった状況で、相性の良い仙台相手と言っても、まず、そして、もはやホームでの負けは許されない。
当然のことながら、アフシンは掲げたコンセプトが正しいことを結果で証明しなければならないし、起用されたプレーヤーもまたそれにプレーで応える必要がある。スタンドの怒号に煽られたのか、今や不動のキャプテンである浩太や闘将キャラはもちろん、元紀までもが、相手やレフリーに対する厳しい表情を隠さない。
これは「荒い」のではなく、「激しい」という。
オレたちはプレーヤーの背中を押し、相手チームを(時にはレフリーをも)揺さぶることはできただろうか。
前半こそ後ろに重心をかけた、バランスを崩さない戦いを続けた仙台に主導権を奪われた感はあるが(まあ、ぶっちゃけミス待ちカウンター…)、後半からはゲーム全体が激しさを増した。言うまでもなく、その雰囲気を作ったのはチームの闘志とスタンドの声だったと思う。
鎌田(仙台)が退場してからあまりにも一方的な内容になり、優勝を争うチームである仙台としてはいかがなものかと思うような内容になってしまったが、清水にとってはホームで激しく結果を求めるのならば、ゲーム中に多少チームコンセプトを修正しながら、ツインタワー(金&瀬沼)という選択肢は当然あっていい。そしてこの日、完璧と言っていいほどふたりは結果を残した(特に、あの、瀬沼の“持ってる感”は一体何なのだろう)。前半、なかなかバランスを崩さない仙台相手にボランチで苦しんでいた河井も、後半に入って慣れた右サイドで息を吹き返した。
久々にホームらしいゲームが観られたと思う。
そして勝ちロコの後、メインとバックスタンドの客が姿を消し始めた頃、ゴール裏では伸二とアレックスのチャントが歌われた。
もちろんふたりともピッチにも、スタジアムにもいるわけではない。しかし、清水のために戦っていた彼らを快く送り出すためには、どうしたって“そこにいた彼ら”に向けて、歌わずにはいられない。
こちらも実に、清水のホームらしい光景だと思った。オレは熱くて激しいホームとスタンドを誇らしく思う。