サラリーマンの待ちに待った大型連休。「毎日が日曜日」年金生活の老人夫婦。今日行く(教育)・今日用がある(教養)もいつもと変わらず少し退屈。
この4月夫婦ともに転勤となった娘たち。新しい職場にもずいぶん慣れてきたようだ。連休が始まると同時に京都の大学で暮らす孫のところへ出かけたようだ。娘夫婦が京都へ出かけたことなど知る由もない老人夫婦。
簡単なメールが届いて初めて知った。メールには2枚の写真と「お天気に恵まれ楽しかったです。」「珍しいものが見れました。だけど、量が多くてお腹いっぱいです。」とある。
写真では孫も元気で勉強とアルバイトに精を出していることがうかがえる。
その日午後、京都から宅急便が届いた。娘夫婦からの京土産だろうか、百万遍かぎやの「黄蘗」と「ときわ木」、左京区にある鎰屋の「野菊」。3種類の京菓子が入っていた。“うちの奥さま”大喜び。雅やかさと、落ち着いた色あい、それにいかにも美味しそうな京菓子には、いつも奥さま憧れていたようだ。
毎朝食事の前にお茶を戴くのが我が家の行事。美味しいお茶菓子は欠かせない。ときにはチョコレートやお饅頭になる日もある。明日からは娘たちの心ずくし、京都のお菓子が賑わせてくれることだろう。楽しみだ。少し退屈気味の連休を京都のお菓子が楽しくしてくれることだろう。
お菓子の裏書を見る。「賞味期限はいつまで」。どのお菓子から戴くかな。賞味期限が近いほうから先に戴くことにしよう。と夫婦の会話がはずむ。京都のお菓子の思わぬ効果が出てきた。
すぐにお礼の電話をかけた。「ありがとう」と。
孫のアルバイト先はタイ料理の店だという。
勤めぶりを見たくて夫婦でその料理店に行ったそうだ。テキパキと働いているので安心したというが、丁度その時入ってきた客の一人がまだ片付かないテーブルを見て「早くかたずけろ」と強い口調で孫に言ったそうだ。
娘は腹が立った。自分がかたずけてやりたくなった。涙が出たと話してくれた。
話を聞いていて、いつも離れ離れに暮らす娘一家の絆というか、息子思いというか和やかな家庭の雰囲気をひしひしと感じながら、京都のお菓子を戴いた。
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