中山七里の『テミスの剣』を読んだ。冤罪事件を扱ったミステリィ。
不動産業者夫婦の強盗殺人事件で容疑者として逮捕された楠木は、違法な取り調べで自供し、裁判では一転無実を訴えたものの死刑が確定、刑務所で自殺した。この事件の取り調べにかかわった刑事の渡瀬、後年別事件で捕まえた迫水が、不動産業者夫婦の強殺を自供。楠木は冤罪だったことが判明、検事の恩田を通じて告発し大きな問題になるが、迫水は無期懲役に・・・。
25年ほどのちに迫水は刑務所を出所、その当日に何者かによって殺害される。いったい誰が殺したのか? 渡瀬が独断で調べていくと・・・。
冤罪について問いかける問題作で、軽く読む分にはそれなりに面白く読める。ただミステリとしてはちと弱い印象。さらにどんでん返しのつもりなのか? 別の事件も絡んできて・・・。
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以下ネタバレなので未読の方は読まないように。
迫水の出所は彼に恨みを抱いてるであろう人たちに何者かが知らせていて、結果、楠木の父親が迫水を殺害した。が、迫水の出所を知らせたのは検事正になっていた恩田。恩田は当時扱っていた事件の被告の妻で元女優に、被告に便宜を図ることを条件に体の関係を持った。その二人がラブホテルから出てきたところで、不動産業者夫婦を殺害した迫水が出てきたところをみていたので、楠木が犯人ではなく、迫水が犯人であることを知っていたはずだという。恩田の罪は楠木の無罪を告げず、自分を見た迫水を、恨みを持つものに示唆して殺害させたこと。
かなりまわりくどいお話しで、ついていくのが精いっぱいだった。
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