まったく知らなかった人なのですが、かなり有名な女性探検家、考古学者。アラビアのロレンスより20歳も年上の当時の中東通のイギリス人女性の伝記映画。アメリカ映画です。アラビアの女王 愛と宿命の日々 | あらすじ・内容・スタッフ・キャスト・作品情報 - 映画ナタリー
ガートルード・ベル。イギリスの大金持ち?の令嬢。当時の女性としては珍しい大学卒の経歴を持ち、頭脳明晰の才媛だっため、同じ階級の男性たちからは敬遠され、また彼女自身も自分にふさわしい男性を見つけることができず、勇躍中東へ旅立ちます。
当時(1910年代~)イギリスは、オスマン帝国瓦解後の中東に深くかかわっていました。アラビアの文化、習慣、住んでいる人々に深く魅了された彼女は、アラビア人の従者とともに西洋人の行ったことのない奥地へも足を延ばし、部族の長たちの信頼を徐々に勝ち得ていきます。
同じイスラム圏でも、宗派が違い、習慣が違い、文化が違うことでお互い相いれない部族も多く、小競り合いの絶えない中、彼女は勇敢にあちこちの部族の居住地に足を延ばします。ハーレムに入れられそうになったり殺されそうになったりと波瀾を巻き起こしながら進む彼女。どこまで史実かわからないのですが、当時のイギリス諜報部の情報員のような活動もしていたようなので、かなり信ぴょう性が高そうです。
今に至っても解決しない中東問題が最初に勃発した頃の話。部族長たちの信頼を得た彼女の意見に沿って線引きを決め、できた国もあるそう(ネットで紛れてしまったので、国名を忘れました)。とにかくかなりの仕事をやってのけた人らしい。
彼女より、20年以上前の人だと思いますが、同じくイギリスの女性、イザベラ・バードという女性探検家の伝記漫画「ふしぎの国のバード」を愛読しています。あの頃のイギリスの女性、活動的だったんだなと思いましたが、ガートルードは、ケンブリッジ入学は許されはしても、特別の女性の枠?でしか入学できなかったとか。卒業時は首席だったそうだけど。
ほんの100年ちょっと前なのに、西洋の女性差別はすごい。「ファーストレディ」という習慣は、女性を大事にしているというより、「女性はか弱いものだから、男性が率先して大事にしてやらないといけない」という考えであって、男性と伍して生きて行こうと考えている女性に対しては、相当風当たりが強かったのではないかと想像されます。
ニコール・キッドマンが主演。あまり好きではない女優なのですが、年齢のせいかきつさが減り、ほどよくしなやかに、でもやることはきっぱりやる男性的な女性役がぴったりに思えました。