今日は5月3日。
憲法記念日です。
今年は、公布から75年ということになりますが……おりしも政界では改憲がホットな話題となっているようです。
「コロナ対応で私権を制限するためには改憲が必要」ということがいわれ、また、国民投票法の改正案が国会で審議されつつあるのです。
私は何が何でも改憲反対という絶対護憲派ではありませんが……いまこのタイミングで改憲を主張するのは、コロナ禍を利用しているようなものであり、筋が悪すぎでしょう。
そもそも、現行憲法においても個人の自由や権利は無制限ではありません。
“公共の福祉”による制約は憲法に書かれたすべての権利に及んでいるのであり、それによって権利が制限される例として、感染症予防というのは教科書に載るレベルの代表的なケース。
すなわち、現行憲法でもコロナの感染拡大阻止を目的とした私権の制限は一定程度可能であり、それは改憲すべきという根拠にはならないと指摘されています。
いっぽう、改憲をめぐる議論で気になるのは、最近東京新聞が報じた木村草太さんの講演拒否問題です。
2018年、神奈川県の鎌倉市が憲法記念日に開いた講演会で、実行委員会が提案した木村さんの講師起用を市側が拒否していたというのです。
理由は、この手の話でよく出てくる「中立を損なう」というやつです。
東京新聞の取材に対して、市の担当者は「憲法記念日のつどいで憲法学者が講演すると憲法九条にも言及する懸念があり、木村氏の講演は遠慮願いたいと実行委に伝えた」と話したそうです。
……意味不明です。実行委側がいうように、むしろ政治を持ち込んだのは市のほうではないかとさえ思えます。
この件を伝える東京新聞の記事では、同じように“中立”を持ち出して市民の活動が制限される事例が相次いでいることも紹介しています。
たとえば鹿児島市では、市主催のヨガ講座の講師が私服で「反核」と書かれたTシャツを着ていたことを理由に、契約更新を拒否したといいます。ヨガ講座中は、ヨガ専用着を着ているにもかかわらず。
この無気味さ……
先にも書いたように私は絶対護憲派ではありませんが、こういう状況で改憲議論が進んでいくのはきわめて危険と思えます。
この憲法記念日、いまいちど、憲法というものの持つ意味をよく考えておかなければならないでしょう。妙な空気に流されてしまわないように……