フリードリヒの日記

日常の出来事を、やさしい気持ちで書いていきたい

もものかんづめ さくらももこ著

2020年05月16日 07時00分00秒 | 読書・書籍

エッセイの中で、傑作中の傑作といえば、なんといっても「もものかんづめ」だと思う。

ちびまる子ちゃんの作者、さくらももこさんのエッセイです。

さくらさんが、亡くなられてから二年くらい経つかな。早いものです。

とにかく笑えます。

乙女な少女が、いろんな恥ずかしい目にあって、ドタバタする話が多いです。

個人的には、一番最初の「奇跡の水虫治療」が一番好きかな。

ちょっと冒頭だけ引用してみます。

 

 水虫といえばたいがいオッサンの持病であり、それにかかると脂足に甚だしい異臭を放ち、その靴及び靴下は、家族の間では汚物とみなされるという恐ろしい病気である。

そんな大変な病気に、私は16の夏、冒されてしまった。

 途中、省略

 私が水虫になったというウワサは、約一分で家族全員に知れわたった。臭い足のヒロシと異名をとる父は「オウ、水虫女、大変だなぁ」とニタニタしながらからかってきた。彼は自分の脂足よりも、もっと強力なキラワレ者が登場した事がうれしくて仕方がないのだ。
 姉は急に冷酷極まりないナチの司令塔のような顔になり、トイレのスリッパは使うなとか、部屋を裸足で歩くなとか、数々のオキテを数十秒のうちにつくりあげ公布した。


このあと、水虫がお姉さんにうつってしまって、「呪われた水虫姉妹」になってしまう。

家族のドタバタに思わず、ゲラゲラ笑ってしまう。

他にも、おもろいエッセイがたくさんあります。

さくらももこさんは、自分の中にある滑稽さを見つけ出し、それを笑いにかえてしまいます。

なかなかできることではない。みんな自分のことは、格好つけたいから。

僕も調子がいいとできますが、弱っているときにはできません。

彼女は、本当に強い人だったんだなと思います。

その強さで、日本中を笑わせてくれた。ありがとうと言いたいです。

「もものかんづめ」は、腹をかかえて笑いたいときには、ほんとおすすめです。

 

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