折原一の『倒錯のロンド』を読んだ。
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月刊推理新人賞に自信たっぷりで応募しようとしていた主人公だが、パソコンで清書をしてくれた友人が原稿を電車内に忘れてしまう。そしてその友人は何者かに殺害され、さらに自分も命まで狙われる事態に。盗まれた原稿による盗作が賞を受賞、復讐を誓って受賞者に詰め寄っていくのだが・・・。
ちと無理筋なおはなしだが、終盤の伏線の回収で驚きの事実がわかる。作者によるミスリードにうまく騙された感じ。こりゃ面白い!ミステリー好きなら読んでおきたいね。盗作と倒錯とをひっかけてるのも巧いところ。以下ネタバレなので未読の方は絶対に読まないように。
以下このお話しの事実関係。
「幻の女」というタイトルの小説で賞に応募しようとしていた主人公の山本は、白鳥翔という作者の同名の小説が賞を受けてショックを受ける。すでに気がふれていた主人公は、白鳥翔の作品を自作だと思い込んでこの作品で次年度の賞に応募しようとする。友人の城戸がワープロで清書してくれたのはいいのだが、城戸が電車内に原稿を忘れてしまい、永島がそれを手に入れる。これがあまりに面白いので、永島は「白鳥翔」のペンネームで、自分がこの作品で賞に応募しようと思い、作者だと思った城戸を殺害、作者が山本だと気づいて山本を襲うが、殺すまでは至らず重傷を負わせる。「幻の女」の著者の白鳥は盗作者で、城戸を殺したと思っている山本は彼を追い詰めていくというお話し。
山本が「幻の女」の作者ではないにもかかわらず作者だと思わせるところ、同姓同名の白鳥翔がいて違う人物だということが明かされないことが著者による大きなミスリード。ラストに明かされる衝撃の事実には驚かされたよ。
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