ダークネスがニューアルバムを発表するということです。
ダークネスといえば……2000年代初頭に彗星のごとく現れたハードロックバンド。
グラムメタルに分類されることもあって、最近このブログで書いているグラム系アーティストの一つともいえます。
どのあたりがグラムかというと……見た目的な部分もそうですが、ボーカルであるジャスティン・ホーキンスのハイトーン・ボイス。
最初に聴いたときに、私はちょっとクイーンっぽさを感じもしました。グラム色の濃いハードロックバンドということは、クイーンの直系といえるんじゃないでしょうか。
クイーンとは、ちょっとしたつながりもあります。
というのは、現在ドラムを叩いているルーファス・テイラーは、クイーンのドラマーであるロジャー・テイラーの息子なのです。テイラー・ホーキンスが死去した後フーファイターズに加入するという噂もありましたが、それは実現せず、ルーファスは今年でダークネス加入10年目を迎えます。
話のついでで、今年の元旦に公開されたロジャー・テイラー出演動画。
曲は、クイーンがデヴィッド・ボウイとコラボしたUnder Pressure。まさに、ここにはグラムの血が流れているのです。
Roger Taylor & Louise Marshall - Under Pressure (Jools' Annual Hootenanny 2024)
ダークネスの話に戻りましょう。
ボーカルのジャスティン・ホーキンスは、ハイトーンボイスを操るだけでなく、リードギターもやっています。
ボーカルだったらリズムギターのほうなんじゃないかと思うところですが……リズムギターをやっているのは、ジャスティンの弟ダン・ホーキンス。
この人は、AC/DCのマルコム・ヤングに惚れ込んでリズムギターを志したという筋金入りの人物で、マルコムの真似をするために一万時間を費やしたと豪語し、マルコム亡きいま「世界に残された最後の正真正銘のリズムギタリストの一人」を自負しています。
女王の血脈と、オセアニアのタテノリグルーブ……その継承者であるならば、最強のハードロックバンドということになるのは必然でしょう。ロックンロールというジャンル自体が衰亡しつつあるともいわれる今、そんなダークネスは「最後の正真正銘のロックバンドの一つ」なのかもしれません。
ここで、ニューアルバムの中から動画が公開されている曲を一つ。
The Darkness - Rock and Roll Party Cowboy (Official Visualiser)
ノースリーブの革ジャケット
ハーレー・ダヴィッドソン
と始まるこの歌は、まさに80年代風メタルへの賛歌といえます。
キメの部分では、
トルストイなんか読むつもりはないぜ
というフレーズ。
ここでトルストイが出てくるのは、直接的には韻の関係ですが、マジメとか道徳的とかいうものの象徴みたいな意味合いを持たせてもいるのでしょう。
そういうものに背をむけてみせるという、偽悪性……いかにもグラムロックというところです。
私は80年代のメタルをリアルタイムで聴いていたとはいいがたい世代ですが、なんとなくそういう雰囲気を肌で感じてはいて、ダークネスを聴いているとその懐かしい空気を感じる部分があります。そこがつまりは、ある種のメタルリバイバル的なところでしょう。そういうリバイバル的なスタイルにはいろいろな屈折がついてまわるのが宿命ですが、そのいろいろのなかで彼らがどう自分たちの音楽をやっていくのかというところに、あるいはロックンロールの未来が見えるのかもしれません。