【今回は5作品をイッキ読み!】
今回は評論第十一弾として最近読んだ5作品を勝手に評価したい。
内容は山本巧次作品4つ、中山七里作品1つの合計5作品について読書感想文として紹介しよう。
「途中下車はできません (早川書房 2017年09月) 山本巧次 58」
連作短編集だけど、一話が微妙にそれぞれはっきり解決しないまま話が絡み合って、ラストにつながるという作品。
それぞれは面白いストーリーなのだけど、オーラスのまとめ方がチョット萎える展開で・・・。
・・・縦筋はいい流れだったのになぁ。
個人的にもったいなかったなぁと。
|
「阪堺電車177号の追憶 (ハヤカワ文庫 JA)早川書房 2017年9月 山本巧次 60」
連作短編集と呼べるか呼べないくらい、連作感は感じられないところが、ある意味オツでgood。
ただし、途中ガッツリつながっている箇所もあるが、ラストでコレがどうなるか・・・というところ。
こちらも1本モノとなるのだけど、オーラスまで楽しく読める。
しかし、後中盤から終盤にかけての展開が、急すぎてちょっとモヤモヤしたかも。
|
「乳頭温泉から消えた女 (集英社文庫) 集英社 2022年4月 山本巧次 62」
主人公以外のストーリー構成は本当に完璧なミステリー小説。
それだけに主軸のストーリへ強引すぎるほど絡む主人公の存在が、ちょっとオレにはメッチャ萎えてしまった。
最初から、かなり設定と展開に無理があるのよ。
そこを賄えていればねぇ・・・面白い流れとハラハラ感が感じられていただけにかなり残念。
|
「連続殺人鬼カエル男(2011年2月 宝島社文庫) 中山七里 85」
正直なところ、この作品は歌野晶午氏の得意分野に柚月裕子氏のスパイスが加わったような作品のように途中受け止められてしまい、オリジナリティーを感じなかった作品。
しかしこの高得点にしたのには理由があって、彼らのオマージュとは呼ばせないほど幾重にもトリックが散りばめられていたことが挙げられるんだよね、良かったと思う。
|
【今回のMVPは?】
「留萌本線、最後の事件 トンネルの向こうは真っ白(ハヤカワ文庫JA)2020年4年 山本巧次 88」
ちょっと強引かなぁという展開だったけれど、縦筋およびそのアウトラインを含めてトリックがほとんど読めなかったところはストーリーとしてスゴかったと評価したい。
たしかに一部強引ではあったけれど、緻密に計算されたトリックや犯人像は、本当にミステリーそのもの。
鉄ちゃんには物足りないかもしれないが、オレくらいの薄い鉄道知識者だったからこそ、ちょうどいい塩梅だった。
勿論、鉄ちゃんでなくても、面白く読めそう。
リアリティーも十分だし、・・・おススメ。
|