4月10日、国立天文台など世界約80の研究機関による国際研究チームは、世界6か所で同時に行われた記者会見において、巨大ブラックホールとその影の存在を初めて画像で直接証明することに成功したと発表した。
これは、地球上の8つの電波望遠鏡を結合させた国際協力プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ」よって行われた。イベント・ホライズン・テレスコープは、世界中の電波望遠鏡をつなぎ合わせて、圧倒的な感度と解像度を持つ地球サイズの仮想的な望遠鏡を作り上げるプロジェクト。
今回撮影されたのは、おとめ座銀河団の楕円銀河M87の中心に位置する巨大ブラックホール。このブラックホールは、地球から5500万光年の距離にあり、その質量は太陽の65億倍にも及ぶ。
ブラックホールは、莫大な質量を持つにもかかわらず非常にコンパクトな、宇宙でも特異な天体。ブラックホールがあることで、その周辺の時空間がゆがみ、周囲の物質は激しく加熱される。
イベント・ホライズン・テレスコープは、超長基線電波干渉計(Very Long Baseline Interferometry: VLBI)という仕組みを用いている。世界中に散らばる望遠鏡を同期させ、地球の自転を利用することで、地球サイズの望遠鏡を構成する。
今回イベント・ホライズン・テレスコープが観測したのは、波長1.3mmの電波。VLBIにより、イベント・ホライズン・テレスコープは解像度20マイクロ秒角という極めて高い解像度を実現できた。これは、人間の視力300万に相当し、月面に置いたゴルフボールが見えるほど。