ロック探偵のMY GENERATION

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古井戸「何とかなれ」

2021-05-04 20:46:10 | 音楽批評


今回は音楽記事です。

前回の音楽記事では泉谷しげるさんについて書き、そこで仲井戸麗市さんの名前が出てきました。
...というわけで、いつものしりとりスタイルにしたがい、今回は仲井戸麗市さんと、彼のやっていたグループ“古井戸”について書こうと思います。



“チャボ”こと仲井戸麗市さんは、いうまでもなくRCサクセションでギターを弾いていて、忌野清志郎の盟友ともいうべき存在です。
キヨシローとは、音楽喫茶“青い森”でやっていたころからの知り合い。それは、泉谷しげるさんも同様です。

泉谷さんとは、同じエレックレコードに在籍していた仲間でもあります。
エレック時代には、泉谷さんのバックで演奏したこともあり、そういう関係もあってか、互いにエレックを離れてからも共演する機会は少なくなかったようです。

そのエレック時代にチャボさんがやっていたのが、伝説的なフォークグループである古井戸。
当初は四人組のバンドだったようですが、一般的には加奈崎芳太郎さんとのデュオとして知られています。
この加奈崎さんとの出会いも、“青い森”だったそうです。
たまたま“青い森”で加奈崎さんが歌っているのを観て、そこから古井戸結成に至ったのだとか。



「何とかなれ」は、アニメ版アカギの歌として使われていました。
どういう経緯でこの曲がチョイスされたのかはわかりませんが……アカギのあの無頼の世界に、この歌はよくマッチしているでしょう。

古井戸といえば「さなえちゃん」が有名ですが、あの歌のイメージに縛られることは本人たちにとって不本意でもあったようで……生放送中のテレビ番組で途中退席という事件を起こしたりもしています。
それは1971年、フジテレビの「リブヤング」という番組でのこと。
「こんなところじゃ唄えねー、俺達の違う他の唄も聴きやがれ」といって、スタジオを出ていったのだとか……それから、全員を敵にまわしたと思いながら廊下を駆け抜けて行くときに、「おまえ良かったぞ、俺もアタマにきていたんだ、うん、よかったぞ」と声をかけてきたのが、泉谷しげるさんだったそうです。

この事件は、忌野清志郎が起こした“東京FM事件”にも通ずるところがあるように思えます。

ただの操り人形ではなく、みずからの意志にしがって行動する。たのむのは己のみ……それが、赤木しげるの姿と重なるところかもしれません。

操り人形でないスピリッツは、ときに予定調和的な秩序から逸脱し、そこに生じた亀裂から“リアル”が顔をのぞかせる――それがロックンロールであり、まさに、忌野清志郎がそうでした。その盟友であるチャボさんもまた、同じスピリッツを共有しているということでしょう。

そのスピリッツの表れなのか、あるいは源流の一つなのか、古井戸は寺山修司の劇団“天井桟敷”で音楽を担当したことがあるといいます。
意外な取り合わせのようにも思えますが、そんなふうに考えると、チャボさんが詩の朗読をやっていたりすることも納得できる気がします。やはり、そこにあったスピリッツをチャボさんは継承しているのでしょう。



ちなみにですが……寺山修司といえば今日5月4日が命日で、「修司忌」ということになってます。
寺山は、カテゴリーとしては詩人、劇作家ということになるでしょうが、日本のロックに大きな影響を与えた人物でもありした。
そこへ話が転がってきたので、次回以降の音楽記事では、この寺山修司につらなるアーティストについて書いていこうと思います。




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