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■リエージュ・ギューマン駅の朝
波乱万丈の初日が終わり、ホテルでゆっくり回復したところで、心にも余裕が戻りましたので
翌朝、朝食前にホテルを抜けだして、(因縁の)リエージュ・ギューマン駅へ。
こ~~~~~~んな美しい駅なんですよ?私が痴漢されたのは(痴漢ではないw)
リエージュ・ギューマン駅は近年改築された、大屋根に覆われた現代美術館のような駅です。
夜はライトアップされて綺麗だったんだけどなー。
朝7時前ですが、かなり薄暗い。
でも、夜のような怖さはなく、歩いている人もサラリーマン風の“大丈夫そうな”人が多いです。
ちなみに宿泊したホテルは、一番左のビル。こんな近くのホテルなんです。
遠くには巨大なビルが見えますが、どこか物悲しい雰囲気が漂う風景ですね。
コンコースからホームを見る。宇宙船のようで、美しい。
ホームに降りてみます。
朝の通勤・通学輸送に活躍する、通勤電車が待機しておりました。
ベルギー国鉄はドイツ鉄道と違い、通勤・通学用の「電車」を多数走らせているようです。
そして、これらの電車は、皆『ツリカケ』という、素晴らしさ!!
日本の田舎駅のようなコンプレッサーの音が、宇宙船の中に響き渡ります。
田舎駅のような、と書きましたが、立派な幹線の駅。
ユーベン行のインターシティが到着し、少し後に
オーステンデ(オステンド)行のインターシティも到着しました。
↑オーステンデはオランダ語、フランス語だとオステンドなので、フランス語圏のこの駅では「オステンド」と案内しています。
電車とともに客車列車も、ドイツ同様に走っております。
オーステンデ(オステンド)行のインターシティが出発。
直後に、吊り掛け電車も出発していきました。
重々しい吊り掛け音がドーム駅舎に響き渡ります。
※音量注意 リエージュを出発するツリカケ電車達/Trains in Liège-Guillemins(1)
日本では、ほぼ絶滅した吊り掛け電車ですが
大陸の鉄道ではまだまだ健在のようですね。
少し明るくなってきました。
ヨーロッパの朝は、曇りがちですね。日中はカラッと晴れわたる日が多いようですが。
リエージュ・ギューマン駅の大屋根です。
地上駅のようですが、実はホームがあるのは2階で
地下のような1階に、トイレ等が集まるコンコースがありました。
昨日、国境駅アーヘンから乗った、2両編成の吊り掛け電車が登場です。
4枚扉がパタパタと開く、かわいらしい電車です。
これを4年前の旅行の時に、リエージュ駅でチラッと見かけてから
いつか、撮ってやろう、とずっと思っていたのですが、念願叶って。
リエージュ ツリカケ電車の出発
小さな電車ですが、重々しい音で出発していきます。
警笛はサービスかな。
※後で調べたら、この電車は、AM50型~AM79型という形式名なのでそうで、
形式名の示す通り、1950年~1979年に製造された車両とのことでした。
1950年といえば、日本だと国鉄の80系電車とか、そういう世代の車両になるわけですから
えらい長寿の車両なんだなぁと、感心。
動画にもあるように、車掌さんの制服、憲兵?のような帽子が、ちょっと時代を感じさせる印象です。
女性の車掌さんも多く、こちらは割とスラっとした服装でしたが、お隣DBやオランダ国鉄に比べるとやや“もさっと”した印象。
後ろは片目です。
それにしても、ベルギー国鉄の電車は落書きが酷いです。
とくにこのリエージュ近辺の電車は、落書きが酷い印象でした。
このあと訪れるブリュージュ(ブルッヘ)や、アントワープ(アントウェルペン)を走る電車は
ここまでひどくなかったように思います。
やはり経済的な格差、失業率の差などが影響しているのでしょうか。
先にも書いたように、朝のリエージュ・ギュマン(リューク・ギューマン)駅の治安はかなりよさそうです。
昨夜の様子が嘘のよう。怖さを感じるようなことはありませんでした。
清掃の方々や警察の方が、駅員の方々がたくさんいらっしゃったのも、心強いです。
ただし、100%安全か、というとそういうわけではないようで、
駅のコンコースやホームの一部には、所在なさげにうろついている人々もいましたので、油断は、できません。
ホテルに戻って、朝食を食べて…
(写真はホテルの窓から見た、リエージュの街並みです。やっぱりどこか、物悲しい)
ホテルをチェックアウトして、再びギューマン駅へ。
チェックアウトのときに、フロントのお兄さんにフランス語でんにゃらららら~?と聞かれて
ぽかーんとしていたら、後ろを通った黒人お兄さんが
「your room number?」と教えてくれました。
怖い黒人さんもいれば、優しい黒人さんもいるんですね~
再びギューマン駅です。
これから乗るのは、右の電車。先ほど走っていたのと同じ、吊り掛け通勤電車です。
左のゴリラ顔は、インターシティなどで運用される電車なのですが、
黄色の部分に運転台がユニットとなっていて、連結して運用する際は
顔の周りのゴムがぶちゅっとくっつき、そのまま貫通幌となるという面白い構造です。
※こちらも調べてみたところ、ツリカケ通勤電車はAM80型電車というそうで、
意外と新しめ(でもない)の車両でした。
左のゴリラはAM96型電車というそうで、Wikipediaによれば3両1ユニットとのことですが、実際に走っているものの中には
4両1ユニットで運行されているものもいたような気がします。
眺めていたら左端に電車が到着。
国境で乗った吊り掛け電車をリニューアルしたもので、塗装が変わっているようですが、
相変わらずツリカケです。使い倒しますねぇ。
■オランダの古い街、マーストリヒトへ
発車時刻が近づいたので、右端の電車に入りました。
本日、最初に向かうのは、オランダの、マーストリヒトという町。
オランダ?と思うかもしれませんが、このマーストリヒトという町は
↑地図をちょっとぐりぐりしてもらうとわかると思うのですが…
オランダの長~く突き出た尻尾のような場所にありまして、西をベルギー、東をドイツに挟まれた
離れ小島のような場所にある街なのです。
リエージュから電車で、たった30分の距離。
こんな立地であるため、歴史的にはやはり色々あってオランダに入ったと、そういう感じだそうで。
今日は、このマーストリヒトを観光したら、リエージュに戻ってきて
そこからICで一気に海辺の町、ブリュージュ(ブルッヘ)へと向かうという行程になります。
【Liège-Guillemins】9:09 →【Maastricht】9:42(R5359列車 Maastricht行)
ツリカケ通勤電車の車内、ユーレイルパス利用なので当然1等車なのですが
少し古い会社の応接室のような、使い古されたふかふかのシートと、謎の壁画で
外見以上にアンティークな雰囲気でした。
残念ながら1等車ではツリカケモーターの音はしませんでしたが、日本の電車とは根本的に設計が違うのでしょう
どしん、どしんとかなり重厚なジョイント音を立てて走りだしました。
AM80型電車の走行音(車窓に流れるのはリエージュの、ちょっと寂しい街並みです)
↑窓に反射してますが、昨日の失敗から学び
車内では基本的に、サブのコンデジで写真や動画を撮ることにしました。
下手に一眼出して、また狙われるといやですから。。
郊外に出るとマース川に沿って走り、走り出してから2つ目ぐらいの駅でオランダに入ります。
山岳地帯という感じではなく、ドイツのライン川流域のような風光明媚な路線ではありません、
延々牧草地帯と、寂れた工業地帯が続きます。
国境駅②
ところで、ベルギーの電車には必ず網棚に、荷物を固定するためのスリットが付いています。
電車に乗っているときは、このようにスーツケースをワイヤーで固定。
これがあれば、列車乗車中であっても安心してトイレに行くことができます。
駅のトイレは有料ですから、できるだけ車内で済ませるように。これも、この旅で学んだポイントです。
と、そんなこんなで30分のショート・トリップ
あっという間にオランダ南端の町、マーストリヒトに到着しました。
マーストリヒト到着前になると、列車の速度がガクンと低下します。
これは事前に調べていたので知っていたのですが、オランダ国鉄は直流1500ボルト、ベルギー国鉄は直流3000ボルトであるものの
ベルギーからオランダへの直通電車は、特に何かをするわけでもなくそのまま直通させるため、
通常の半分しかスピードが出せなくなるのだそうです。
VVVFの新型車は、電流や電圧の急激な変化は機器に悪影響を与えるんだそうで、
ベルギーからの直通電車にツリカケが多いのは、そういう理由もあるのかもしれません。
(後日乗った、オランダからドイツへの国境列車は、オランダ国内を気動車、ドイツに入ってから電車、というハイブリッド)
隣のホームにオランダ国鉄の車両。なんか、ものすっごく眩しく見えるんですが(落書きないしw)
たった30分で、こうも違うのかと
マーストリヒト駅もかなり歴史のある駅のようです。
マーストリヒト駅、ここは完全に、NS(オランダ国鉄)の駅になります。
アムステルダム、ユトレヒト方面から1時間に2本直通列車があるほか、
ここからローカル線を乗り継いで、ドイツ方面に抜けることも可能なのだそうです。
駅舎はかなり古そうなものですが、やはり昨日見たドイツの駅とも違う雰囲気。
早速、街を散策しましょう。おぉ、綺麗だw
駅前通りです。まだ朝9時のため、人影はまばらですが、治安の悪そうな雰囲気はまーーーったくなし
※ヨーロッパの旅行者は、だいたい朝10時頃から活動開始するようで、どこの町も昼頃になると人がわらわらと現れてきました。
日本人(私)は、早起きの部類みたいです。でも、旅行の期間は限られますし、ホテルにいてもやることないですからね…。
駅からしばらく歩くと、マース川に架かる「聖セルファースル橋」を渡ります。
この橋は、オランダ最古の石橋といわれているそうです。
ちょっと時系列が前後しますが、昼過ぎに撮った橋の全景がこちら
ね、かなり立派でしょ?
橋上は歩行者・自転車専用になっているような雰囲気でした。
しかしこの橋、もう少し「引きで」全体を撮ると、こうなる
はい、右端のツースパンぐらいが、なにやら改造されていますw
実はこの部分、跳ね橋になっていまして、船が通ると開く「跳開橋」構造
というのもマース川は水運が盛んで、巨大な輸送船やら観光船やらがごろごろいるので
石橋のままだと、船が通るのに邪魔なのでしょう。
端が開くときは、このように
踏切が鳴り、遮断機が下りて、通行止めになります。
もっとも両サイドの歩行者・自転車用通路は(かなりの坂ですが)解放されているようなので、橋が開いているときも
平気で通過する現地人を多数見かけましたがw
この部分は「引き」で撮らなければ目立たないように、うまくカモフラージュされていて
そこらへんはさすが、上手いなぁ、と。
橋の袂には、こんな感じで
日本の内陸河川では考えられないような、巨大な船がごろごろしてます。
※マース川もそうですが、ベルギーの大河川は海へそそぐ前に、オランダの領内を通ります。
ベルギーとオランダは仲が良いわけではなさそうで、戦争になるとオランダが河川を止めてしまう、
そうなるとベルギーと海外を結ぶ手段がなくなる…ということで
ベルギーは欧州大陸で最初に鉄道を開通させることになったのだそうです。
余談でした。
なお、ベルギーで最初に鉄道が通った駅も、ブリュッセル近郊にあり、この後通過します。
聖セルファースル橋を渡った先は、マーストリヒトの旧市街
うん、やはりオランダ、街の雰囲気はドイツやベルギーとちょっと異なります。
広場に出ました。フライトホフ広場というそうです。
奥の赤い塔は聖ヤンス教会。牛の血で赤く染めた、とかそういう伝説があるそうで。
さすがに今はペンキでしょうが…
右は聖セルファース教会
こんなに近い距離に教会がひしめき合っているのも、歴史的な経緯からなんだそうです。
※私はキリスト教には詳しくないですが、左と右で宗派も違うとのことです。
歴史的建築がひしめき合っております。
軍服祭り?でしょうか
アメリカ軍の装飾がされたトラックやら、軍服を着た人々が、集まってお茶してました。
…お茶してました、ってのがオランダっぽいですね。ドイツだったら間違いなく飲んでるw
街の西部には城壁があります。
マーストリヒトは神聖ローマ帝国の西の端だったそうで、このあたりはいにしえの時代の国境地帯ということになります。
この城壁には『地獄の門』なるものもあるそうですが、私は見逃してしまいました。
なんでも中世の時代に、ペストなどの流行病にかかった患者を、街から締め出すために使っていたとか。
空にそびえるツインタワーは、聖母教会
古そうだなと思ったらやはりそうで、この様式は古代ローマの教会様式なんだそうです。
てくてく歩いて街の北側へ。こちらは市庁舎。どしっとして、かっこいいですね。
何やら音楽祭の準備をしておりました。
市庁舎のすぐ裏には、モダンなショッピングセンターがあったりして、中世と現代の混ざり合った不思議な景色が見られました。
さて、ぶらぶらしながら一通り見たので、マーストリヒト駅に戻ります。
マース川を眺めて、マーストリヒト駅へ。
※この旅行記は、なるべく鉄道メインでいき、観光のところはなるべくあっさりと書きたいと思うんです。
というのは、この旅行記を参考にして、ヨーロッパを旅行してみようかな、となったときに
名所・見どころを全部書かれてしまっていると、なんか冷めるでしょ?
「世界の歩き方」が写真をほとんど掲載しないのと同じで、私も
街のおもな魅力は伝えられるよう、頑張って書きますが、一から十まで全部書いてしまわないように
ほどほどの紹介にとどめたいと思います。
また、実際問題見どころが多すぎて、書ききれない、というのも理由です。
マーストリヒトも、主要な観光名所は上に書いた通りですが、そこへ至る無名の道やら、カフェやら広場やら
すべてが美しく、十メートル歩いては立ち止まり、また十メートル歩いては立ち止まり…といった具合で
その魅力をすべて記事に書こうとすると、キリがないのです。
もしこの記事で、マーストリヒトに興味を持った!という方は
オランダ観光局が紹介記事を書いているので、そちらを参照して、もっと魅力を感じてください。
(オランダ観光局HP「マーストリヒト」→ https://www.holland.com/jp/tourism/destinations/maastricht.htm)
そして、行きたい!となったら、本ブログの『準備編』を参照してください。
皆さまの旅に、ほんの少しでもお役に立てれば幸いかな、と思っています。
【Maastricht】12:19 →【Liège-Guillemins】12:53(R5382列車 Liège-Guillemins行)
車窓風景(マーストリヒトからリエージュ)
↑動画の真ん中辺で渡るのも、マース川。
リエージュの街もマース川の水運によって発展したのだそうです。
さすがに日が差してくると、物悲しさも薄れますね。
リエージュ駅が近づくと、車窓の左右に車両基地が広がります。
車両基地ではドアを開けておくのがベルギー流でしょうか。
うっわぁ…現役の車両には見えませんな…笑
昼を過ぎたリエージュ・ギューマン駅に到着です。
さすがに明るくなってきて、旅行者の姿も目立つようになってきました。
昨日この場所で痴漢に(略
次はインターシティで、ブリュージュ(ブルッヘ)を目指します!
★2018ベネルクスの旅 各記事へのリンク★
(序)準備編~ドイツまで
(1)ドイツからベネルクス入国まで
(2)リエージュの吊り掛け電車達と、オランダ国境の街<本記事>
(3)ベルギーを大移動、屋根のない博物館へ
(4)芸術の駅へ
(5)芸術の街からオランダへ
(6)オランダは自由の国(いろんな意味で)
(7)風車の村
(8)フリッツァー事件
(9)アムステルダムで鉄道を見る
(10)ユトレヒトで、もっと鉄道を見る(散策編)
(11)ユトレヒトで、もっと鉄道を見る(鉄道博物館編)
(12)ドイツへ戻る。。。。
(13)コブレンツと、ルクセンブルク(前編:鉄道編)
(14)ルクセンブルク(後編:観光編)
(15)帰国日に、事件発生
■リエージュ・ギューマン駅の朝
波乱万丈の初日が終わり、ホテルでゆっくり回復したところで、心にも余裕が戻りましたので
翌朝、朝食前にホテルを抜けだして、(因縁の)リエージュ・ギューマン駅へ。
こ~~~~~~んな美しい駅なんですよ?私が痴漢されたのは(痴漢ではないw)
リエージュ・ギューマン駅は近年改築された、大屋根に覆われた現代美術館のような駅です。
夜はライトアップされて綺麗だったんだけどなー。
朝7時前ですが、かなり薄暗い。
でも、夜のような怖さはなく、歩いている人もサラリーマン風の“大丈夫そうな”人が多いです。
ちなみに宿泊したホテルは、一番左のビル。こんな近くのホテルなんです。
遠くには巨大なビルが見えますが、どこか物悲しい雰囲気が漂う風景ですね。
コンコースからホームを見る。宇宙船のようで、美しい。
ホームに降りてみます。
朝の通勤・通学輸送に活躍する、通勤電車が待機しておりました。
ベルギー国鉄はドイツ鉄道と違い、通勤・通学用の「電車」を多数走らせているようです。
そして、これらの電車は、皆『ツリカケ』という、素晴らしさ!!
日本の田舎駅のようなコンプレッサーの音が、宇宙船の中に響き渡ります。
田舎駅のような、と書きましたが、立派な幹線の駅。
ユーベン行のインターシティが到着し、少し後に
オーステンデ(オステンド)行のインターシティも到着しました。
↑オーステンデはオランダ語、フランス語だとオステンドなので、フランス語圏のこの駅では「オステンド」と案内しています。
電車とともに客車列車も、ドイツ同様に走っております。
オーステンデ(オステンド)行のインターシティが出発。
直後に、吊り掛け電車も出発していきました。
重々しい吊り掛け音がドーム駅舎に響き渡ります。
※音量注意 リエージュを出発するツリカケ電車達/Trains in Liège-Guillemins(1)
日本では、ほぼ絶滅した吊り掛け電車ですが
大陸の鉄道ではまだまだ健在のようですね。
少し明るくなってきました。
ヨーロッパの朝は、曇りがちですね。日中はカラッと晴れわたる日が多いようですが。
リエージュ・ギューマン駅の大屋根です。
地上駅のようですが、実はホームがあるのは2階で
地下のような1階に、トイレ等が集まるコンコースがありました。
昨日、国境駅アーヘンから乗った、2両編成の吊り掛け電車が登場です。
4枚扉がパタパタと開く、かわいらしい電車です。
これを4年前の旅行の時に、リエージュ駅でチラッと見かけてから
いつか、撮ってやろう、とずっと思っていたのですが、念願叶って。
リエージュ ツリカケ電車の出発
小さな電車ですが、重々しい音で出発していきます。
警笛はサービスかな。
※後で調べたら、この電車は、AM50型~AM79型という形式名なのでそうで、
形式名の示す通り、1950年~1979年に製造された車両とのことでした。
1950年といえば、日本だと国鉄の80系電車とか、そういう世代の車両になるわけですから
えらい長寿の車両なんだなぁと、感心。
動画にもあるように、車掌さんの制服、憲兵?のような帽子が、ちょっと時代を感じさせる印象です。
女性の車掌さんも多く、こちらは割とスラっとした服装でしたが、お隣DBやオランダ国鉄に比べるとやや“もさっと”した印象。
後ろは片目です。
それにしても、ベルギー国鉄の電車は落書きが酷いです。
とくにこのリエージュ近辺の電車は、落書きが酷い印象でした。
このあと訪れるブリュージュ(ブルッヘ)や、アントワープ(アントウェルペン)を走る電車は
ここまでひどくなかったように思います。
やはり経済的な格差、失業率の差などが影響しているのでしょうか。
先にも書いたように、朝のリエージュ・ギュマン(リューク・ギューマン)駅の治安はかなりよさそうです。
昨夜の様子が嘘のよう。怖さを感じるようなことはありませんでした。
清掃の方々や警察の方が、駅員の方々がたくさんいらっしゃったのも、心強いです。
ただし、100%安全か、というとそういうわけではないようで、
駅のコンコースやホームの一部には、所在なさげにうろついている人々もいましたので、油断は、できません。
ホテルに戻って、朝食を食べて…
(写真はホテルの窓から見た、リエージュの街並みです。やっぱりどこか、物悲しい)
ホテルをチェックアウトして、再びギューマン駅へ。
チェックアウトのときに、フロントのお兄さんにフランス語でんにゃらららら~?と聞かれて
ぽかーんとしていたら、後ろを通った黒人お兄さんが
「your room number?」と教えてくれました。
怖い黒人さんもいれば、優しい黒人さんもいるんですね~
再びギューマン駅です。
これから乗るのは、右の電車。先ほど走っていたのと同じ、吊り掛け通勤電車です。
左のゴリラ顔は、インターシティなどで運用される電車なのですが、
黄色の部分に運転台がユニットとなっていて、連結して運用する際は
顔の周りのゴムがぶちゅっとくっつき、そのまま貫通幌となるという面白い構造です。
※こちらも調べてみたところ、ツリカケ通勤電車はAM80型電車というそうで、
意外と新しめ(でもない)の車両でした。
左のゴリラはAM96型電車というそうで、Wikipediaによれば3両1ユニットとのことですが、実際に走っているものの中には
4両1ユニットで運行されているものもいたような気がします。
眺めていたら左端に電車が到着。
国境で乗った吊り掛け電車をリニューアルしたもので、塗装が変わっているようですが、
相変わらずツリカケです。使い倒しますねぇ。
■オランダの古い街、マーストリヒトへ
発車時刻が近づいたので、右端の電車に入りました。
本日、最初に向かうのは、オランダの、マーストリヒトという町。
オランダ?と思うかもしれませんが、このマーストリヒトという町は
↑地図をちょっとぐりぐりしてもらうとわかると思うのですが…
オランダの長~く突き出た尻尾のような場所にありまして、西をベルギー、東をドイツに挟まれた
離れ小島のような場所にある街なのです。
リエージュから電車で、たった30分の距離。
こんな立地であるため、歴史的にはやはり色々あってオランダに入ったと、そういう感じだそうで。
今日は、このマーストリヒトを観光したら、リエージュに戻ってきて
そこからICで一気に海辺の町、ブリュージュ(ブルッヘ)へと向かうという行程になります。
【Liège-Guillemins】9:09 →【Maastricht】9:42(R5359列車 Maastricht行)
ツリカケ通勤電車の車内、ユーレイルパス利用なので当然1等車なのですが
少し古い会社の応接室のような、使い古されたふかふかのシートと、謎の壁画で
外見以上にアンティークな雰囲気でした。
残念ながら1等車ではツリカケモーターの音はしませんでしたが、日本の電車とは根本的に設計が違うのでしょう
どしん、どしんとかなり重厚なジョイント音を立てて走りだしました。
AM80型電車の走行音(車窓に流れるのはリエージュの、ちょっと寂しい街並みです)
↑窓に反射してますが、昨日の失敗から学び
車内では基本的に、サブのコンデジで写真や動画を撮ることにしました。
下手に一眼出して、また狙われるといやですから。。
郊外に出るとマース川に沿って走り、走り出してから2つ目ぐらいの駅でオランダに入ります。
山岳地帯という感じではなく、ドイツのライン川流域のような風光明媚な路線ではありません、
延々牧草地帯と、寂れた工業地帯が続きます。
国境駅②
ところで、ベルギーの電車には必ず網棚に、荷物を固定するためのスリットが付いています。
電車に乗っているときは、このようにスーツケースをワイヤーで固定。
これがあれば、列車乗車中であっても安心してトイレに行くことができます。
駅のトイレは有料ですから、できるだけ車内で済ませるように。これも、この旅で学んだポイントです。
と、そんなこんなで30分のショート・トリップ
あっという間にオランダ南端の町、マーストリヒトに到着しました。
マーストリヒト到着前になると、列車の速度がガクンと低下します。
これは事前に調べていたので知っていたのですが、オランダ国鉄は直流1500ボルト、ベルギー国鉄は直流3000ボルトであるものの
ベルギーからオランダへの直通電車は、特に何かをするわけでもなくそのまま直通させるため、
通常の半分しかスピードが出せなくなるのだそうです。
VVVFの新型車は、電流や電圧の急激な変化は機器に悪影響を与えるんだそうで、
ベルギーからの直通電車にツリカケが多いのは、そういう理由もあるのかもしれません。
(後日乗った、オランダからドイツへの国境列車は、オランダ国内を気動車、ドイツに入ってから電車、というハイブリッド)
隣のホームにオランダ国鉄の車両。なんか、ものすっごく眩しく見えるんですが(落書きないしw)
たった30分で、こうも違うのかと
マーストリヒト駅もかなり歴史のある駅のようです。
マーストリヒト駅、ここは完全に、NS(オランダ国鉄)の駅になります。
アムステルダム、ユトレヒト方面から1時間に2本直通列車があるほか、
ここからローカル線を乗り継いで、ドイツ方面に抜けることも可能なのだそうです。
駅舎はかなり古そうなものですが、やはり昨日見たドイツの駅とも違う雰囲気。
早速、街を散策しましょう。おぉ、綺麗だw
駅前通りです。まだ朝9時のため、人影はまばらですが、治安の悪そうな雰囲気はまーーーったくなし
※ヨーロッパの旅行者は、だいたい朝10時頃から活動開始するようで、どこの町も昼頃になると人がわらわらと現れてきました。
日本人(私)は、早起きの部類みたいです。でも、旅行の期間は限られますし、ホテルにいてもやることないですからね…。
駅からしばらく歩くと、マース川に架かる「聖セルファースル橋」を渡ります。
この橋は、オランダ最古の石橋といわれているそうです。
ちょっと時系列が前後しますが、昼過ぎに撮った橋の全景がこちら
ね、かなり立派でしょ?
橋上は歩行者・自転車専用になっているような雰囲気でした。
しかしこの橋、もう少し「引きで」全体を撮ると、こうなる
はい、右端のツースパンぐらいが、なにやら改造されていますw
実はこの部分、跳ね橋になっていまして、船が通ると開く「跳開橋」構造
というのもマース川は水運が盛んで、巨大な輸送船やら観光船やらがごろごろいるので
石橋のままだと、船が通るのに邪魔なのでしょう。
端が開くときは、このように
踏切が鳴り、遮断機が下りて、通行止めになります。
もっとも両サイドの歩行者・自転車用通路は(かなりの坂ですが)解放されているようなので、橋が開いているときも
平気で通過する現地人を多数見かけましたがw
この部分は「引き」で撮らなければ目立たないように、うまくカモフラージュされていて
そこらへんはさすが、上手いなぁ、と。
橋の袂には、こんな感じで
日本の内陸河川では考えられないような、巨大な船がごろごろしてます。
※マース川もそうですが、ベルギーの大河川は海へそそぐ前に、オランダの領内を通ります。
ベルギーとオランダは仲が良いわけではなさそうで、戦争になるとオランダが河川を止めてしまう、
そうなるとベルギーと海外を結ぶ手段がなくなる…ということで
ベルギーは欧州大陸で最初に鉄道を開通させることになったのだそうです。
余談でした。
なお、ベルギーで最初に鉄道が通った駅も、ブリュッセル近郊にあり、この後通過します。
聖セルファースル橋を渡った先は、マーストリヒトの旧市街
うん、やはりオランダ、街の雰囲気はドイツやベルギーとちょっと異なります。
広場に出ました。フライトホフ広場というそうです。
奥の赤い塔は聖ヤンス教会。牛の血で赤く染めた、とかそういう伝説があるそうで。
さすがに今はペンキでしょうが…
右は聖セルファース教会
こんなに近い距離に教会がひしめき合っているのも、歴史的な経緯からなんだそうです。
※私はキリスト教には詳しくないですが、左と右で宗派も違うとのことです。
歴史的建築がひしめき合っております。
軍服祭り?でしょうか
アメリカ軍の装飾がされたトラックやら、軍服を着た人々が、集まってお茶してました。
…お茶してました、ってのがオランダっぽいですね。ドイツだったら間違いなく飲んでるw
街の西部には城壁があります。
マーストリヒトは神聖ローマ帝国の西の端だったそうで、このあたりはいにしえの時代の国境地帯ということになります。
この城壁には『地獄の門』なるものもあるそうですが、私は見逃してしまいました。
なんでも中世の時代に、ペストなどの流行病にかかった患者を、街から締め出すために使っていたとか。
空にそびえるツインタワーは、聖母教会
古そうだなと思ったらやはりそうで、この様式は古代ローマの教会様式なんだそうです。
てくてく歩いて街の北側へ。こちらは市庁舎。どしっとして、かっこいいですね。
何やら音楽祭の準備をしておりました。
市庁舎のすぐ裏には、モダンなショッピングセンターがあったりして、中世と現代の混ざり合った不思議な景色が見られました。
さて、ぶらぶらしながら一通り見たので、マーストリヒト駅に戻ります。
マース川を眺めて、マーストリヒト駅へ。
※この旅行記は、なるべく鉄道メインでいき、観光のところはなるべくあっさりと書きたいと思うんです。
というのは、この旅行記を参考にして、ヨーロッパを旅行してみようかな、となったときに
名所・見どころを全部書かれてしまっていると、なんか冷めるでしょ?
「世界の歩き方」が写真をほとんど掲載しないのと同じで、私も
街のおもな魅力は伝えられるよう、頑張って書きますが、一から十まで全部書いてしまわないように
ほどほどの紹介にとどめたいと思います。
また、実際問題見どころが多すぎて、書ききれない、というのも理由です。
マーストリヒトも、主要な観光名所は上に書いた通りですが、そこへ至る無名の道やら、カフェやら広場やら
すべてが美しく、十メートル歩いては立ち止まり、また十メートル歩いては立ち止まり…といった具合で
その魅力をすべて記事に書こうとすると、キリがないのです。
もしこの記事で、マーストリヒトに興味を持った!という方は
オランダ観光局が紹介記事を書いているので、そちらを参照して、もっと魅力を感じてください。
(オランダ観光局HP「マーストリヒト」→ https://www.holland.com/jp/tourism/destinations/maastricht.htm)
そして、行きたい!となったら、本ブログの『準備編』を参照してください。
皆さまの旅に、ほんの少しでもお役に立てれば幸いかな、と思っています。
【Maastricht】12:19 →【Liège-Guillemins】12:53(R5382列車 Liège-Guillemins行)
車窓風景(マーストリヒトからリエージュ)
↑動画の真ん中辺で渡るのも、マース川。
リエージュの街もマース川の水運によって発展したのだそうです。
さすがに日が差してくると、物悲しさも薄れますね。
リエージュ駅が近づくと、車窓の左右に車両基地が広がります。
車両基地ではドアを開けておくのがベルギー流でしょうか。
うっわぁ…現役の車両には見えませんな…笑
昼を過ぎたリエージュ・ギューマン駅に到着です。
さすがに明るくなってきて、旅行者の姿も目立つようになってきました。
昨日この場所で痴漢に(略
次はインターシティで、ブリュージュ(ブルッヘ)を目指します!
★2018ベネルクスの旅 各記事へのリンク★
(序)準備編~ドイツまで
(1)ドイツからベネルクス入国まで
(2)リエージュの吊り掛け電車達と、オランダ国境の街<本記事>
(3)ベルギーを大移動、屋根のない博物館へ
(4)芸術の駅へ
(5)芸術の街からオランダへ
(6)オランダは自由の国(いろんな意味で)
(7)風車の村
(8)フリッツァー事件
(9)アムステルダムで鉄道を見る
(10)ユトレヒトで、もっと鉄道を見る(散策編)
(11)ユトレヒトで、もっと鉄道を見る(鉄道博物館編)
(12)ドイツへ戻る。。。。
(13)コブレンツと、ルクセンブルク(前編:鉄道編)
(14)ルクセンブルク(後編:観光編)
(15)帰国日に、事件発生
>そのまま直通
吊掛電車だから為せる業、でしょうか。
落書きだらけのボロボロ電車が、歩くような速度でのっそりのっそり、ちょっと居心地悪そうです。