[社説]
米中覇権競争の中、韓中関係の不確実性の解消を急げ
米国政府が中国製の電気自動車(EV)に課す関税を現行の25%から100%へと引き上げることを決めた。半導体の関税も25%から50%に引き上げ、バッテリーと関連部品、天然黒鉛、永久磁石も関税を大幅に引き上げるか新設することを決めた。先月、鉄鋼とアルミニウムの関税を25%に引き上げたことに続く措置だ。中国はこれに強い対応を取る考えを明らかにした。中国の後続措置、そして米国の追加措置が世界貿易にどのような連鎖反応を呼び起こすか、現在のところは不確実だ。貿易への依存度の高い韓国経済にとっては大きな危険要素だと言わざるを得ない。
米国のバイデン大統領は、通商法301条に則って今回の関税引き上げを指示した。1994年3月にクリントン政権で短期間用いられて以来、消えたかのようだった通商法301条は、トランプ前大統領が2018年に復活させ、中国に対する関税引き上げの根拠として用いた。米国と中国の覇権競争の表面化に伴って言われはじめた「自由貿易の終焉」は、バイデン政権の今回の措置でより鮮明になった。キャサリン・タイ米国通商代表は、「メキシコで作られた中国製品の輸入」に制裁措置を取る意向を示した。中国の過剰供給は欧州連合(EU)も批判してきた。米国の関税引き上げによって、中国が欧州市場をさらに積極的に攻略しようとすれば、欧州でも保護措置が打ち出される可能性が高い。
中国製品が米国市場に入ってくるのを阻止しようとする米国の措置によって、韓国企業は反射利益を得られるという期待がなくはない。しかし、短期的な利害得失に執着すべき時ではない。米国は半導体、EVなどの未来産業分野で中国の浮上を防ぐためにこのような措置を取っているというが、韓国はそれによる貿易秩序の変化から自由にはなり得ないからだ。避けられない変化には適応するとしても、守るべき秩序はきちんと管理しなければならない。
米中覇権競争の表面化に伴って比重が大幅に低下してはいるものの、中国は依然として韓国の最大の輸出相手国だ。また、韓国にとっては数多くの必須原材料の供給元でもある。米中対立でグローバルサプライチェーンのかく乱が次第に深刻化しているため、韓中の安定的な交易関係は両国いずれにとってもいっそう重要になりつつある。2019年12月の会談を最後に中断していた韓中日首脳会議が、まもなく韓国で開催される。相互の利益を最優先の目標とし、韓中関係の不確実性を解消する契機とせねばならない。
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