理化学研究所(理研)開拓研究本部長瀧天体ビッグバン研究室の伊藤裕貴研究員、長瀧重博主任研究員、数理創造プログラムのドナルド・ウォレン研究員、金沢大学理工研究域数物科学系の米德大輔教授らの国際共同研究グループは、国立天文台、理化学研究所、京都大学基礎物理学研究所のスーパーコンピュータを用いて、宇宙最大の爆発現象である「ガンマ線バースト」におけるスペクトルと明るさの相関関係(米徳関係)を、数値シミュレーションによって理論的に再現することに成功した。
経験則であった米徳関係の理論的基盤を示した同研究成果は、長年の謎となっていたガンマ線バーストの放射機構の解明に大きく貢献すると期待できる。
ガンマ線バーストの放射機構の理論モデルとして、近年「光球面放射モデル」が注目を集めている。しかし、理論的な精査はまだ不十分であり、このモデルの妥当性を実証するには至っていなかった。
今回、国際共同研究グループは、相対論的流体シミュレーションと輻射輸送シミュレーションを組み合わせることによって、大質量星の爆発に伴う相対論的ジェットからの光球面放射の評価を行った。
その結果、ガンマ線バーストの観測から経験則として知られていた米徳関係が、ジェットが大質量星の外層を突き抜ける際に形成する構造に起因して、自然に再現されることを明らかにした。
この結果は、ガンマ線バーストの主な放射機構が光球面放射であることを強く示している。