ロック探偵のMY GENERATION

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DEEP PURPLE, "Burn"

2024-09-17 22:24:20 | 音楽批評


先日、クーラ・シェイカーの記事でHushという曲が出てきました。
これがディープ・パープルのデビュー曲でもあったということなんですが……ふと、そういえばこのブログでディープ・パープルについて書いたことがなかったなということに気がつきました。
だいたいこのブログの音楽記事ではロック史上に名を残した超大物アーティストをとりあげていて、主要なところはかなり抑えてるんじゃないかと思ってたんですが……意外にも、ディープ・パープルについての記事を書いたことは(
おそらく)なかったのです。
ディープ・パープルといえば、今年はいろいろと話題もありました。ということで、この機に記事を一つ書いておこうかと思います。


今さら説明するまでもないでしょうが、ディープ・パープルは英国のハードロックバンド。
1960年代に活動を開始した当初はオルガン主体のサイケデリック系ロックをやっていたのが、やがてハードロック路線に転向。ロックがその後細分化していくなかで、ハードロックというジャンルを確立するのに貢献したバンドの一つといえるでしょう。それから半世紀上にわたって、断続的ながら活動してきたレジェンドです。


今年の話題といえば、新譜の発表というのが挙げられるでしょう。
『=1』というアルバムを発表しています。
その中の一曲 Lazy Sod です。

Deep Purple - Lazy Sod (Official Music Video) | '=1' OUT NOW!

あらためて調べてみると、3年ぶりのニューアルバムとのこと。
3年前にも出してたんだ……というのが正直な感想です。ファンの方には失礼ながら、もはや新作を出してもあまり注目されない状態になっていることは否定できないでしょう。
ただ、今回は、新ギタリストにサイモン・マクブライドを迎えての最初のアルバムということで、いくらか注目されているようでもあります。
先代ギタリストのスティーヴ・モーズ、私は嫌いじゃないんですが、まあちょっとバンドとして惰性でやってるような感じになってた部分は否めないのかな、と……そこに、平均年齢からすれば若手といえるギタリストを迎えたことで、また新陳代謝も期待できるんじゃないでしょうか。


さらに、今年はもう一つ大きな話題として、イエスとの対バンツアーというのもありました。
イエスといえば、かつてフェスのトリの座をめぐってもめた挙句に機材爆破事件を起こしたという因縁もありますが……それも、今ではよき思い出といったところでしょうか。


しかしながら……どうも、ディープ・パープルのこうした活動はいまひとつぱっとしない気もします。

メンバー的には、決して悪くありません。
現在の第10期(!)ラインナップは、初期メンこそイアン・ペイス一人しか残っていませんが、イアン・ギランとロジャー・グローヴァーがいて、メンバーの半分以上は、全盛期といってよいであろう第二期のメンツをそろえています。
にもかかわらず、高揚感に欠けるというか……「あのディープ・パープルが新譜を! イエスと対バンを!」というふうになかなかなってこないのです。
それは、看板をはれるスターの不在というところでしょう。
歴代メンバーのなかでその筆頭にあげられるのは、もちろんリッチー・ブラックモアですが、ほかにあるいはグレン・ヒューズであるとか、デヴィッド・カヴァデイル、いればそれなりに重みをもったであろうジョン・ロードとか……ジョン・ロードはすでに世を去り、グレン・ヒューズはディープ・パープルに絶縁状を叩きつけているということがあるわけですが、リッチー・ブラックモアはどうなのか、と。リッチー・ブラックモアが参加してのツアーということになれば、もっと大きく盛り上がってたと思うんですが……
この点に関しては、ブラックモア自身はディープ・パープルでもう一度やりたいという気持ちはあるといいます。
しかし、十数年前にグレン・ヒューズら第三期メンバーがブラックモアに復帰の話をもちかけようとしたものの、連絡がとれずに頓挫したとか……結局、やる気があるのかないのか、どうもはっきりしないのです。そのヒューズも、現行ディープ・パープルのメンバー、特にイアン・ギランとはかなり仲が悪いらしく、先述したように絶縁状態にあります。こんなふうにメンバー同士が仲が悪いのも、それはそれでロックかもしれませんが……しかし、あのガンズ&ローゼズでオリジナルラインナップが復活し、今またオアシス再結成ということがあるわけですから、リッチー・ブラックモアがディープ・パープルに復帰するぐらいのことはあってもおかしくないんじゃないかと。
残された時間は、決して多くはありません。ディープ・パープルというバンドが、最後にもう一度伝説を作るか……注視したいと思います。

……せっかくなので、ついでに動画をいくつか。

フリートウッド・マックのカバー Oh Well。

DEEP PURPLE "Oh Well”


代表曲といえば、これでしょう。
Smoke on the Water。

Deep Purple - Smoke on the Water (from Come Hell or High Water)


ローリング・ストーンズのカバー、「黒く塗れ!」。

Deep Purple - Paint It Black (from Come Hell or High Water)


クーラ・シェイカーもカバーしたデビュー曲 Hush。

この動画は、ジョン・ロードのトリビュート・イベントでの演奏。
ディープ・パープル・ファミリーとしてイアン・ペイス、ドン・エイリーが参加し、アイアンメイデンのブルース・ディキンソン、モーターヘッドのフィル・キャンベル、イエスのリック・ウェイクマンなど豪華なミュージシャンをゲストに迎えています。

DEEP PURPLE "Hush" (HD official) from "Celebrating Jon Lord"

リック・ウェイクマンを意識してか、途中でイエスのRoundabout を忍ばせるという遊び心をみせます。爆破事件の因縁がここでも……というところです。


そして最後に、同じイベントからBurn。
これも、Smoke on the Water と並ぶ代表曲でしょう。ウェイクマンやディキンソンは引き続き参加。さらにここでは、グレン・ヒューズも登場します。

Celebrating Jon Lord - The Rock Legend "Burn"