月が一番美しいのは当然満月ですが、次に美しいといわれるのが13夜です。晩秋の名月13夜、先ほど窓を開けてみたらきれいに輝ていました。
上杉謙信の「9月13夜陣中の作」は、能登半島の七尾城を落とした時の詩です。此の詩の転句は「越山併せ得たり能州の景」となっています。既に手中に在る越後、越中に今能州を併せ持つこととなったというのですが、ここだけを見ると、能登を攻略したことになりますが、これは今まで謙信と手を結んでいた三宅備後、長続連らが信長と気脈を通じ、七尾城に拠ったことをとがめ、特に加賀は上京するときの経路でそこをふさがれることは許されなかったからでした。一方勢力を拡張してきている織田を許すこともできなかったのです。此の翌年織田との決戦にどむべく兵を春日山に集結して出陣しようとしたとき急病で亡くなったのです。
又「春日山懐古 大槻盤渓」で結句に「平安城外の花を詠ぜざりしを」という表現がありますが、ここも見方によっては天下人にならなかったのを惜しむように聞こえますが、上杉謙信は、滅亡寸前の足利義輝を助け、幕府を再興するために尽力していたので天下人になることを目指していたのではないのです。この足利義輝を京から追放したのは織田信長だったのです。