ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
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ビートルズの日 Revolver について

2023-02-04 22:45:31 | 日記

今日2月4日は、「ビートルズの日」です。

ここ数年は、この日付にあわせて、いろいろビートルズのことを書いてきました。
今年も、それにならおうと思います。

で、ビートルズといえば……
なぜだか去年 Revolver のスペシャルエディションというのがリリースされてました。
いつだかビートルズ記念日の記事でそのあたりのことをちょっと書いていたということもあるので、その続きということで、今年はこの Revolver について書いてみようと思います。


Revolver がリリースされたのは、1966年。
このへんが、前期ビートルズと後期ビートルズの過渡期だということを以前書きました。

『ラバー・ソウル』、『リボルバー』、『サージェント・ペパーズ』という流れを、私はホップ、ステップ、ジャンプと考えています。
『リボルバー』は、そのステップにあたるわけです。
『ラバー・ソウル』で見せた方向性をより深化させ、『サージェント・ペパーズ』の跳躍にいたる準備段階ということになります。
ゆえに、このアルバムではまだ“ごった煮感”がぬぐえません。
ロック調の曲や美しいバラードがあるかと思えば、インドっぽい曲があり、サイケデリック調の曲があり……という具合です。

しかしながら、その混淆ぶりにもかかわらず、このアルバムはサイケデリック系統の作品というふうに一般的に認識されているように思われます。

その理由は、おもに二つあると私は考えています。

一つは、アルバムジャケット。

クラウス・フォアマンによるイラストです。
そのイラストが使用されている動画を以下に載せておきましょう。

Love You To (Unnumbered Rehearsal)

このアルバムは、ビートルズ作品においてはじめて写真ではなくイラストがジャケットに使われていました。そしてそのイラストがポップな感じのものではなかったという、この部分でしょう。
一応補足しておくと、このクラウス・フォアマンという人はベーシストでもあり、後のビートルズ解散後にプラスティック・オノ・バンドのベースとしてジョン・レノンと行動をともにすることになる人です。
また、昨年亡くなった津原泰水さんの『ヒッキー・ヒッキー・シェイク』でイラストを担当したということも以前書きました。
クラウス・フォアマンは、そういう波長を共有しているわけです。このあたりに、ただのポピュラーミュージックではない何かを感じさせるものがあったでしょう。


そして、音楽的な面からこのアルバムの性格を決定づけたのは、なんといっても最後に収録されている Tomorrow Never Knows でしょう。
逆回転という手法を使っていること、そしてティモシー・リアリーの著書をもとにした、文語詩ふうの歌詞……この曲で終わることによって、リスナーはサイケデリックな音楽を聴いたという感覚を強く持つようになるのではないでしょうか。
そしてそのことが、さらにビートルズをそちらの方向に引っ張っていき、次なるジャンプに向かっていくことになったのではないか。そんなふうに思われるのです。


最後に、収録曲をもう一つ。
I'm Only Sleeping です。
最近作られた油彩画アニメのMVで。

The Beatles - I'm Only Sleeping

前にも一度書いたと思いますが、この歌はまさに「跳躍の準備段階」ということを表現したものでしょう。
きたるべきその時を待って、いまはただ眠っているだけなんだ……それがまさに、60年代半ばにおけるロックンロールということだったのです。