歯医者のすすめ(前編)からの続き
治療も終わった外は、梅雨入り発表後に初めて降る強い雨だった。
そのため、虫歯が4本も出来ていたというショックもあり気分が全然すっきりしないが、ひとまずヘンな気分解消「いきつけの居酒屋」へ向かい移動した。
歯医者からは、好きなように飲んで食べてOKとお墨を貰っているし、ひとり快気祝い+気分転換のつもりで。
そんななか、オレの絶対にならないはずの携帯電話が鳴り出した。
「nobizouさん、ディーラーです。車の点検結果がでまして、お見積もりの話がしたくて連絡しました。」
我が愛車を定期点検(48ヶ月)に出していたのだが、この電話の出だしから、嫌な予感は察知していた。
2年で6万キロも乗っているから、色々あるんだろうけど、新車2年目なのに補修費(4万両)の請求だったからだ。
それはあんまりなんじゃないかという返事もしたが、早く飲みたかったのでその連絡は渋々了承して切った。
詳細は省くが、いきなりの4万両の請求で腰が抜けそうになったことは事実だし、歯医者とのダブルパンチ状態でフラフラしたわ。
ただでさえ今月はピンチで、クルマの税金すら払っていないのに、この一件で今月も赤字確定となったのだが、合点がいかないことも重なり一気に落ち込んだ。
しかも、居酒屋に行ったら行ったで、通い始めて3年強になって初めてのイベントに遭遇することになってしまったし。
そのイベントとは、オレのオヤジと同い年くらいのオヤジに、居酒屋のカウンターで絡まれたのだ!!
しかも、いくつかカウンターも空いているのに、オレの隣に座ってきたことに始まる。
もうその先生は出来上がっていて、店員にも悪態をついている有様。
今日はツイてないと諦め、さっさと帰ろうと思っていたが、あえなく捕まってしまった。
ドラクエで言えば「回り込まれてしまった」的な感じをイメージして貰いたい(笑)
「オレにも同じくらいの息子がいてさ」 ここから始まり、テキトーにあしらっていたんだけど、勝手に向こうがオレを気に入ってしまったのか機関銃のようにパンチを繰り出してきた。
「ここは引き上げて韓国スナックに行こう」
「オレは、オネーチャンのいるところが嫌いだから、こういうところで一人飲んでいるんだわ、行かない行かない」
「でもオンナは嫌いじゃないだろう、じゃーソープに行くか??いいとこ知っているんだよ。」
「嫌いじゃないけど、そっち方面にも行きつけがあるし、行かないよ。」
「あれ?ツレナイねぇ、いつも一人で飲んでいるのかい?喋って飲んでいた方が楽しいだろうよ~」
「(無言)」
「でも、独身なんだろ?オレは、“大手商社名”にツテがあることもあって、いいヤツを何人か紹介できるんだよ、連絡先、いや名前だけでも教えてくれよ」
・・・こんな調子で全く逃がして貰えない。
こちらの酔いもいっぺんに吹き飛ぶ。
さらに運が悪いことに、オレもオヤジも「同じ日本酒のぬる燗」をやっていて、オヤジがオレに酒をつげば、オレの酒をオヤジが強奪して、お互いに注いだりするようになってしまって完全に脱出不可能になってしまった。
いつもだったら、シメの刺身と日本酒でやっていたタイミングだったが、オヤジが朦朧としてきたときを見計らって、 「じゃお先に」 背中を叩くように声を掛けて退散した。
不味い酒だった。
悪酔いはしなかったものの、帰ってすぐ寝たのだが、朝起きたら起きたらで今度は背中に違和感を憶え、恐る恐る手を回すと500円玉大のしこりを発見するのであった。
「背中のしこりを考える」へ続く


