俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

大阪都

2015-05-13 10:11:48 | Weblog
 大阪都構想の是非を問う住民投票が17日に迫っている。大阪に住んでいた頃は大阪市の排他性にうんざりしていたものだ。痛感したのは市営地下鉄だ。地下鉄御堂筋線の延長線上に北大阪急行がある。緑地公園・桃山台・千里中央の僅か3駅の鉄道会社だ。これは吹田市と豊中市を通るので「市営」ではなくなるからだろうが、路線を跨ぐ利用者は割高な運賃を負担させられている。全く馬鹿げた仕組みだ。
 御堂筋線の南端は長い間、我孫子だった。隣接する堺市まで延伸されたのは1987年のことだ。市内には無駄な路線も沢山あるのに、市外には必要な路線さえ不充分だ。大阪市の枠から外れると調整が必要になるからだろう。府と市による二重行政の弊害だ。
 大阪を離れてから2年半になるので大阪での現状はよく分からないが、マスコミが報じる限りでは都構想は頓挫しそうな様相だ。
 余所者にとって最も分かりにくいのは大阪の自民党の動きだ。安倍首相や菅官房長官は都構想に理解を示す発言を繰り返しているのに、大阪府連は宿敵・共産党と呉越同舟をしてまで都構想潰しに躍起になっている。これはどいうことなのだろうか。単に「橋下憎し」ということだろうか。それとも議席数を減らすまいとする必死の抵抗なのだろうか?
 もし都構想に重大な欠陥があるのなら東京都はどうなのだろうか。東京都も東京市に戻すべきではないのだろうか。そんな話は無さそうだし、大阪の二重行政の弊害はずっと昔から言われ続けている。
 地方自治にとってこの投票は重要だ。もし可決されたら神奈川県や愛知県などにも飛び火することは必至だ。アクの強い橋下市長に対する好き嫌いではなく、10年後・20年後のことも考えて投票して貰いたいものだ。投票権を持たないことをこんなに残念に思うのは初めてだ。
 多分「大阪を変えなアカン」と思っている人のほうが「今のまんまでえ~やんか」と思っている人よりも行動的だろう。だから投票結果は世論調査とは多少違ったものになるのではないかと私は期待している。

二日酔い

2015-05-13 09:38:30 | Weblog
 二日酔いは不快だ。二日酔いが起こるのは肝臓による分解能力を超える量の酒を飲んだからだ。従って肝機能を支援すべきであり、肝臓に新たな負担を強いる迎え酒は最悪の対策だ。それにも拘わらず多くの人が迎え酒という罠に嵌る。これはなぜだろうか。
 快癒のプロセスが不快感を伴うからだ。これは二日酔いに限った話ではない。薬物中毒であれ病気であれ怪我であれ、快癒するための生体反応が不快感を伴う。この不快感は免疫力が働いていることの表れであり、不快は快癒のための必要条件とも言える。だから不快感を抑える行為が治癒の妨害となることが少なくない。それは消火のために駆け付ける消防車の妨害をするような愚行だ。
 治癒が不快感を伴うのは安静を促すためであり、怪我が痛むのは患部を動かさないようにさせるためだろう。自然治癒力が充分に働くために余計なエネルギー消費を控えるという目的にも適っている。この生体反応の邪魔をすべきではない。
 迎え酒によって不快感が減るのは不具合を感知するセンサーが麻痺させられるからに過ぎない。不具合を感知する中枢神経を狂わせれば不快感だけが解消され、不具合は放置される。これは目を閉じても見たくない物が無くならないのと同じことだ。見えないことと存在しないことは全く別だ。知覚を狂わせることは不具合の温存にしかならない。ガス漏れ報知器が幾らうるさくても、すべきことはガス漏れを直すことであって報知器の電源を切ってはならない。
 風邪をひけば熱が出る。これは自然治癒力が働いているからだ。発熱することによって熱に弱い病原体の活動を抑え、同時に免疫力を活性化する。熱を下げることは治癒力の妨害になる。打撲をすれば腫れる。これは血流を増やすことによって治癒力を高めている。薬で腫れを抑え込むことは治癒力の妨害になる。腫れを予防するためにアイシングをすることも自然治癒力を働きにくくすることに繋がるだろう。
 麻薬から逃れられない最大の理由は禁断症状が苦しいかららしい。医師は麻薬や迎え酒の有害性なら理解している。しかし対症療法の有害性を全く理解せずに、病気や怪我を悪化させる行為を治療だと思っている。快癒することは不快感を伴う。これは言わば産みの苦しみであり、機能回復のための生体反応を押さえてしまえば快癒できなくなる。