熊野市駅前の観光案内所でレンタサイクルを借りて自転車を漕ぎまくる!
というのが今回の旅の一大イベント。勝浦や太地も面白かったのですがあくまでついでです。ここからがメイン。
熊野市駅前にある観光案内所でさっそく自転車をお借りします。
シェアサイクルの沼にどっぷり浸かってしまった私ですが、やっぱりレンタサイクルというのはシェアサイクルより制約が多く使いづらいんです…
そんな中、レンタサイクルとしては珍しく日を跨いでの貸出を行っている場所を見つけました。それがここ。
貸出料金は3時間まで500円、24時間まで1,000円、以降24時間ごと+1,000円という感じです。
私は明日の同時刻の南紀号に乗っていくのでだいたい23時間半くらい借りるつもりなのですが、ほんとに1,000円だけでいいんですか…
料金はアシストの有無にかかわらず同額。
流石に頭おかしいほどの長距離を漕ぐとは言い出せなかったのですが、長距離漕ぐつもりなんです~ってお話ししていたらフル充電の電池をご用意いただきました。ほんと助かります。
日を跨ぐのでどこに泊まるのか聞かれ「あっ瀞流荘ですね…」と言ったところ、ここに止めて施錠して送迎来てもらうといいよとなど色々ご提案頂きました。
山を登る向きで片道約25km、私からすれば全然大した距離ではないですしアシスト自転車フル充電なら余裕なわけですが一般的な視点からするとあれですからね。
無人で借りるシェアサイクルのほうが罪悪感なく長距離ライドを楽しめるというのはあるかもなぁと思ったりはしました。悪いことしてるわけじゃないんですけど。
ルートはかなりシンプルで、国道311号線に沿ってすーっと進むだけです。
こうしてみると熊野市から新宮くらいの距離を漕いでるんですね。
国道311号線はこういう地方の道にしてはかなり高規格に整備されており、全区間で片側1車線歩道付きの立派な道になっています。
トンネルも数本あり、昔の道のりからかなり改良されているのを感じます。
この新明神滝トンネル以外のトンネルは自転車が安全に通行できる幅の舗装が設けられているか、旧道がサイクリングロードと化している感じで安全に山越えが出来ます。
行きは旧道なんか知らんわと長めのトンネルも路肩を走っていたのですが、途中の風伝トンネルはちょっと怖かったです。
長さ1,000mを越えるトンネルで、熊野市駅側が緩やかにカーブを描いているため見通しが悪いのでここは旧道を行っておいたほうが良かったなぁと思いました。
自動車の交通量は少なめなのですが、採石場があるらしくたまにダンプが通るので油断できません。
14:24 風伝トンネルを必死に漕いで抜けきった所で道が分岐します。
熊野市駅から1時間ほど漕いで来たでしょうか、駅から約16km地点なのでペースはかなり順調です。
ここで分岐を右に曲がって3kmほど寄り道します。たった3kmですが標高が約130m上がるので結構堪えます。
電動アシスト自転車じゃなきゃ来れないですよね、フル充電で節約せずにバンバンアシストを効かせられるのがとても助かります。
14:39 丸山千枚田展望台
このあたりに来たからにはぜひ酔っておきたい絶景スポット、丸山千枚田。
名古屋に住んでいたので存在は知っていたのですが、実際来るのは初めてでした。
田植えの時期に毎年ニュース番組で見るとこだ~っていうざっくりした印象しか持っていませんでしたが、思ったより大迫力でした。
元の道に復帰し先を急ぎます。
広いかと言われると微妙ですが、こうして歩道が整備されているだけありがたいことです。
こういう山奥だと歩行者自転車って路肩を怯えながら進むしかないことが多いですからね…
それにしても歩道の整備率がやけに高い気がします。旧中山道とかと同じ雰囲気、旧街道を漕いできた人なのでもしやと思いまして。
調べてみると、この国道311号線は大部分が熊野古道のルートに指定されておりそれが影響しているものと思われます。
また、やけに高規格な片側1車線の道路は1990年の南紀熊野体験博という地方博覧会に合わせて整備されたものだったみたいです。
南紀熊野体験博というと馴染みが無いかもしれませんが、この大規模イベントに合わせて「きのくにシーサイド」号が運転を始めたというとわかりやすいかもしれません。
かつての入鹿村、現在は熊野市の一部となった紀和町の中心地がこの入鹿周辺です。
入鹿村と切っても切れない存在と言えるのが紀州鉱山。ここはいわゆる鉱山の町として栄えた地でした。
そんな町の歴史を今に伝えるのがこちら、紀州鉱山板屋選鉱場跡。
24時間休みなく稼働する選鉱場で、不夜城と呼ばれた巨大な施設の骨組みが今も存在感を示しています。
各採掘場から板屋選鉱場への輸送に用いられたトロッコの隧道と線路も残されていました。
見ていただければわかるかと思いますが、ここはナローゲージの軽便鉄道規格ながら全線複線で敷設されており、トンネルの横幅が大きく取られています。
かつては架空電車線で電化されていたそうで、紀州鉱山のトロッコがいかに頻繁に稼働していたかを感じることが出来ます。
15:20 熊野市紀和鉱山資料館
先程の板屋選鉱場のすぐ近く、板屋の中心地に近いところにあるこの資料館。
入館名簿に名前を書くときに1人目だったので、恐らく本日のお客さんは私が初めてのようです。
一番上のフロアでは、入鹿村の歴史や室町時代ごろまで行われていた入鹿鍛冶の歴史などが紹介されています。
新型コロナウイルス感染症対策のためエレベーターは使用停止となっていましたが、本来であれば坑道に繋がるエレベーターの雰囲気を味わうことが出来る仕掛けになっているようです。
エレベーターのボタンのすぐ横にこういう展示するの粋ですねぇ。
階段で下へ降りると、採鉱がおこなわれていた現場を再現したフロアに出ます。
これはなかなかリアリティのある展示ですね。思ったよりすごい。
採鉱現場で活躍したトロッコだけでなく、点呼や検身を行っていた場所も再現されていて興味深いところです。
火薬を用いる現場であるため火気厳禁に関する掲示が多く見られます。
入坑出坑の管理などに使われた札も再現されているのがリアリティ高くていい感じです。
作業員は危険な坑道での作業に当たっていくつかの機器を装備していました。
一酸化炭素検知器・ガス検知器・酸素測定器・騒音測定器・風速計などの各種装備も展示されています。
また、鉱物の分布などを調査し次にどこを採掘するか決める「探索」のための機器も展示されていました。
やっぱり鉄道オタク的に気になるのはトロッコの展示です。かっこいい。
バッテリーロコは蓄電池の充電に時間を要することから交換式となっており、機関車の本体と蓄電池に振られている番号が一致していないことが分かります。
生憎詳しくないので細かいところまでは見られませんでしたが、かなり充実した展示内容だなと感じました。
これだけ充実していながら私1人貸切300円で見られるというのはなんか申し訳ない気がしてきちゃいます。
紀州鉱山で栄えていた頃の写真も飾られていました。
左上のほうに見えるトロッコの駅は橋の上にあるので湯ノ口駅ですね。
そしてこちらは、「大桑百貨店」
あのオークワ創業の地は実は鉱山の町入鹿だったなんてことも記されています。これは知らなかった。
さて、ここまで鉱山の町の光ばかりが紹介されてきましたが闇の部分がなかったわけではありません。
カイジとか見ているとなんとなく想像できますが、こういう場所では危険で過酷な業務に従事させられていた人も少なからずいたわけです。
ここ紀州鉱山では、戦争捕虜として捕らえられていた英国人兵士が鉱山労働に従事していました。
シンガポール戦で捕虜となり泰緬鉄道建設工事に従事したのち送られており、過酷な労働で栄養失調状態のものも少なくなかったとのこと。
泰緬鉄道建設工事よりも労働環境は改善していたとはいえ過酷な現場であったそうです。
彼らは英国人としての誇りを捨てず、戦時中でありながら地元住民との関係も良好であったことなどが紹介されています。
自らのことを「イルカボーイズ」と名乗った彼らの活躍がなければ紀州鉱山のここまでの発展はなかったかもしれません。
300人が入鹿の地で鉱山労働に従事していましたが、そのうち16名は終戦までに命を落とし残念ながら祖国の地を踏むことが出来ませんでした。
帰国後も日本に対し憎しみの感情を持っていたイルカボーイズ。
年月は流れ、ある時に鉱山で亡くなった仲間が今でも入鹿の住民によって弔われていることがイルカボーイズの元まで伝わることに。
その結果、47年ぶりに日本を訪れ旧友を弔ったり地元住民と交流するなどの機会を得たことが記されています。
Wikipedia頼りになって申し訳ないですが、イルカボーイズについての記事に詳細に書かれていたので併せて紹介しておきます。
戦争の歴史は消せませんが、その憎しみを和解に持っていくことが出来たというのはまだよかったのかなぁと思いました。
鉱山資料館でこんな歴史について知ることが出来るとは…驚きでした。
最後に屋外展示のトロッコを見ていきます。超小型のターンテーブルが面白いです。
トロッコの他ロープウェイでの輸送もあったみたいで搬器が展示されていました。
この機関車はバッテリーロコではなく、立派なパンタグラフを備えた電気機関車。架線集電を行っていた最盛期を物語る車両です。
パンタグラフは擦り板では無く回転するローラーを用いるタイプみたいです。軽便鉄道では結構採用例があったとか。
客車は、かなり狭めです。あくまで作業員を輸送するだけですから快適性より定員を重視した簡素な構造にしているのでしょうか。
この最低限な感じのつくりが鉱山鉄道って感じがして好きです。
なかなか見所たくさんな熊野市紀和鉱山資料館。よかった。
30分ほどの滞在でしたが来てよかったなと思いました。
山を越えて少し進んだところ、国道311号線沿いの分かりやすいところにて発見。
これがさっき紹介したイルカボーイズの英国兵士墓地ですね。
周辺はかつて紀州鉱山を経営していた石原産業。戦時から高度成長期を支えた企業ですが、同時に四日市ぜんそくなどの問題も起こしたりしています。
看板の先は明らかに石原産業の私有地といった雰囲気ですが、英国兵士墓地があるためそこに至る道だけは誰でも立ち入れるようになっているようです。
あんまり撮影するのもよくないのかなと思ったりはしましたが、日英の和解に繋がったのも存在を知ってもらったことが故ですし。
英国に帰れなかった兵士を思い、手を合わせてきました。
16:01 国道311号線は三重県と和歌山県の県境の北山川を渡っていきます。
目的地の瀞流荘は三重県側なのですが、折角なので渡ってみます。
この川の右側が三重県、左側が和歌山県です。
和歌山県側は新宮市に当たるのですが、ここは全国でも珍しい飛び地になっている場所。
国道311号線は一旦和歌山県の飛び地を通り、和歌山県を通らないとアクセスできない奈良県十津川村竹筒地区を経て和歌山県本土の熊野本宮大社方面へ抜けていきます。
北山川の対岸は和歌山県新宮市。
元々熊野川町であったものが新宮市に組み込まれた関係で、おんぼろ看板の間に綺麗な「新宮市」の看板が挟み込まれています。
再度三重県熊野市に戻り少し漕ぐと本日の目的地、入鹿温泉瀞流荘に到着です。
時刻は16:08、瀞流荘名物のトロッコは16:00発なので間に合いませんでしたね。明日朝に乗ることにしましょう。
本日のお宿がこちら、これはいい感じの旅館。
旅館あるあるないい感じのスペースでお茶菓子を頂きます。
瀞流荘16:00発の湯ノ口温泉行最終トロッコは間に合いませんでしたが、湯ノ口温泉から帰ってくるトロッコは17:10発なので後で撮りに行くことにします。
湯ノ口温泉までの所要時間はおよそ8分。あくまで温泉へのアクセス用なので停車時間は基本的に1時間ほど取られているようです。
こちらが瀞流荘駅の駅舎。紀州鉱山鉄道の現役時は小川口駅があった場所です。
小川口には車庫や操車場といった設備が整っていたそうです。
観光路線として現在も残されているのはかつての小川口~湯ノ口の1駅間のみ。
ただ、鉱山鉄道の頃の設備はそのまま残されているようで、小川口駅の先には塞がれたトンネルが見えます。
このトンネルを進むと選鉱場のあった板屋に至ります。さっき見たトンネルの反対側というわけです。
17:18分ごろ、湯ノ口温泉からのトロッコ列車が瀞流荘駅にやってきました。
普通の鉄道と違って運転士さんの存在感が凄いのでさすがにぼかしを入れておきました(笑)
鉱山資料館で見たのと同じような簡素なトロッコ客車が連なります。これはかっこいいぞ。
乗車率は思ったより高かったです。夏休み期間中で夕食前のいい時間に乗れるためか親子連れで満員御礼って感じでした。
見たところ1人で乗ってるようなオタクはいません。あーこれ浮くやつだ乗りづれぇやつだ…
翌日の運行に備え、手早く機回しを済ませると本日の運行は終了。お疲れ様でした。
さて、私は夕方便に間に合わなかったので明日の始発便に乗るのですが
瀞流荘8:50発 湯ノ口温泉9:30発
が始発となっており、折り返し時間は30分程度しかありません。
頑張ればさっと朝風呂浴びてこれると思いますが、やっぱりゆっくり浸かっていきたいので前日のうちに湯ノ口温泉へ行っておくことにします。
熊野市駅から山道をグイグイ漕いで来たのにまだ電池は80%あるので余裕です。頼もしい。
17:40 湯ノ口温泉へやってきました。
ただ、温泉より先に湯ノ口温泉駅を見に行きたいので一旦通り過ぎ
湯ノ口温泉駅。まるでジオラマ化のように川の上に鎮座するホーム。
鉱山資料館の展示写真で見た光景とほぼ同じ構図で撮影出来ます。
ホームの端には歓迎 湯ノ口温泉と書かれた味のある看板が建っています。
このいい感じの場所に何で自転車が止めてあるんだよ…
翌日判明したのですが、これはトロッコ運転士さんが湯ノ口温泉の建物に休憩しに行くための自転車でした。
湯ノ口駅から先は惣房駅へ6号隧道が伸びていました。分岐器の跡も残っていますね。
ここは温泉ガスか鉱山廃水処理の関連か分かりませんがやたらとガスっていました、硫黄のような匂いもするのであまり長居しないほうがいいかもしれません。
ここから湯ノ口温泉の施設があるほうへ向かって今は遊歩道が伸びていますがちょうどそこが廃線跡というわけですね。
その後湯ノ口温泉へ。瀞流荘の宿泊とは別なので入浴料550円が必要になります。
瀞流荘にも温泉はあるので正直入らなくてもいいんですが、泉質が異なるらしいので浸かっていくことにしました。いい湯でした。
湯ノ口温泉からさあ帰ろうかと思った時、駐車場の片隅に何か変なものを発見しました。
鉱山鉄道関連っぽいなと思いとりあえず撮っておいたのですがビンゴでした。湯ノ口駅から遊歩道沿いに進み、ここで7号隧道に入り室谷に至る路線があったそうです。
道路はトロッコのようにトンネルでぶち抜くことが出来ず、湯ノ口地区の北山川沿いを経由し大回りして進みます。
この雰囲気はなかなかいい感じですなぁ。
この場所で風景を撮影しているときに見かけたもののカメラが間に合わなかったのがこちら。
かなり不鮮明ですが分かるでしょうか、野生のキジを発見しました。
湯ノ口温泉までの道中で野生のシカには遭遇しましたがシカなんか全国で増えまくっているのでそこまで珍しくもありません。
ただ、野生のキジがいる場所ってのは結構少ないんじゃないでしょうか、びっくりしました。
北山川に沿って瀞流荘に戻ります。
瀞流荘に戻ってきました。
いいお部屋ではあるのですが、素泊まり7,500円とそれなりにお値段がするのでお食事は適当に済ませようと思っていました。
瀞流荘のレストランは宿泊客だけでなく食事だけの利用もできます。素泊まりの私もここを使わせていただくことにします。
一人で泊まっているのに豪勢な夕食を用意されちゃってもあれですし、好きなもんだけ選んで注文できるスタイルのほうがあっている気がします。
さて、何にしようか…夏季限定メニュー…ふむ。
調理にちょっと時間がかかるということだったので、宮の雪というお酒と枝豆も注文。これは合理的判断ですよ。
三重県で宮といえばもちろん伊勢神宮のこと。おいしいおさけでした。
さて、注文したのは天然鮎御膳(2,000円)
晩飯はお安くお手軽になんて思っていましたが、鮎の誘惑には勝てません。これはうまい。
かなりいい晩ごはんになりました。ごちそうさまでした。
瀞流荘の温泉に入ってから快適なお部屋で早めに寝ました。おやすみなさい。
翌朝
私は食事無しプランなので朝食は食べず朝遅くまで寝ていられます。昨日買っておいたおにぎりだけ食べて出発。
昨日乗れなかったトロッコ列車、これに乗るために瀞流荘に泊まっていたので乗らずに帰るわけにはいきません。
トロッコ列車は往復乗車すると550円、これに湯ノ口温泉の入浴券が付くと880円となります。
また、画像の湯めぐりパスはトロッコと温泉の1日券で1,100円。
この湯めぐりパスだけは宿泊者割引があり、半額の550円で購入できます。
宿泊者割引はあるもののあくまで1日券。そのため多くの方が時間を有効活用できるよう夕方に購入し1往復して温泉に入りに行くんだと思います。
私はあくまでトロッコ乗車と撮影が目的ですが、値段が同じならと湯めぐりパスを購入。
湯ノ口温泉用の貸しタオルも無料でついてくるみたいですが往復乗車だけするとお伝えし借りるのはやめました。
さて、夕方便では親子連れで大盛況だったトロッコ列車ですが始発便はガラガラ。私一人の貸切運行でした。ラッキー。
簡素なトロッコ客車に乗車し、湯ノ口温泉駅を目指します。
※音量注意
トロッコの旅 pic.twitter.com/B7zjVjY659
— もとりゃま(*´﹃`*)ゞ (@motoryama7011f) August 3, 2021
音がよく響くトンネル走行、サスペンションが存在しない二軸客車であることに加え、窓枠がガタガタいうのでかなりの爆音走行です。思ったよりワイルド。
約5分で湯ノ口温泉駅に到着。あれ、速くね…?
かなりすごいアトラクションでした。
列車は一旦後退しトンネル内に入ったのち、機関車を切り離し側線に退避させます。
湯ノ口温泉駅手前は緩い下り勾配になっているらしく、客車はまさかの人力で入換を行います。
その後機関車を繋ぎ折り返し準備完了。運転士さんは自転車に乗って休憩に行ってしまいました。
湯ノ口の朝はかなり素晴らしい景色ですが、時間が短いのであくまで駅周辺の撮影をメインにしていきます。
トロッコ列車が停車している湯ノ口駅。
客車の雰囲気はかなりいい感じですが、どうやらこの車両は鉱山鉄道現役時の車両ではなくそれを忠実に模した新造客車みたいです。
鉱山資料館に展示されていた客車はガラス窓ではなく柵みたいになっていて風が吹き抜ける構造だったので、現役当時よりはかなり人権のある仕様になっているのかもしれません。
ただ、足回りはサスペンションなにそれといった頼りない二軸構造。
また、連結器は古典的なフック式。ブレーキがかかるときは横にある緩衝器で受け止める構造ですが、緩衝器にオイルダンパーなんてもんは無くゴム板だけに頼ったワイルドな構造です。
川の上の湯ノ口駅に停車するトロッコ列車、これはもう模型の世界ですよ。
さて、9:30の列車で瀞流荘駅へ戻ります。
※音量注意
湯ノ口→小川口 pic.twitter.com/ED64jllrUS
— もとりゃま(*´﹃`*)ゞ (@motoryama7011f) August 4, 2021
これまた爆撃でも受けているのかと言いたくなるようなワイルドな走りで進んでいきます。
かなりワイルドな走りを楽しめるので、皆様ぜひ乗りに来てください。
瀞流荘駅に到着。車庫をちらっと覗いてみると今はほとんど使われていない客車がひっそり保管されていました。
アルミサッシ窓だったりとちょっと新しそうだけどレトロとは言い難い、手作り感と昭和を感じる個人的に気になる車両でした。
9:37 熊野市駅へ戻ります。
かなり綺麗な水の流れを見ながらサイクリング、国道311号線沿いはかなりいいコースだと思いました。
行きに通った風伝トンネルがちょっと怖かったので、帰りは旧道に当たる熊野古道風伝峠を通っていくこととしました。
このいかにも旧道っていう雰囲気がいいですよね、風伝峠は旧道を通っておくべきだなと思いました。
10:32 風伝峠
トンネルが開通するまではこんな道でも大事な国道であったことから、今でも市町村境界が立派に鎮座しています。
ここで熊野市から御浜町に一度入ります。紀和町が熊野市に組み込まれた関係でなんかちょっと違和感を感じますが。
そんな感じで旧道いいなと思った私は、まっすぐ見通しがよく短めの新明神滝トンネルでも旧道を選択。
ここはなんか、さっきの旧道と違って荒れ具合が凄いですね。倒木もたくさんあります。
明神滝トンネルに到着。しかし、ご覧の通り通行止め…
見た感じ行けそうですが、冠水しているとか天井剝離の危険があるとかその先の旧道が朽ち果てているとかそういうことなのかもしれません。あきらめましょう。
それにしても、昔はこんな道を自動車が行き交っていたんですよね、かなり快適な道に改良されたんだなぁと感じます。
旧道の分岐点に書いておいてほしかったなぁと思うものの仕方がありません。戻ります。
11:45 道の駅熊野・花の窟
ここには現在お世話になっているくまのレンタサイクルのステーションが設けられています。乗り捨て利用はできないみたいですが各所にステーションが設けられているのはいいですね。
ここの目の前には雄大な熊野灘が広がります。昨日は天気がよろしくありませんでしたが今日は快晴。これは素晴らしい。
少し進むと獅子岩がそびえています。なるほどこれは獅子ですわ。
このあたりまでこれば熊野市駅は目と鼻の先、1kmほどなのでもう着いたも同然といったところです。
帰りの列車の時間を考えると悠長にお昼ご飯を食べている時間はないのですが、ただ駅前には食料調達できそうなお店がありません。
そのため、一旦熊野本町の商店街っぽいところの「熊野古道おもてなし館」へ。
ここで名物のめはり寿司を購入。作り置きでなく注文してから作っていただき、温かい状態でテイクアウトさせていただきました。ありがたい。
あとは、駅前の特産品館で買い足そうと思っていましたが、ここはご飯になりそうなものは少なかったです。
12:42 熊野市駅前の観光案内所で自転車を返却。
日を跨いで自転車のレンタルをする人がよほど少ないのか、係員さんはちょっと戸惑っていました。昨日と同じ方なら話は早かったかもですが。
貸出が13時で記入された用紙を持ってこられたので???となったんでしょう。
「あー、24時間です」と言ったらわかっていただくことが出来まして、預け金から利用料金を差し引いた1,000円を返していただいてレンタル終了。
にしても、フル充電の電動アシスト自転車を24時間借りて1,000円。これは破格すぎます。いいんですか本当に。
ということで皆様、熊野市のレンタサイクルはおすすめです。最長で3日まで借りられるそうです。
13:05 昨日と同じ号数の列車、ワイドビュー南紀6号に乗車。
今日の車も先頭自由席はパノラマ型ですが、鹿よけスカートは装備していませんね。
車内でめはり寿司食べたり飲んべえしたりしつつ紀勢本線を進みます。
めはり寿司は外の葉っぱだけじゃなく中も味の付いたご飯になっており、高菜みたいなちょっとピリッとしたやつがいいアクセントで美味しかったです。
安全側線万能説が否定されることとなった事故が起き、鉄道の保安装置について勉強するとその名を聞くことになる六軒駅。
場内信号機に併設されている通過信号機の見落とし(灯火が消えていた説あり)で出発信号機の停止現示までに止まることが出来ず、最後の砦である安全側線に突っ込んだものの安全側線が万能かというとそうでもないことが証明されてしまった悲しい事故です。
ちょうどこの画像で左側に分かれてすぐ行き止まりになっているのが安全側線ですね。反対列車が来ている間は正面衝突しないように安全側線の側に進路が振られているのが分かるかと思います。
正面衝突するくらいなら脇で自損事故しといたほうがマシやろという理論で古くから用いられてきた安全側線ですが、これに高速で突っ込むと脱線して支障する範囲が大きくなって反対列車の進路に被っちゃったりするわけです。これが六軒事故。
そんな事故がありながら今でも安全側線を使っているのか…と思うかもしれませんが、昔と違って今では保安装置も整備されたのでそこまでの心配はないってことなのでしょう。
なんやかんやで津に到着。実は乗り通さずここで下車し、近鉄に乗り換えます。
単純に近鉄に乗り換えて関西へ向かいたいだけなら松阪で降りればいいのですが、ひのとりに乗りたかったので敢えて津経由にしました。
そんなわけで最後にひのとりの豪華な座席を味わったりしながら、なんば経由で徳島へ帰りました。
紀伊半島で2つのレンタサイクルを梯子する今回の旅行。
思っていたより収穫は大きかったなぁと思います。
紀伊半島って魅力的な観光地はたくさんあると思うのですが、駅からのアクセスが絶望的…ってところが結構ある気がします。
本数の少ないバスで回るとなると行ける場所も限られてしまう気がしますし、レンタサイクルというのは有効な手段かと思います。
観光協会の方々は平坦な駅周辺市街地の散策を想定しておられるかもしれませんが、出来たらもっと電動アシスト自転車を使った山越えサイクリングを推していただければと思います。
今回紹介した勝浦も熊野も自転車で走行するにはかなり好条件な道でした。特に勝浦-太地のサイクリングロードはかなり良かったのでもっと知名度上がっていいと思います。
そんなわけで、紀南エリアはいいぞ。というご紹介でした。皆様も是非。
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