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流野精四郎&東澤昭が綴る読書と散歩、演劇、映画、アートに関する日々の雑記帳

高慢と偏見

2010-11-18 | 雑感
 芸術やアートの存在意義は何だろう。
 そんなことを始終考えながら日常を過ごしているわけではまったくないのだが、昨今、いわゆる「事業仕分け」流行りでそもそも芸術文化支援に公費を投入する意義は何なのかなどと賢しらに議論される世上だからウカウカともしていられない。
 けれども、国の事業仕分けでは「それは国の仕事ではない。自治体や地域のNPOに任せるべきだ」と言われ、かたや自治体の仕分けで「それは自治体の仕事ではない」と切り捨てられる「芸術文化」とは何なのだろう。

 そういえば杉並区の外部評価委員会が区の事業の必要性を評価する杉並版「事業仕分け」を行ったとの新聞報道があった。
 「アニメ産業の育成・支援」について、外部委員が「区として行う必要があるのか」などと指摘。事業に含まれる「杉並アニメーションミュージアム」やアニメ製作会社の人材育成を支援する「匠塾」など4つの個別策すべてについて「廃止を含め抜本的に見直すべき」としたとのことだ。

 内実を知らないので軽々にモノ申すのは慎まなければならないだろうが、それでも杉並区はアニメ産業の集積地であるはずだ。
 これだけクール・ジャパンなどと持て囃される一方で、海外への技術流出や若い担い手が育っていないことや劣悪な労働環境などが問題となっている状況から、これを公的に支援しようとする杉並区の政策には一定の意義があると思うのだがどうだろう。
 「国立マンガ喫茶」などと揶揄された例の施設の問題がいまもって多くの人々のトラウマになっているのだろうか。
 それとも、公的に手を差し伸べなければ衰退してしまうような産業は放っておけということなのか。
 それならば、商店街への支援はどうなのか。中小企業や公衆浴場への公的助成はどう評価されるのだろうか。誰も「自治体の仕事ではない」などとは言わないだろう。この差異はいかなる理由によるものなのか。

 某前総務大臣が事業仕分けなるものに対して「かつては失望だったのが、いまや憎しみに変わりつつある」と言ったとか言わなかったとか。
 私も半ば同感である。
 もっとも今の政権はすでに学級崩壊の様相を呈しているとの声も多い。
 そう言えば、美人で頭のいい学級委員の女子にズケズケとした物言いでやり込められているサエナイ男の子たちの姿が思い浮かんで微笑ましい。
 けどなあ、いくら正論で論理的だろうが納得できないことだってある。
 英語の発音が少しくらい間違っていたっていいじゃない。あなたはどう思う?