観念論ではなく実在論の立場を採らない限りこれは無意味な主張になるが、人には死後に残せるものと残せないものがある。残せないものはその人の死と共に消滅する。残せないものの多くはbe(である)によって表現され、残せるものはhave(を持つ)によって表されることが多い。
beとは自分自身だ。自分がそうであったということは変えようが無い。どんな容姿でどう生まれて育ったかということは本人と不可分なものだ。これは正に自分自身であって良かれ悪しかれ唯一無二のものだ。
haveは自分に所属するが不可分ではない。財産であれ地位であれ自分を特徴付ける重要な要素ではあるが自分から分離することができる。但しbeとhaveの境界はかなり微妙であり、日本語では「家族がある」と表現するところを英語では「家族を持っている」と表現する。これは家族に対する連帯感の違いの現れだろう。家族や仲間とは多くの記憶を共有する。自分自身の一部とも言える大切な記憶を共有するからこそ連帯感が強まる。
私はhaveよりもbeを重視して生きた。知識を得る(have)ことよりも知恵を身に付ける(be)ことを重視した。単なる知識ではなく自らのための知恵として活かすために積極的に知識を求めた。身に付けるどころではなく自らを知識と同化させて成長の糧とした。それが間違っていたとは思わない。しかしいざ死を迎えることになれば困ったことが起こる。haveであれば社会に還元することができるがbeは私に付随して消滅してしまう。この世に残せるhaveとは違って私と不可分のbeは私の道連れになってこの世を去る。これを何らかの形にしなければこの世には残せない。私と共に滅びさせるのではなく少しでも多く残したいと思うのが人情だろう。
私のbeは私のhaveよりも遥かにレベルが高い(と本人は思っている)。そのbeは私の道連れになってしまう。残された短期間で、共有されないbeを共有され得るhaveへと可能な限り焼き直したいと思う。以前であれば15年ほど掛けて徐々に実践すれば良いと考えていたが、私が焼き直すために許された時間は数か月あるいは数十日に過ぎない。ここに私の焦りがある。知識を吸収することは比較的易しいが知恵を具象化することは極めて難しい。具象化して言葉にできれば他者と共有できるが抱え込んだままの理想は私と共に滅ぶ。生きる人は自分の行動によって理想を実践できるが近々死ぬ者にはそのチャンスが与えられない。書き残すしか無い。
人類の文明は文字を得ることによって長足の進歩を遂げた。文字によって時間・空間を超えた伝達が可能になったからだ。私の知恵が人類の叡智に貢献できるなどと思い上がったことを考える訳ではないが、不完全な知恵のほうが却って叡智以上に役立つこともあるだろう。
beとは自分自身だ。自分がそうであったということは変えようが無い。どんな容姿でどう生まれて育ったかということは本人と不可分なものだ。これは正に自分自身であって良かれ悪しかれ唯一無二のものだ。
haveは自分に所属するが不可分ではない。財産であれ地位であれ自分を特徴付ける重要な要素ではあるが自分から分離することができる。但しbeとhaveの境界はかなり微妙であり、日本語では「家族がある」と表現するところを英語では「家族を持っている」と表現する。これは家族に対する連帯感の違いの現れだろう。家族や仲間とは多くの記憶を共有する。自分自身の一部とも言える大切な記憶を共有するからこそ連帯感が強まる。
私はhaveよりもbeを重視して生きた。知識を得る(have)ことよりも知恵を身に付ける(be)ことを重視した。単なる知識ではなく自らのための知恵として活かすために積極的に知識を求めた。身に付けるどころではなく自らを知識と同化させて成長の糧とした。それが間違っていたとは思わない。しかしいざ死を迎えることになれば困ったことが起こる。haveであれば社会に還元することができるがbeは私に付随して消滅してしまう。この世に残せるhaveとは違って私と不可分のbeは私の道連れになってこの世を去る。これを何らかの形にしなければこの世には残せない。私と共に滅びさせるのではなく少しでも多く残したいと思うのが人情だろう。
私のbeは私のhaveよりも遥かにレベルが高い(と本人は思っている)。そのbeは私の道連れになってしまう。残された短期間で、共有されないbeを共有され得るhaveへと可能な限り焼き直したいと思う。以前であれば15年ほど掛けて徐々に実践すれば良いと考えていたが、私が焼き直すために許された時間は数か月あるいは数十日に過ぎない。ここに私の焦りがある。知識を吸収することは比較的易しいが知恵を具象化することは極めて難しい。具象化して言葉にできれば他者と共有できるが抱え込んだままの理想は私と共に滅ぶ。生きる人は自分の行動によって理想を実践できるが近々死ぬ者にはそのチャンスが与えられない。書き残すしか無い。
人類の文明は文字を得ることによって長足の進歩を遂げた。文字によって時間・空間を超えた伝達が可能になったからだ。私の知恵が人類の叡智に貢献できるなどと思い上がったことを考える訳ではないが、不完全な知恵のほうが却って叡智以上に役立つこともあるだろう。