懐かしい顔ぶれである。独立する前の会社の上司・同僚・部下達との年に一度の再会である。思えば、既に、入社から、40年余り前のことである。皆、平等に、歳を重ねてきていることが、その風貌に、感じられる。むろん、自分も、例外ではないが、、、、、。今年も又、何人かが鬼籍に入ってしまったのは,残念である。独立する前まで、21年間、実に様々な事柄を、大きな会社という組織から学ばせて貰った。貿易実務、英語会話、海外との交渉術、お金に対する心構え、人付き合い、文章の書き方、接待の仕方、会議の進め方、果ては、タクシー、エレベーターの乗り方、忘年会や社内旅行の幹事役までも、数え上げれば、キリがない程である。何も知らない新入社員に、今から思えば、随分とお金と時間を掛けてくれたものである。未だ、当時は、社会に、余裕やゆとりがあったのであろうか?学校教育、家庭教育等とは、異なるより実践的な処世術とでも謂おうか、生活する糧に必要な術を、学ばせて貰った。マニュアル本がある訳ではなかったから、ほとんど、OJTによる実地訓練、現場実践を伴ったマン・ツー・マン方式である。もっとも、商権らしい商権は、与えられず、専ら、狩猟民族同様、新しい商権を、狩りに出て、探してこなければならなかったが、、、、、。逆説的に謂えば、そのことが、若い自分には、良かったのかも知れないし、後に、独立するときにも、変な不安感がなかったことは、今にして思えば、幸いだったかもしれない。組織というものの在りよう、リーダーシップ、その腐り方、その隆盛と衰退、世の中の経済的変遷、輸出・輸入という産業構造の変化の中で、或いは、急激な円高相場、金融的な激変の中で、どう、自分は生きるべきか、どう、組織は、生き残るべきか、撤退すべきか、何を創造するべきか、等、一緒に、考えさせられ、成長してきたものである。今でも、最初の給料を貰った時に感じた、「こんなに、教えて貰って、しかも、お金まで貰っていいのだろうか」という感慨は、忘れることができない。今の若い人達は、当時の自分より、もっと、レベルが、高いかも知れないが、教わることに、又、学ぶことが出来たことに、改めて、感謝したいものである。そして、一人の力ではなく、様々な人達の影響の中で、自分という人間が、ビジネスマンとしてだけではなくて、一個人として、作られたことに、改めて、有り難いと思う。今度は、教え、育てる番が、廻ってきたが、いつまでも、学びの精神を持ち続けたいものである。