「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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福島の甲状腺ガン報道を続けていた「報道ステーション」ベテランのディレクターが自殺ということについて。

2014-09-03 02:12:55 | 福島第一原発と放射能

 

非常に不可解なことが起きています。

テレビ朝日の「報道ステーション」で中核的にこの福島報道を続けていたディレクターが先月末に自殺されたそうです。今年の3.11.の時に、「報道ステーション」が伝えた、福島の甲状腺などの問題に関して取り組んでいた中心人物です。

すでに20年以上のベテランディレクターで、子会社のテレビ朝日映像の方だと聞いています。

数日前に、会った知人などによれば、いつもと変わりなく元気そうに見えて、取材のことを話していたそうです。

実は、このディレクターは、ことしの3.11.前に三田医師にも長時間のインタビュー取材をおこなっていました。

「福島の健康状態で、懸念されることが多いから、取材をさせてほしい。」ということだったそうです。

三田医師は「僕は東京の人は数多く診ているけれども、福島は診ている数が圧倒的に少ないから、僕は福島に関しては、あなたの期待にこたえる話はなかなか出来ないかもしれませんよ。東京の話なら出来ますが。それでもよいですか。」

こう答えたそうです。

このディレクターは「もちろん、そのつもりです。しかし、東京の話は、伺っても放送できるかどうかが、最終的に会議で決まるので、それだけはご了解下さい。僕は、こうした問題を伝えたいので。」と、そう真面目に答えていたそうです。

取材時間は3時間。熱心にインタビュー撮影をして帰ったと言います。

数日後、彼から三田医師に連絡がありました。

「すいません、やはり会議では、先生の取材は流せないことになりました。すいません。」

こういうふうに取材がうまく放送につながらなかった事をきちんと報告してきたディレクターは、彼だけだったそうなので(多くのそうしたケースがあるのに)、三田さんには印象に残ったということでした。

このディレクターは間違いなく、「報道ステーション」の中核スタッフであったのは、実は別のことでわかります。

「新聞協会賞」という賞があります。ここにニュース部門でエントリーしている中に、テレビ朝日の「報道ステーション」の内容があります。再審決定された袴田元受刑者の単独インタビューです。

そして、ここに、彼の名前がでています。

 テレビ的感覚で言うと、こうした「新聞協会賞」に、テレビ朝日本体の記者の名前だけでなく、子会社のディレクターである彼の名前も記載してエントリーされているのは、そのディレクターが為した仕事の比重が、このスクープを取るのに、大きな役割を果たしているからだろうと推察します。その意味では、このディレクターの方は、取材的な達成力がいろいろと大きくなっていたのだろうとも思いますし、それはテレビ朝日の中でも一定程度は評価されていたと思います。

 そうしたベテランのテレビディレクターが自殺することは、通常は、なかなか考えられません。

 勿論、自殺は個人的な要因もありえますし、元気そうな人が、突然自殺したことなど、僕の身近でも昔、ふつうにおきています。だから、その直前の言動だけでは、なんとも言えません。

気になるのは、こうした使命感があるようなタイプの人が自殺する場合、仕事で重要なことがあるときに、それを投げ捨て死ぬことがあるのはどういうことだろうかということを、きちんと考察しておかないとならないということです。

個人事情でなくて、なにかありうるのか(個人事情なら何もこちらは確認の必要はないですから)。

この話は、そうしたことを確認しておかないとなりません。彼の自殺につながるような何か原因やトラブルのようなものがあったのか。彼のしてきた取材(福島に限りません)によって、何かと抵触していることはあるのか。その取材によって、何かおきていることはあったのか。

いずれにしても、そうした考察や確認を続けるしかないと思います。

ただし、ああした報道まででも、今の東京キイ局でおこなおうとすることは、大変な心理的労苦があることだけは、いずれにしても間違いないと僕は思います。この方が、真面目で、三田医師に対して、きちんと侘びの電話を入れる律儀さがあったことも気になります。そうした人間的まともさがあることは、テレビ取材という仕事の中では、取材者本人を心理的に追い詰めてしまう結果になる場合も、ままあるからです。

テレビという箱は、全ての人にとって夢の箱ではありませんから。


 僕は直接は存じ上げませんが、被曝の問題に似たような意識を持っていたと思われるこの方のご冥福をお祈りいたします。


【追記】

 このディレクターの自殺に関して、殺人というような陰謀史観がネットで平然と流れていて唖然とします。そんなことをどう確認をして言っているのか、本当に理解に苦しみます(確認しているとは思えませんが)。

[この人に取材を受けた知人は「身の危険を感じている。私が死んだら殺されたと思ってください」と彼から聞いたという。]

こんな記述まで、Facebookで読みました。話に具体性がないですし、なんで取材相手に、取材者がそういうことを言うのか? まったく意味が分りません。取材対象に、それを言うことに、なんの必要性があるのか? そういう発言を取材対象に言ったら、相手を困惑させるだけです。取材者と取材対象は、そもそも心理的距離感が不可欠。こういう発言、 報道に携わっている人間が、取材相手にそんなことを言ったら、実はアウトです。普通に考えたら、25年仕事をしている人間の言葉ではないです。こういう形で、裏づけが全く出来ない、陰謀史観的妄想を平気で書く人に、許せない思いが僕は強いです。

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「急性白血病で都内の知り合いが亡くなりました」仕事で電話したそれぞれの相手から一晩に2回言われた僕。

2014-09-02 01:43:53 | 福島第一原発と放射能

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きょうは書くことは、そんなにありません。

実は、歯の治療をしていて、それなどに時間も取られているため、出来ていることが少ない状態でした。

歯医者では、この前のやりとりもあってか、歯科医から、「ブログ見ました、こういう方が、こんなところにいるとは思いませんでした。」と言われて、「僕は、悪評ばかりですから」と簡単に問答しておきました。

こんな簡単な会話でも、東京と違って、こうした被曝回避に意識を持つことがあたりまえの話として、語られる現実を今一度確認しておきたいと思います。

さて、何にもないから、これできょうのブログを終わりにしてもよいのですが、そう思っていたら、立て続けに、夜になってこういうことがありました。

実は10/11に実施予定、京都での避難者向けイベント関連の打ち合わせで、2人の避難女性に電話したのですが、2人ともが同じような話を僕にしてきます。よくない話ですが。

「都内でいよいよやばくなっているみたいで、自分の知り合いからも急性白血病で亡くなった話が聞こえてきましたよ。」

「男性、まだ若いと話しているから、40代位の話ではないでしょうか。都内の超ホットスポットに住んでいたご主人です。」

「8月のお盆すぎに亡くなったそうです。」

このことも含めて、いろいろ話をして、僕は電話を切りました。

今度は、別の避難女性と打ち合わせで電話します。

打ち合わせの内容が終わりかけたころに、

「いやあ、木下さん、本当にまずくなっている話が身近から聞こえてきましたよ。」

「会社関連の住宅で、昔、近くに住んでいて親しくしていた奥さん。歳は私と同じくらいだから、40代。まだ、男の子がいるのに。急性白血病なんです。」

「半年くらい闘病が続いたらしいですが、町田のほうに住んでいたんです。亡くなったのは、先週。直接親しくしていた、同世代の女性がなくなると、本当にこたえますね。」

僕は、また電話を置きました。

電話した二人は、被曝回避を意識していて、避難した女性たちという共通点はありますが、そうした女性の、40代くらいの知り合いが、東京で、この8月に急性白血病で相次いで亡くなっている話を、聞いているということが、この夜に僕におきているのです。

僕は、リアルとはこういうものだと感じています。


急性白血病で、亡くなったお二人のご冥福をお祈りします。


合掌。

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【僕の疑問】福島県知事選挙に、どうして菅谷松本市長擁立を考える政治勢力がいないのだろうか?

2014-09-01 01:49:45 | 福島第一原発と放射能

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 現職が出馬しない方向で考えている、福島県知事選挙は、このままならば、自民党が立てた候補がどういう人でも、そのまま当選する勢いと思います。

 そして、いろんな人が出馬に向けて会見をしていますが、現実に当選可能性が低い人が多く出ている状態で、奇妙な自己主張をされるため、もしくは自己顕示欲の発露の為、更に言えば、何か違う目的のために出ているとしか思えない人が多く出ているような感覚で受け止めています。

 「被曝回避」的にニュアンスを口にしているから、信頼が置けるレベルの人間かどうか、精査せねばなりません。僕が、その人物の書いていることを一見して、「ありえんな」と思い、Facebookグループ「福島第一原発を考えます」参加申請でおかしなことがあって、拒否したような人が、県知事選挙に出馬している状態を見て、なんなんだこのイカレた話はと、おもっています。

 勿論、東京都知事選挙などでは、売名目的の出馬は多いものですが、地方の県知事選挙では、そういう出馬は本来は少ないです。今回の福島県知事選挙は、しかしそういう場に成り下がっている状態です。こういうことが、3.11.以後の福島が、以前の福島とは全く様相を異にする状況であることをはっきりと照らし出していると僕は強く感じています。

 こうした中で、どういう人材に出馬してもらうのが一番良いのでしょうか。

 僕は特に福島に縁故も無いですし、この被曝問題から考えて、傍から言っているだけのこととお聞きください。

 今回の出馬予定者の中に、医師が2人います。そのうち一人は、他県自治体の首長経験者で、医師で、さらに被曝問題にも、見解がおありのようです。こうした人材がなぜ出馬されようとするのか。

 この放射能の問題が起きていて、なにを推進側が誤魔化しても、健康懸念が続くことには変わりなく、その問題には、医師という立場の人がコミットメントするのが、一番イメージ的に有効である気がするからだと僕は思います。

 実質、そうであるのかどうかということよりも、イメージ戦略としては利点は大きい。しかも、自治体首長経験者だから、当然のことながら、一定程度は政治的手腕もあると考えられます。こうした人材は、やはり今回の福島県知事選挙で、最も望まれる人材と思います。

 もう少し言います、国が相当締めつけて、一体として動いている福島県立医大の状態も、県知事が変われば、状況は一変する可能性は否定できません。だって、県立医大ですから、大きな意味では知事の監督下になります。

 そういう観点で考えると、実は被曝問題に知見があって、なおかつ自治体首長の経験がある人(もしくは国政レベルで政治家として活動歴のある人)は望ましいです。

そして、その人が当選可能性がある知名度があれば。

最後の当選可能性がある知名度というポイントで、殆どの人は可能性がありません。現在、出馬予定の方も、ここのポイントのクリアは相当に難しいだろうと、僕は思います。

こういう人材はどこかにいないものでしょうか。

1人います。

 松本市長、菅谷昭氏です。医師で、チェルノブイリ救援で最も著名な彼の擁立を、どうして考える政党や政治勢力がないのか、僕は不思議でなりません。

現職の松本市長ですから、ハードルは高いと思います。しかし、彼の過去の言説、チェルノブイリへの取り組みを考えると、この話は本人は受け止める可能性はあると思います。ご本人の意向は確実には分りませんが、そういう政治的振る舞いに関しては、理解可能な方と仄聞しています。

△チェルノブイリを実際に現場経験

△松本市というそれなりのレベルで市長としての行政を二期以上経験

△テレビ番組などの出演でも世間的に著名

こういう人物は他には存在しません。

ネットも含めて、こういう指摘をする人がどこにもいないことが不可思議です。

なんというか、福島でもネットでも、この被曝問題に関してまともな思考が日々減ってきている感覚を強く感じている僕は、こういうあたりまえの選択肢があがってこない状態に、日本の閉塞感を強く感じています。

こういう閉塞感から、実は日本は終わっていくのでしょうし、福島県知事選挙がその閉塞のままに終焉していくのか、すこしは何かが変化していくのか、じっと見ていないとならないとは思います。

とりあえず言わない人ばかりなので、こういう時に僕は一言は言っておきますので。

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