「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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『吉田調書』報道で朝日新聞社長辞任はおかしいと僕は思います。北九州ガレキと工藤会総裁逮捕の点と線。

2014-09-12 02:50:00 | 福島第一原発と放射能

このことについて、明確に書いておきます。

今回の朝日新聞社長が、『吉田調書』報道問題を理由として、辞任するのは相当におかしい話だと思います。

そもそも、経営者というのは、会社の経営上の理由とか、報道内容でもあきらかなウソをでっちあげたとか、そうした状況の場合は、辞任することはありえると思います。

まだ、従軍慰安婦報道に関して、辞任をするというなら、まだしも、理解できないわけでもありません(それが妥当かどうかはともかく、経営上でも大きな障害となりはじめている可能性は想定されますから)。

しかし、彼が辞任する理由は、「吉田調書」報道で、吉田氏の命令に背いて9割の原発職員が逃げたと報じたのが、解釈を間違えて、誤報になったという話だというのです。

これは、結果は誤報ですし、朝日新聞がそのことを否定的に報じたのが、果たしてどうなのかなあとは、当時は思いました。僕は仮に職員が逃げていたとしても、それを否定的ニュアンスで書くことが、誰が出来るのだろうかとは思います。

福島第一原発の現場職員に聖人のような振る舞いを求めることは無理ですし、そういう観点で、吉田氏の威を借りる狐のような朝日新聞。それは変だとは思いました。だから、そもそも今回の朝日のスタンスには、おかしさがあります。

しかも、それが命令系統の伝達ミス的な状況もあったとすると、それを「逃げた」という括りにしていく記事は、誤報そのものにはなるにはなるでしょう。しかしながら、それはあきらかに単なる誤報です。取材能力、解釈能力が、どうしてここまで落ちたのかという問題は存在していますが、それ以上でも、それ以下でもありません。

「逃げた」と言われて、その方たちが、名誉を傷つけられたということはあったとは思います。しかし、当時のああした状況ではどういうこともおこりえますし、そのことについて一時、誤報したからとして、それを理由に新聞社のトップが辞任していたら、踏み込んだ報道など、現場で全くできなくなりますから。

こんな馬鹿げた話はありません。

朝日新聞は、この被曝問題では、実は推進側に近い学者の言説を無節操に垂れ流していたり、信じ難い報道を何回もおこなっていて、僕は信頼感は、従来よりもどんどん失墜していました。

しかし、この『吉田調書』をスクープしてきたのは、相当な努力によって、ある記者が為し得たことだと思います。解釈の間違いはあっても(こういうことが朝日でおきうるほど地盤低下しているのは驚きますが)、そもそもその記者がつかんできて、朝日新聞が報じなければ、『吉田調書』が表に出たのかどうかもわかりません。

つまりそもそも、あきらかにするという事、そうしている事そのものに相当な価値があります。

そのように考えると、誤報としての対応は、本来なら編集幹部の更迭以上はおこなう事案ではありません。こういうことで、平気で新聞社トップが首を差し出していると、本当に記者は何にもできなくなります。

僕は今回の話は、従軍慰安婦報道で、自分の首を自分で絞めている朝日新聞が、公にそれを第一理由としたくない為に、『吉田調書』誤報問題で、辞任という形を取ったような気がしています。

これは、本来のジャーナリズムという在り方の根幹を、新聞社のトップ自らが放棄した状況とも思えます。政権側が、反駁させる為に、調書を他メディアにも公開し、追い詰めた構図もほぼ間違いありません。従軍慰安婦報道の朝日新聞大迷走が、結果的に、朝日新聞社のみならず、日本のマスメディア全体に対する強い萎縮作用をもたらす危険性が、僕には凄まじく感じられています。

朝日新聞が結果的に陥った状況が、次の日本で深刻な状態が起きる時間経過の始まりに過ぎないと僕は思うのです。そこに、こういう形での対処しかできなかった朝日新聞は、戦前の教訓、自分達が結局は大東亜戦争に踏み込んでいったという苦い教訓を本質的に忘却したのだろうと僕は感じています。

情報を入手し、伝えるという作業について、権力側は制御下に置こうとします。そうした所為が活性化している状態が、現在の日本のリアルです。このリアル危険が更に拡大化するきっかけに、この事案がなっていることは間違いありません。

繰り返します。

僕は『吉田調書』報道で朝日新聞社長が辞任するのはおかしいと思います。

貴女はまだ記者でいられるのでしょうか。

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明日配信、木下黄太メールマガジンは、いろんな問題が現在おきている中で、書きにくい話をどこまで書けるのかに、僕が、普段よりもチャレンジします。配信が遅くなったら、御免なさい。

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北九州ガレキ問題と特定危険指定暴力団「工藤会」総裁逮捕の点と線。
その思わぬ関係が浮き彫りになります。
ガレキ問題に北九州で反対している中心だった、村上さとこさんの文章です。
 
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【私の知人も殺された衝撃。北九州市の暴力団「工藤会」トップ逮捕。】

米財務省をして「最も暴力的な組織」と言わしめ、全国で唯一「特定危険指定暴力団」に指定されている「工藤会」。
北九州市の市民を狙った複数の襲撃事件に関わったとして、そのトップが9月11日に逮捕されました。
北九州市の上空をヘリコプターが飛び交い、大変物々しい雰囲気だったようです。

私はその北九州市在住です。7年前に東京から転居してきました。
何も知らないとは恐ろしいこと。転居して間もなく、工藤会本部の真前に面した緑地にカブトムシを放ちに来たのですが、大勢の黒服に睨まれても「なんだろう」と呑気に思ったものでした。

2011年の3・11後、私は原発避難者のお話会を始め、環境省のがれき広域処理に反対。北九州市議会が全会派一致で受けいれに賛成する中、放射性物質を含んだがれき受入れ反対運動の中心にいました。環境省や搬出元の宮城県に交渉に行ったりと、多くの市民や弁護士、環境ジャーナリストとタッグを組んで動いていました。
その中で、北九州市漁業協同組合の組合長には何度も何度も「海を守るために受け入れに反対してください」とお願いに行きました。がれきの埋め立て地は海に面していたのです。自宅にも突撃訪問しました。

組合長は、私の訪問の度「あんたも頑張るねえ」と時間を取って話を聞いて下さり、個人的にはたいへん可愛がっていただいたと思います。市民の話を聞いてくれない市側に対して、漁協が市民との話し合いを持つよう説得、やっと市と交渉の場も実現しました。漁協は最後まで受け入れに賛成に立場を取らず、市長の漁協訪問も断っています。

昨年12月、この組合長は拳銃で撃たれ殺されました。それをニュースで知ったときの衝撃…。周囲から「何があるかわからないから距離を置いた方がいい」と強く言われ葬儀に出向くことは断念。その後、新たな組合長候補も銃撃されるという事件も続きました。

沿岸の埋め立てなどに絡み市からの漁業補償を長年得てきた漁協。
その利権に介入する暴力団。16年間前にも当時の組合長が殺されています。
がれき受け入れにも補償金が動いています。
なぜ北九州市議会だけが全会派一致で受け入れ賛成したのか。闇の世界。
地元の事情を知る人から「がれき問題には深くかかわらない方がいい」と忠告を受けたり、恐怖から反対運動から去っていた人がいたのも事実です。
がれき反対を訴えて出演したメディアに、横やりが入ることも度々でした。

でも、私にとっては、ただただ、この国の間違った政策や、市の行政が許せなかったのです。
今でもその気持ちはまったく変わりません。避難者の方たちが二重被ばくに怯える気持ちも痛いほどわかりました。
それだけに、このリアルな殺人事件が非常に大きな衝撃でした。

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【10/11(土)『京都・避難移住フェス2014』 放射能なんか大嫌い!みんなの秋祭り♬】

 

    

 会場「京都・ひとまち交流館」大会議室(アクセスはチラシ画像で確認して下さい、最大300人定員)

午前と午後で入場は別になります。事前予約が必要なのは、午前の映画上映で、避難移住者のみです。
 

午前の部 「A2-B-C上映会&木下黄太ミニトーク」   

 映画「A2-B-C」は福島の甲状腺検査などについて、アメリカ人監督が現地で実態を取材したドキュメンタリーフィルムです。京都でも短期間の単館上映しかなかった為、今回、設定しました。僕が見て、この被曝問題を認識する為には、見ておいたほうが良いフィルムと判断しています(いろんな是非はともかく)。ご覧になっていない方は、どうぞ。一般でも、京都の映画館上映よりもお安く設定いたしました。    

       9:30受付開始 10:00上映開始 11:10上映終了 11:10から11:40 ミニトーク

       一般(予約不要)参加費 1000円 中学生以下は無料 

       避難移住者(予約申込必要)参加費 500円(予約がない方は一般扱いになります)


 避難移住者は、こくちーず申込かメール申込かいずれかの方法でお申込下さい。

予約方法1⇒http://kokucheese.com/event/index/212307/

予約方法2⇒「puchirita@mbp.nifty.com このアドレスまで、お名前と連絡先、合計人数(うち中学生以下のお子さんの人数)、参加者全員の氏名、避難元の自治体名をメール下さい。」

      

午後の部 「あきやまただしさん絵本ライブ&移住避難者による音楽コンサート」   

        13:00受付開始
        13:30音楽演奏開始
        14:20音楽演奏終了予定、休憩
               14:30あきやまただしさん絵本ライブ(15:30終了予定)

        避難移住者 無料(先着順、予約不要)
        一般  寄付(先着順、予約不要、お1人1000円からでお願いします)
        中学生以下は無料


 大人気アニメ番組『はなかっぱ』の原作者、絵本作家のあきやまただしさんが来場します。独創性あふれる絵本ライブです。オリジナリティあふれるパフォーマンスはお子さんにうけること間違いなしです。沖縄から、このために参加されますし、原発事故以降、最近では、沖縄以外では開催をしていなかった絵本ライブが、久しぶりに本土、近畿で見られる、レアな機会となります。

 そして音楽演奏、奏でるのは宮城と神奈川からの原発事故後の移住者。クラシック音楽のヴァイオリンと、伝承音楽のフィドルという日本で珍しいデュオです。トラディショナルな音楽のコラボに挑戦、中世のバロックから、素朴なダンス、モダンな響きまで、お子様と一緒に気軽にお楽しみください。