宇宙航空研究開発機構(JAXA)の超低高度衛星技術試験機「つばめ(SLATS)」が、「Lowest altitude by an Earth observation satellite in orbit」としてギネス世界記録に認定された。
超低高度衛星のメリットは小さなセンサを用いて高分解能の衛星画像を取得できることだが、「超低高度」と呼ばれる軌道高度200~300 kmでは通常の地球観測衛星が飛行する高度に比べて大気抵抗や衛星材料を劣化させる原子状酸素の密度が1000倍程度となる。このため、超低高度は、精密な姿勢・軌道制御や長期間の衛星運用が求められる地球観測衛星には不向きとされていた。
「つばめ」は、271.5 kmにて軌道を保持した後、段階的に軌道高度を下げ、最終的にギネス認定の世界記録となった167.4 kmにて7日間の軌道保持を行った。この軌道保持においても、高分解能の衛星画像を取得する実験にて、良好な画質の画像を取得できた。
また、大気密度、原子状酸素の密度や大気に曝露した材料サンプルの劣化状況などのデータを取得するとともに、JAXAが開発した材料が長期間の原子状酸素の曝露に耐えることも実証した。