宮部みゆきの『長い長い殺人』を読んだ。
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なんとこのお話の語り手はすべて財布。刑事、探偵、少年、目撃者などの事件に関係ある人物の財布が、その持ち主と事件について語るという驚きの手法。財布には視覚と聴覚はあるようなのだが、ポケットやかばんに入っていると見えないという制限があるところがミソ。いやー、巧いなぁ!
事件は、交換保険金殺人とそれに関係があると疑われる、4件の殺人事件で、容疑者となる愛人関係をもつ二人はマスコミから激しいバッシングを受けるが、無実の証明をする証言者が現れるとマスコミから引っ張りだこ。まるで「ロス疑惑」を思い出させる展開。
ミステリーとしても最後に向かって読者の気持ちを惹き付ける旨い展開で読み応えあり。その分、犯人の財布の語りとエピローグはインパクト弱くちと残念な印象だが、ミステリー好きは読んでおかないといけない作品。けっこう前に著された作品らしいのだが、今までこんなぶっ飛んだミステリーがあったことを知らなかったのは痛恨だ。
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