綿引勝彦さん死去 膵臓がん、75歳 ドラマ「天までとどけ」シリーズなど
(スポニチアネックス_0113-2021)Yahoo!ニュース
【あれは3年も前だったのか?】
綿引勝彦さん。
もちろん存じてはいたけれど、あまりドラマを見ない当方にとって彼が出演している作品を憶えているものは、「当時」正直ひとつもなかった。
だけど名優であるが故、圧倒的な存在感によりその顔立ちとお名前くらいは、ドラマを見ない人間であっても知識として持っていた。
そんな俳優さんだが、今日までオレにとってはちょっと特別な意識を持っていた方だったんだよ。
実はちょっと前、オレがいきつけの八千代市にある居酒屋にて、生前の彼をお見かけしていたんだ。
若手俳優であろう人の一人を連れて、しかもカウンターで飲んでいたという記憶が今でも鮮烈に覚えている。
そうか、あの日からまだ1年もたっていないものと記憶していたが、お見かけしたのは3年も前のことだったようだ。
【今でも記憶は鮮明に】
そんな綿引さんご一行と遭遇した日は、平日の夜6時半過ぎだったことにもかかわらず、珍しくカウンターが一席しか空いていなかった日だった。
自分が入店した際、その空いているカウンターの一席に店長から通され、いつものようにチャチャッととオーダーを済ませた。今日は混んでいるなぁと周辺を見回しながらね。
気づけば、正面のL字型カウンターのオレの目の前にどこかで見たことのあるような人を発見するも誰か思い出せない。
知り合いだったかなぁとか、昔仕事でご一緒した人か、もしくは県職員で退職した人だったかと頭をフル回転させるが全く出てこなかった。
当時の彼の風貌は年のころが70過ぎ、すでに結構飲んでいたのかほろ酔いで顔も少し赤かったが、独特のオーラのある人だったとバッチリ記憶している。
しかし、自分からわずか50センチほどしか離れていない席で彼らが飲んでいたとはいえ、ジロジロ眺めているのも変だし、自分もチビチビ始めたのですっかり自分は自分で一人酒のモードに没頭する。
そして、時間とお酒が進むことで、彼らがいるカウンター席はすっかり自分の意識の中の風景へと変化していった。
【とても庶民的な方だった】
そんな彼がトイレに立った時、店長がすかさずオレに近づいてきた。
「あの方、俳優の綿引勝彦さんですよ」
と、こっそり教えてくれたんだ。
オレも名前は存じていただけに、
「えっ、ここ(カウンター)でよかったんですか?」と聞けば、
店長も「個室はいいって言われた」とのことだったみたい。
前述のとおり、この日はまあまあの込み具合だったし、カウンターの後方がメイン通路になっているので、落ち着かないだろうし、芸能人であることに変わりはないわけで顔を刺される危険もあったから店長の進言は正しかったのだけど、それを断ってまでカウンターを選んだというから好感が持てるよね。
そんな自分は、まったくそんなことに気づかず粛々と一人酒を楽しんでいたわけだから、すっかり彼らは彼らですっかり居酒屋に溶け込んでいたということだね。
まあでも、お二方は俳優談義でもしているのだろうし、わざわざカウンターで飲んでいるわけだから邪魔しては失礼だから、知らない振りしたままその場にオレも居続けてぐい吞みを握っていた。
彼らは、普通にこのお店を大衆居酒屋として利用していて、メニューにある刺身や焼き鳥を食べていた。
綿引さんは誰に偉そうにすることもなく、特別な発注をするわけでもなく過ごしていてね。
何より身なりを明かさず板さんとフレンドリーに接していたことなど、とても素敵な対応だったな。
終盤、店長にオススメの地酒を尋ねれば、たまたまオレがその時シメで飲んでいた「出羽桜」を綿引さんに勧め、それを美味しそうにお猪口を傾けていた絵も脳裏の引き出しに残っている。
そのうち、結構赤くなった顔を晒しながらも足取りも確かに若手俳優さんらしき人と、スッと帰っていった光景も忘れられないわ。
【聞けば聞くほどの方】
綿引さんたちが帰った後、改めて店長がオレのところにやってきて、「5時半くらいかな、やってきた客が綿引さんだと気付いたから、個室を勧めたんだけど・・・」とオレへ話し始めたんだ。
聞けば板前の真ん前のカウンターでいいと強く店長の申し出を断ったらしいんだわ。
芸能人だからという特別扱いは嫌いだったのかもね。
そもそもこのへんの人なのかしらとオレが店長に聞けば、「八千代市内で介護にかかるドラマだか映画の撮影をしていて、そのついででここに来てくれたみたい」だと教えてくれた。
あの方が綿引さんだと気付いたのは店長だけだけだったかもしれないけれど、そのへんの一般人と同じように接し、一般人のように酒に酔い、一般人のように派手に飲むことなく去っていったわけだから、常識人であったわけだよね。
自分が芸能人に偏見を持っていただけかも知れないけれど、こんなに至近距離で芸能人の方を拝見したことがなかっただけに、あの場を庶民的にかつ紳士的に過ごされた綿引さんを絶対に生涯忘れられない。
自分は全くの赤の他人ではありますが、ご冥福をお祈りさせてください。
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