宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所は、2015年度中の打ち上げをめざし、現在のX線観測衛星「すざく」の後継X線観測衛星「ASTRO-H」の開発を推進している。
宇宙の物質の8割以上は、X線でなければ観測できないと考えられており、日本は「X線天文学」の黎明期からこの分野で世界をリードしてきており、現在、X線観測衛星「すざく」が活躍している。
X線観測衛星「ASTRO-H」は、「すざく」の後継機に当たるもので、日本のX線観測衛星としては6番目となる。ASTRO-Hは、世界最先端の観測装置を搭載し、80億光年先までもの遠方(過去)をこれまでの衛星を遥かに凌駕する能力で観測する。
銀河団の中に渦巻く、X線でしか観測できない数千万度の高温ガスの激しい動きの直接測定や、今までは感度が足りなくて観測できなかった生まれたての銀河の中心にある巨大ブラックホールなどの観測を行い、宇宙がどのように進化して、今ある宇宙になったのかの謎に迫ることを狙う。
・開発の目的と役割:
1.硬X線望遠鏡によるはじめての撮像分光観測
2.はじめてのマイクロカロリメータによる超高分解能分光観測
3.0.3キロ電子ボルトから600キロ電子ボルトと、3桁以上にもおよぶ、過去最高の高感度広帯域観測
を通じて、ブラックホールの周辺や超新星爆発など高エネルギーの現象に満ちた極限宇宙の探査・高温プラズマに満たされた銀河団の観測を行い、宇宙の構造やその進化を探ることを目的とする。
・打上げ日時:2015年度
・場所:種子島宇宙センター
・ロケット: H-IIAロケット
・質量:2.4 t
・軌道高度:550km
・傾斜角:31度
・種類:円軌道
・周期:約96分
・主要ミッション機器(予定):硬X線望遠鏡(HXT)/軟X線望遠鏡(SXT-S,SXT-I)/硬X線撮像検出器(HXI)/軟X線分光器(SXS)/X線CCDカメラ(SXI)/軟ガンマ線検出器(SGD)