俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

2015-05-09 10:20:39 | Weblog
 大分市の高崎自然動物園で生まれたばかりの子猿にシャーロットと名付けたところ非難が殺到した。英国王室に失礼だという指摘だ。
 一昨年ウィリアム王子の長男ジョージ王子が誕生した時、ロシアではハリネズミに、オーストラリアでは有袋類のビルビーに、どちらもジョージという名が付けられた。昨年ウィリアム王子の一家が訪豪した際、ジョージ同士のご対面があり、ジョージ王子がビルビーの縫いぐるみを投げ捨てるシーンは大いに笑えた。
 ハリネズミやビルビーであれば失礼とは感じないのになぜ猿なら失礼なのだろうか。実際の話、猿に喩えられると非常に不愉快だ。ヨーロッパで黒人のサッカー選手に向かってバナナを投げ入れれば人種差別として犯罪になる。黒人を猿扱いしたと見なされるからだ。これはかなり微妙な問題だ。
 ニーチェの「ツァラトゥストラの序説」にはこう書かれている。
 「人間にとって猿とは何か。哄笑の種、または苦痛に満ちた恥辱だ。(中略)かつてあなた達は猿だった。しかも今も人間はどんな猿以上に猿だ。」
 猿に馴染んでいる日本人にとって猿の動作は滑稽だ。人間と似て非なるものだからだ。
 ヨーロッパや北米に猿はいない。欧米人は猿に対して特別な感情を持つ。だから彼らは日本やタイやインドで猿を見ると大喜びする。
 類人猿に対する感情はもっと複雑だ。チンパンジーやゴリラやオランウータンは余りにも人間に似ている。人類とは何か、という問いを突き付けられる。
 イギリス人はユーモアを解しジョークを好み寛大だ。だから今回の「お猿のシャーロット」は余り問題にされない。しかしこれを国際常識と考えたら大間違いだ。もし猿に「パククネ」とか「キムヨナ」とか「シューキンペイ」などと名付けようものなら猛烈な抗議を受けることのなるだろう。日本人は猿が示す寓意に鈍感過ぎる。冗談が通じる相手と通じない相手があるように、相手を識別する必要がある。イギリスのような寛大な文明国ばかりと思ってはならない。

無法自転車

2015-05-09 09:45:51 | Weblog
 愛知県で路上を走る自転車を調べたところ、1,654台中219台、率にして13.2%が道路交通法に違反していたとのことだ。内訳は①イヤホン着用133台②並走50台③逆走28台④スマホ6台⑤二人乗り2台とのことだ。たった13%と言う勿れ。この数字はあくまで調査地点を通過する瞬間での数字だ。追跡調査すれば遥かに高い率になるだろう。信号無視が1台も無いということは多分、信号機の無い場所での調査だろう。もし交差点で調査をすればこんな数字では済まない。自転車の信号無視は非常に多い。それは多分、一旦止まってから動くことと比べて、止まらずにそのまま進行するほうが遥かに楽だからだろう。
 これは多分、雨の降っていない日の調査だろう。雨が降っていれば傘をさして自転車に乗っている人は決して少なくない。2・3月での調査とのことだが、夏であれば日傘をさす人もかなり多い。勿論違法だ。
 目溢しをしたのかあるいは歩道の無い場所で調査したのかよく分からないが、歩道走行に関する違反が1件も無いことは不可解だ。最も問題が多いのは歩道走行だろう。道路交通法上、歩道を走る自転車は車道側を徐行せねばならない。しかし車道側と建物側はほぼ半々だろう。つまり全く無視されているということだ。徐行する自転車など殆んど皆無に近い。この車道側を走るというルールは非常に重要だと思う。2013年12月1日付けの「車道側」で詳しく書いたが、対歩行者・対自動車のどちらにおいても安全性が大きく高まる。こんな簡単なことで安全になるのだから周知徹底を図るべきだろう。
 欧米と比べて日本の自転車事故率は非常に高い。これほど利用者が多いのに継子扱いされているからだ。自転車専用道は極端に少なく法律もお座なりだ。多分大半が都会に住んでいる国会議員や官僚は電車や自動車を使っており、自転車に乗ることなど殆んど無いからだろう。自転車専用道を作るためには様々なハードルがあるが、教育の徹底であれば金も時間も余り掛からない。少なくとも、歩道では車道側を走ることのメリットぐらいしっかりと教え込んで貰いたいと思う。こんな簡単なことを実践するだけで自転車の安全性は大幅に高まる。