今日は12月28日。
なんの日かというと……横溝正史の死去した日です。
1981年12月28日のこと。ちょっと前に一度書きましたが、今年は没後40年にあたります。
こんなところにも“アニバーサリー”がありました。これにあわせて、横溝が戦中戦後に疎開していた岡山県の倉敷市では「しのぶ会」が行なわれたそうです。
この日本ミステリー界における巨星については何度か書いてきたので、今さらまた何かを書くということもないんですが……まあ、せっかくなので、横溝作品を一つ紹介しようと思います。
『三つ首塔』です。
このタイトルだけでも不気味な感じが伝わってきますが、そればかりではありません。この作品の仕掛けには、感心させられました。
ネタバレになってしまうので詳しくは書けませんが、これは結構斬新だったのではないかと思います。
同種の趣向はそう珍しいものでもないですが、そこに加えた一ひねりというか――それも、よくよく考えてみれば、某有名作家の一作品に似たような仕掛けがあり、また、それをさらにアレンジしたような作品を過去に読んだこともあるんですが――しかし、そこはやはりさすがの横溝大先生で、その調理の仕方が絶妙なのです。横溝ワールドでこうこられると、やられた感もひとしおになってきます。
……と、なんだか奥歯にもののはさまったような言いぶりになってしまいましたが、ミステリーについて書く場合にはこれは致し方ないところ。
興味をもたれた方は、実際『三つ首塔』を読んでみてください。