『ホテル・カリフォルニアの殺人』制作裏話シリーズの記事です。
今回は、『ホテル・カリフォルニア』をこのミス大賞に応募した経緯を、前回とはちがう観点で振り借りたいと思います。
以前も書いた通り、そのころの私は、一つの作品を応募したら、もうその日から次の作品にとりかかっている、というふうになっていました。
『ホテル・カリフォルニア』についても、そうです。
横溝賞のウェブサイトからオンラインで応募したのは、締め切り当日である11月5日の深夜。
それから、もう『ホテル・カリフォルニア』にとりかかっていました。
この時間関係が、私の中でちょっとしたひっかかりを生むことになります。
横溝賞の一次選考結果が発表されたのは、翌年の一月。そして、その後最終に残ったという連絡がきます。
そんな横溝賞の選考過程と並行するかたちで、『ホテル・カリフォルニア』は書かれていました。
そのため、ある時点から「ひょっとすると、この作品を応募する前に横溝賞を受賞してデビューすることになるかもしれない」という状況が生じたのです。
投稿者としては、これはかなり微妙な状態です。
ひょっとしたら、この作品はシリーズものの2作目、3作目として発表することになるかもしれない、という考えが一方にあります。その一方で、横溝賞が落選となったら、これを『このミス』に送ることになる……というわけです。その両にらみの状態で、制作が進んでいました。
その回の横溝賞は、結果発表が5月の半ば頃。
『このミス』大賞の締め切りが5月末ですから、かなりぎりぎりまで両にらみの状態が続いていたわけです。
もちろん、基本的には落選の方向で考えます。
落選したら、すぐに『このミス』に出す。もし受賞できたら、その後ゆっくり時間をかけて続編となるように修正すればいい……これが、この場合のもっとも合理的な戦略でしょう。
しかしながら、それはあくまでも合理性の話であって、心情的にはなかなかそうもいきません。
やはり、ああしたい、こうしたい、ということがあります。
細かい部分では、この部分はどうするか……と、どうしても決定しきれない部分が出てきてしまうのです。
そういった部分は、とりあえず後回しにしておいて、横溝賞の結果が出てから確定させるという形になりました。
どうにかこうにか完成させ、5月31日に応募しました。
私はほとんどの場合、締め切りの最後の最後まで時間をかけます。投稿の世界では、締め切りの1日前に出したほうがいいとか1か月前に出したほうがいいといったようなことも言われますが、その時間の余裕があるなら、少しでも作品をブラッシュアップさせるのに使ったほうがいいというのが私の考えです。
……といいつつも、じつは、『ホテル・カリフォルニア』に関しては、応募した時点では正直あまり自信がありませんでした。
ぎりぎりまで推敲を重ねてはいましたが、これで大丈夫なんだろうか……という懸念のほうが大きかったのです。
ですが、これは重要なことだと思います。
私の経験上、応募するときに自信満々というのはあまりよいことではありません。
もちろん、実際にパーフェクトな作品で自信満々ということもあるでしょうが、多くの場合は、単に自分の作品の欠点に気づいていないだけなのではないでしょうか。
応募する段階では「あそこがちょっと弱いな」とか、「あの部分は問題視されるかもしれないな」とか思っているほうがいいと思います。それは、自分の作品をそれだけ客観視できているということですし、また、そういう細かい部分に注意がいくぐらい何度も見直しているということを意味しているからです。
以前トミーシリーズのプロトタイプについて書いたときに、応募時に自信満々だったと書きましたが、その作品はあえなく落選しました。それから3年経ち、ようやく私も自作の瑕疵に目を向けられるレベルに達したのだと思います。それだからこそ、『ホテル・カリフォルニア』も最終候補まで残ることができたのでしょう。
もっとも、結局最終選考で落選ということになったわけですが……
その後の展開に関しては、また次回書こうと思います。
今回は、『ホテル・カリフォルニア』をこのミス大賞に応募した経緯を、前回とはちがう観点で振り借りたいと思います。
以前も書いた通り、そのころの私は、一つの作品を応募したら、もうその日から次の作品にとりかかっている、というふうになっていました。
『ホテル・カリフォルニア』についても、そうです。
横溝賞のウェブサイトからオンラインで応募したのは、締め切り当日である11月5日の深夜。
それから、もう『ホテル・カリフォルニア』にとりかかっていました。
この時間関係が、私の中でちょっとしたひっかかりを生むことになります。
横溝賞の一次選考結果が発表されたのは、翌年の一月。そして、その後最終に残ったという連絡がきます。
そんな横溝賞の選考過程と並行するかたちで、『ホテル・カリフォルニア』は書かれていました。
そのため、ある時点から「ひょっとすると、この作品を応募する前に横溝賞を受賞してデビューすることになるかもしれない」という状況が生じたのです。
投稿者としては、これはかなり微妙な状態です。
ひょっとしたら、この作品はシリーズものの2作目、3作目として発表することになるかもしれない、という考えが一方にあります。その一方で、横溝賞が落選となったら、これを『このミス』に送ることになる……というわけです。その両にらみの状態で、制作が進んでいました。
その回の横溝賞は、結果発表が5月の半ば頃。
『このミス』大賞の締め切りが5月末ですから、かなりぎりぎりまで両にらみの状態が続いていたわけです。
もちろん、基本的には落選の方向で考えます。
落選したら、すぐに『このミス』に出す。もし受賞できたら、その後ゆっくり時間をかけて続編となるように修正すればいい……これが、この場合のもっとも合理的な戦略でしょう。
しかしながら、それはあくまでも合理性の話であって、心情的にはなかなかそうもいきません。
やはり、ああしたい、こうしたい、ということがあります。
細かい部分では、この部分はどうするか……と、どうしても決定しきれない部分が出てきてしまうのです。
そういった部分は、とりあえず後回しにしておいて、横溝賞の結果が出てから確定させるという形になりました。
どうにかこうにか完成させ、5月31日に応募しました。
私はほとんどの場合、締め切りの最後の最後まで時間をかけます。投稿の世界では、締め切りの1日前に出したほうがいいとか1か月前に出したほうがいいといったようなことも言われますが、その時間の余裕があるなら、少しでも作品をブラッシュアップさせるのに使ったほうがいいというのが私の考えです。
……といいつつも、じつは、『ホテル・カリフォルニア』に関しては、応募した時点では正直あまり自信がありませんでした。
ぎりぎりまで推敲を重ねてはいましたが、これで大丈夫なんだろうか……という懸念のほうが大きかったのです。
ですが、これは重要なことだと思います。
私の経験上、応募するときに自信満々というのはあまりよいことではありません。
もちろん、実際にパーフェクトな作品で自信満々ということもあるでしょうが、多くの場合は、単に自分の作品の欠点に気づいていないだけなのではないでしょうか。
応募する段階では「あそこがちょっと弱いな」とか、「あの部分は問題視されるかもしれないな」とか思っているほうがいいと思います。それは、自分の作品をそれだけ客観視できているということですし、また、そういう細かい部分に注意がいくぐらい何度も見直しているということを意味しているからです。
以前トミーシリーズのプロトタイプについて書いたときに、応募時に自信満々だったと書きましたが、その作品はあえなく落選しました。それから3年経ち、ようやく私も自作の瑕疵に目を向けられるレベルに達したのだと思います。それだからこそ、『ホテル・カリフォルニア』も最終候補まで残ることができたのでしょう。
もっとも、結局最終選考で落選ということになったわけですが……
その後の展開に関しては、また次回書こうと思います。