韓国政府、来年100兆ウォン投資を発掘…
“低成長からの脱出”に総力戦
登録:2019-12-20 06:46 修正:2019-12-20 07:58
“低成長からの脱出”に総力戦
登録:2019-12-20 06:46 修正:2019-12-20 07:58
政府「2020年経済政策方向」
民間・民間投資・公共投資の活性化
来年の成長率、2.4%の見通し
「景気防御に追われ、過去に回帰」との批判も
グラフィック=コ・ユンギョル//ハンギョレ新聞社
今年の経済成長率2.0%達成も危うくなった中、韓国政府が来年には景気の持ち直しに総力を集中することにした。100兆ウォン(約9兆4千億円)規模の民間・民間資本・公共投資の発掘・執行を通じてだ。政府の説明によると、「低成長の時期を最短で脱出しなければならないという切迫感を持って、投資活性化にまい進する」という。
しかし、投資の方向性において、文在寅(ムン・ジェイン)政府が掲げた「人間中心の経済」の価値が見られないという指摘もある。景気防御に追われ、過去の成長パラダイムにしがみついているという批判だ。効率的な短期対応策が明確でなく、迅速な景気回復への疑問も提起されている。
政府は19日、大統領府で文在寅大統領主宰の拡大経済長官会議を開き、投資活性化と経済体質の改善を主要内容とする「2020年経済政策方向」を確定発表した。文大統領は「韓国経済は人口構造の変化と低成長・両極化という構造的な困難の中で、世界と競争している」としたうえで、「たった一つの雇用、たった一件の投資でもより多く作ることができるならば政府は何でもするという覚悟で、先頭に立ってほしい」と述べた。
政府は経済の活力を引き上げるため、政策の力量を集中させる方針だ。キム・ヨンボム企画財政部1次官は「来年の世界経済の回復などを最大限活用し、景気の持ち直しのモメンタムを構築できるよう、投資の回復を後押しすることを最優先する」と説明した。
政府は投資活性化を通じて民間の成長への貢献を高めることを、来年度の経済政策の最優先課題に挙げた。具体的には、民間投資と民間資本事業でそれぞれ25兆ウォン(約2兆3千億円)と15兆ウォン(約1兆4千億円)規模プロジェクトを発掘し、今年55兆ウォン(約5兆2千億円)規模だった公共機関の投資も来年には60兆ウォン(約5兆6千億円)に増やす計画だ。
民間投資を誘致するため金融・税制インセンティブも設けた。施設投資を促進するため、4兆5千億ウォン(約4200億円)規模の金融支援プログラムを新設し、中小・中堅企業を対象に最低1.5%の低利で金融を支援すると共に、環境・安全投資などにも1兆ウォン台の政策金融を支援する。今年、税法改正案に含まれた生産性向上施設への税額控除(大・中堅・中小企業それぞれ2・5・10%)を受けられる投資対象に、スマート工場関連の設備を加えると共に、投資初期に減価償却を大きく適用する加速償却特例も終了期限を今年の年末から来年上半期まで6カ月延長することにした。
この他にも、革新成長の動力を拡充するため、5世代移動通信網(5G)関連投資に対する税額控除の範囲を拡大し、新設無線局に対する登録免許税を50%減額するなど「3大パッケージ」措置も講じる予定だ。コリア・セール・フェスタ期間中、付加価値税の払い戻しと国内旅行・宿泊費に対する30%の所得控除など、国内消費を増やすための内需促進政策も設けられた。また、来年第1四半期中に高効率の家電製品を購入する場合、一定金額を還付する制度も発表する予定だ。
政府はこのような投資活性化などを通じて、来年は必ず景気の持ち直しを実現するという覚悟だ。政府は今年の経済成長率2.0%、来年の成長率は2.4%と予測した。新興国を中心に世界経済成長率が改善されており、世界交易量の増加率が今年1.1%から2020年3.2%に回復するなど、対外環境が改善するものと予想されるという見通しに基づいた展望だ。
しかし、政策方向をめぐっては議論が予想される。チョ・ヨンチョル高麗大学招聘教授(経済学)は、「投資総量を目標に掲げただけで、資源配分の方向性をめぐる方針は見られない」とし、「景気対応に追われた政府が、既存の要素投入型の成長政策を再び打ち出している」と批判した。チョ教授は気候変動に対応する「グリーン・ニューディール」などを提案した。一方、やむを得ない政策方向との見方もあった。キム・ソンテ韓国開発研究院(KDI)経済展望室長は、「税制優遇をはじめ、いかなる政策手段を動員してでも、民間投資を活性化するという強い意志がうかがえる」とし、「政策当局が短期的な困難を考慮せざるを得ないという点で、方向性は正しいと思う」と話した。
ただし、政策の実効性については疑問が提起されている。ハ・ジュンギョン漢陽大学教授(経済学)は、「新しい企業が登場して生産性を引き上げながら大規模投資を行うのではなく、大企業にさらなる投資を求めるアプローチにとどまっている」とし、「設備投資など増加がどれだけ実効性をもって行われるかは疑問だ」と述べた。チュ・ウォン現代経済研究院研究室長も「景気底の来年上半期までは短期の景気対応策が必要だが、実際この期間に影響を及ぼしうる対策は多く含まれなかった」とし、「中長期プロジェクトを中心に政策方向が設けられ、2.4%の成長率予測値を達成することは困難と見られる」と話した。
ノ・ヒョンウン、イ・ギョンミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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