私の育つた小学校は、複式の小さな学校だった。
複式というのは、違う学年二つが同じ教室で勉強するのです。六年生まで有るけれど、教室は三つということになる。
こんな学校で、高等科2年まで修了したのです。
学校は勿論木造、フローリングなどあるわけが無い。ストーブだって薪ストーブだったのです。
この小学校の卒業式に当たっての大掃除は面白いものでした。まず、本来拭き掃除になるのですが、拭きません。校舎に雪を入れる。生徒は靴をはいて、雪の上を滑って歩く、綺麗にこすった後で雪は掃き集めて捨てる。教壇は外に出して、堅雪の上を滑らせて綺麗にする。こんな掃除でした。
体育館は無く、仕切りの戸を外して2教室つなげたのが会場となるのです。
父が私の1年のときに、この小学校の校長になり15年勤めました。その間校舎の改築が無かったから、この掃除は卒業まで毎年経験していたのです。
そんな学校だったけれど、楽しかった。全校生徒がお互い名前も顔も、家の場所も判かり合っていて、みんなチャン付けで呼び合う。いじめなんて全く無縁の時代でした。
父が転勤した後、改築され、立派な校舎に変身していたが、その小学校も昨年の3月に閉校式となった。
昨年、閉校式に出席してきた。ひょっとすると、去年のうちに校舎も撤去され、今は、思い出のよすがもなくなっているのかもしれない。3月の堅雪の時期になると、とても懐かしく思い出されるのです。