俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

薬害

2015-05-19 10:11:31 | Weblog
 体調不良を訴える高齢者は少なくない。彼らは犯人探しに躍起になる。残留農薬、食品添加物、副流煙、大気汚染、電磁波etc.・・・。大本命が忘れられている。薬こそ健康を害する主犯だ。
 単体でも危険な薬を何種類も飲む人が何を考えているのかさっぱり理解できない。化学物質を何種類も摂取した時に体内でどんな化学反応が起こるのか理解しているのだろうか。
 試験管の中で実験することならできる。しかし可能なのはせいぜい2種類までだ。3種類以上になれば組み合わせの数が多過ぎて実験できない。それが人体内でどう反応するかなど全く予測できない。
 人の体には個人差がある。本来安全な筈の卵や小麦でもアレルギー反応を起こす人がいる。危険性が高いことが最初から分かっている薬で過剰反応を起こす人がどれほどいるかなど誰にも分からない。副作用が生じてから初めて分かる。
 薬には食品との「飲み合わせ」がある。酒類が睡眠薬などの多くの薬を劇物化することはよく知られているが、それ以外にもグレープフルーツと降圧剤など非常に多くの飲み合わせが知られている。食品との飲み合わせでさえ危険なのだから、元々、人体に異常反応を起こすことを目的にして作られた薬同士での飲み合わせは危険極まりない。
 医師は安易に対症療法薬を処方する。これは症状を緩和するか不快感を感知しにくくするだけであり、治療効果は全く無い。ところがこの対症療法薬には副作用がありこれが招いた医原病に対して更に対症療法薬が追加される。危険性は高まる一方だ。3種類以上の薬を飲むことは自殺行為にも等しい。
 世界史上最大のパンデミックである「スペイン風邪」は発症者5億人、死者5千万~1億人と言われているが、インフルエンザそのものによる死者よりも解熱剤として使われたアスピリンの薬害による死者のほうが遥かに多かったようだ。
 薬害は過去の話ではない。子宮頸癌ワクチンやタミフルや抗癌剤の薬害ぐらいしかマスコミは報じないが、市販薬が原因となる死亡例は決して少なくない。

老人パワー

2015-05-19 09:37:49 | Weblog
 先日、選挙権を18歳以上に引き下げる公職選挙法改正案が与野党6党で合意されたと知って不思議に思った。高齢者の支持率が高い自民党がなぜこんな改正案に同意するのか、ということだ。若年層は一般的に理想主義的つまり非現実的だから革新的であり、これは自民党にとって有利な改正ではない筈だ。
 17日の大阪での住民投票の結果を知って初めてその意図が理解できた。老人パワーが強過ぎるからだ。これほど老人パワーが強ければ老人に迎合する政策しか実施できなくなってしまう。
 大阪の住民投票において20代から50代まではどの年齢層でもほんの少しずつ賛成が上回っていた。しかし60代では逆転し、70代では圧倒的に反対が多かった。70代以上の高齢者の意向だけによって大阪都構想は否定されたということだ。
 この傾向は多分あらゆる課題において現れているだろう。人口の20%強である70歳以上の高齢者は有権者の1/4ほどを占める。投票率が高い彼らが一致団結すれば1/3以上の勢力になる。こんな巨大な勢力を敵に回す訳には行かない。その結果として政策は総て高齢者優遇策にされてしまう。高齢者のための過剰な特権をほんの少し削っただけであの橋下市長でさえ葬り去られた。
 今後、少子高齢化によって70歳以上のシェアはますます高まる。このままでは国が高齢者によって牛耳られることにもなりかねない。将来、高齢者の利益拡大だけを目論む「敬老党」が誕生すれば、現役世代が高齢者の奴隷という酷い状況にもなりかねない。
 強過ぎる老人パワーをどうやって削ぐか。選挙に定年制を設けられないのだから、若年層に選挙権を与えることによって高齢者のシェアを下げる以外に手は無かろう。
 若年層には未来があるから未来志向の政策が支持される。余命が少ない高齢者とは違って、20年後まで見据えた長期計画が可能になる。高齢者に20年後の計画を説いても大抵無視されるだろう。老人は未来を犠牲にしてでも現在の安逸を求める。面倒な改革よりも現状維持を好む。彼らに必要な未来計画はせいぜい半年後までだ。
 少子高齢化が経済に与える影響はしばしば論じられるが、それ以上に政治に与える影響を憂うべきではないのだろうか。