ロック探偵のMY GENERATION

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プチ独裁者の末路

2019-01-25 16:00:48 | 時事
ペルーのアルベルト・フジモリ元大統領が再収監の見通しというニュースがありました。

かつては絶大な権力を誇る大統領でしたが、任期中に暗殺部隊に命じて殺人を行なわせたということで、禁固刑となっていました。健康面の問題から人道的恩赦を与えられていたものの、一定程度の回復が見られたために恩赦が取り消されたということのようです。

私は最近、たまたまペルーについて調べる機会があったんですが、フジモリ大統領という人は、まさに私がこのブログで問題視してきた「プチ独裁」をやった人ですね。

この人も、政権発足当初は、それなりに評価されたみたいです。
「ツナミ現象」とも呼ばれた追い風を受けて大統領選に勝利し、改革に着手。その改革はたぶんにショック療法的なものでしたが、当時のペルーは経済状況も治安状況も破たん状態にあり、そうした政策がなかば諦めにも似た気持ちで容認されたといいます。
その後に行った民営化などの手法は、少なくとも一時的には成功をおさめ、10%台の経済成長を達成しました。

しかし、司法への介入、メディアへの抑圧、露骨な身内優遇……といった負の側面が、だんだんと顕在化してきます。
憲法の停止、議会の閉鎖なと、政党政治を否定し、再選を容認する新憲法を制定し、再選。当然批判的な意見も出てきますが、世論を誘導するような手法で強引に政策を進め、果ては公金を流用して国の機関に工作活動……
これらの腐敗に対して、大規模な抗議デモが発生。国際世論もフジモリ大統領に対して厳しくなり、ついに退陣を余儀なくされるのです。

プチ独裁というのは、やっぱりこういうところに行きつくと思うんですね。
当初はうまくいっているように見えても、長期的には大きな弊害が生まれ、国家の進む道を誤ることになります。
やっぱり、プチ独裁はダメなんです。