A君は、友人の家に遊び行ってて、しばらくしたら、夕食の時間になりました。
A君は、お腹が空いてきたし、お金もなかったので、夕食をご馳走になりたかった。
そこで、3つの行動を取ったと仮定しましょう。
1、「お腹が空いたんだ。夕食出してください。お願いします」と素直に頭を下げて言った。
友人は、「ああいいよ。食べていけば」と夕食を出してくれた。
2、「ちょっとお腹空いてきたけど、夕食はいらないからね。悪いからさ」と遠慮したふりして言った。
友人は「そんな事言わずに食べていけよ」と夕食を出してくれた。
3、「おい、俺は腹減ってるんだ。夕食出せよ」と脅して言った。
友人はムッとして怒り「もう帰れよ」とA君を家から追い出した。
まずは、表面上の言葉の意味だけ、考えてみよう。
1の素直に言ったのと3の脅したのは「夕食を出して」と言っているので、言葉の意味は同じだ。
2の遠慮したふりは、「夕食はいらない」と言っているので、逆の意味になる。
次は、夕食が出てきたかどうかの結果だけ、考えてみよう。
1(素直)と2(遠慮のフリ)は、夕食が出てきたので、結果は同じになる。
3(脅し)は、夕食が出てこなかったので、目的は達成できなかったことになる。
A君は、どのようにして気持ちを伝えて、目的を達成すべきだったのか、ちょっと分析してみた。
言葉は、意味を伝えるためにある。
しかし、表面上の言葉の意味を伝えても、3(脅し)のように、人は動かないこともある。
また、自分に金がなくて惨めなときは、素直に言葉を伝えるのが難しい。
2のように惨めさを隠しながら、目的を達成するためには、それなりの技術が必要とされる。
1のように惨めさを隠さずに素直にいうのも、一つの手である。
コミュニケーションは、意味を伝え、それによって共感を得たり、相手の行動をうながすことを目的にしている。
しかし、コミュニケーションは、ほんとうに難しい。もう何十年も人間をやっているが、いまだに間違える。
そして、状況が違えば、やり方も変わってくる。
例えば、友人が、鈍感ではっきり言わないと分からないタイプだったら、2(遠慮のフリ)では夕食は出てこない。
逆に、3の場合、ピストルで脅したら、夕食は出てくるだろう。友情は消えるけど。
特に、男女の関係になると、もっと複雑になる。
自分が緊張してるのに、相手の心を読んで、恋心を動かさなくてはいけない。
それに女の人はなかなか厄介だ。単純な男とはまるで違う。
「あなたなんて嫌い」って言ってても、好きなときもある。
松田聖子の小麦色のマーメードでも言ってるじゃん。
「嫌い、あなたが大好きなの、うそよ、本気よ」
なんだよ。どっちなんだよ。口説いていいのかい?
でも、歌詞のこの部分がけっこう好きなんだよね。
なぜかクラっとくる。女心の微妙な揺れを感じるからかな。
ちょっと古いですかね。