瞑想と精神世界

瞑想や精神世界を中心とする覚書

瞑想合宿レポート17

2005年01月24日 | 瞑想合宿レポート
◆一度だけの嗚咽
9日目の夜中、午前2時過ぎだったろうか、あるいは3時に近かったかもしれない。足の先が寒くて目覚めた。毛布からはみ出していたらしい。目覚めてとくに何を考えていたという記憶はない。急に何かがこみ上げて来たことだけを覚えている。

「これまでずっとたった一人で苦しんできたんだな」と思った。一瞬、これまでに経験したことのない底冷えるような孤独と辛さを感じた。そして一度だけ嗚咽した。すると体がじわーと弛み、楽になった。ふわーっと溶けていくような感覚だった。気がつくと涙が頬を伝わっていた。何かしら抑圧が解けたという感覚があった。無明の凍りがひとつ溶けた。そのうれしさが弛んだ体に広がっていた。

すでに触れたが、若き日に友人に攻撃されて深く傷ついた。それに関連した別の記憶や、それらに共通した自分の根深い劣等感が見えはじめていたことも触れた。その抑圧が、ふいに目覚めた夜中の布団のなかで溶解したようだった。

◆ダンマの風
起き上がって座禅をしようかと思った。しかし「今は、頑張りモードじゃあないな」と思って、止めた。布団のなかで思った、様々な抑圧が、抑圧による苦しみが、そして抑圧の解けない人生同士の衝突による苦しみが、世界中に渦巻いている。国家や民族も、個々の人生と同じようにトラウマと抑圧の歴史をもち、抑圧を外部に投影してその敵と戦っている。無明が無明を生んで、延々と争いと苦しみの鎖が続いていく。

しかし、たとえ微かにせよ、ダンマの風も確実に吹いている。私のなかで凍てついていたものが溶けはじめたように、あちらこちらで何かが溶けていく確かな事実がある。凍てついた何かを溶かす力は、すべてダンマだ。誰かの一言でわずかに溶けるのも、深い衝撃とともに大きく溶けるのも、すべてダンマの力による。世界を貫いてそういう力が働いているのもまた事実だと思った。
コメント
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