東アジア平和構築
憲法9条生かした外交 今こそ
東アジアでは、大国間の対抗が強まる下、さまざまな紛争や緊張、対立が生まれています。戦争の心配のない東アジアをどうやってつくるのか。その展望を示すことが、今の政治に切実に求められています。
その点で、米国の軍事戦略に付き従って中国への対抗姿勢を強め、戦争の危険をつくりだす岸田政権と、外交による平和構築の立場に徹し、その実現のために奮闘する日本共産党との対比が鮮明になっています。
■軍事同盟の強化
岸田政権は、2022年末に決定した「安保3文書」に基づき、他国をミサイルなどで直接たたく敵基地攻撃能力の保有や軍事費の2倍化など、東アジアの軍事的緊張を激化させる空前の大軍拡を進めています。
4月10日の日米首脳会談では、米軍と自衛隊の「指揮・統制の枠組みを向上」(共同声明)することで合意しました。バイデン大統領が「日米同盟が始まって以来、最も重要なアップグレード(更新)」と絶賛したように、狙いは米軍の指揮統制システムの中に自衛隊を組み込むことです。そうなれば日本は主権の一部を切り離され、先制攻撃を選択肢にする米軍の指揮の下、自衛隊が無制限に武力行使を拡大することになります。憲法じゅうりんの日米軍事同盟の歴史的大変質です。
■日本共産党の提言
一方、日本共産党の志位和夫議長は17日、各国の外交官らを前に講演し、「東アジアの平和構築への提言―ASEANと協力して」を発表しました。
提言は、(1)ASEAN(東南アジア諸国連合)と協力して東アジア規模での平和の地域協力の枠組みを発展させる(2)北東アジアの諸問題の外交的解決を図り、東アジア平和共同体を目指す(3)ガザ危機とウクライナ侵略を国連憲章・国際法を唯一最大の基準にして解決する―というものです。
ASEANは1976年に東南アジア友好協力条約(TAC)を結び、「紛争の平和的手段による解決」「武力による威嚇、武力の行使の放棄」を相互関係の指針にしています。地域を問わず「全ての平和愛好国との協力が必要」とし締約国を拡大してきました。日米中なども加入しています。
2019年にASEAN首脳会議は、「ASEANインド太平洋構想」(AOIP)を採択しました。▽対抗でなく対話と協力のインド太平洋地域をつくる▽ASEAN10カ国と日米中など8カ国が参加する東アジアサミット(EAS)など現行の枠組みを対話と協力のプラットフォーム(舞台)として活用・強化する▽TACを指針とし、東アジア全体で推進する―などを柱にしています。特定の国を排除せず、東アジアの全ての国を包摂した枠組みを活用・発展させ、戦争の心配のない平和な地域にする構想です。日本共産党の提言はこうした構想に沿った現実的なものです。
日米首脳会談の共同声明は、米英豪の排他的な軍事的枠組みAUKUSと日本の協力検討を打ち出しました。一方で、AOIPの支持を明記しました。ここにもASEANの力が働いていることを示しています。日本がやるべきは軍事的対応の強化ではなく、東アジアの平和構築に向けた憲法9条を生かした外交です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます